オリンパス 社長兼CEOが辞任 違法薬物購入の通報受け内部調査

精密機器メーカー「オリンパス」は、シュテファン・カウフマン社長兼CEOが、28日付けで辞任したと発表しました。違法薬物を購入していたという通報を受けて、会社が内部調査を行った結果、取締役会が辞任するよう求め、本人が応じたとしています。

発表によりますと、「オリンパス」のシュテファン・カウフマン社長兼CEOが、28日付けで社長とCEOの職についていずれも辞任したということです。

会社は、カウフマン社長が違法薬物を購入していたという通報を受けて、弁護士などを交え、内部調査を行ってきました。

その結果、会社の取締役会は、カウフマン社長が会社の行動規範などとは異なる行為をしていた可能性が高いと全会一致で判断して辞任を求めました。

本人がこれに応じて辞任したということです。

カウフマン社長は、ドイツの企業などを経て2003年に入社し、去年4月から社長兼CEOを務めていました。

辞任を受けて、当面、竹内康雄会長がCEOの業務を担い、後任については会社の指名委員会で検討していくとしています。

会社は「株主やお客様にご心配をおかけすることを深くおわびします」とコメントしています。

9月末ごろ オリンパスから警視庁に相談

警視庁によりますと、9月末ごろオリンパス側から「シュテファン・カウフマン社長兼CEOが違法薬物を購入している疑いがある」という相談が寄せられたということです。

警視庁は捜査を行っていますが、カウフマン社長が購入したとされる薬物の種類など詳細は明らかにできないとしています。

シュテファン・カウフマン氏とは

辞任したオリンパスのシュテファン・カウフマン社長兼CEOは56歳。

ドイツの企業の人事部門などを経て、今から21年前の2003年にヨーロッパにあるオリンパスのグループ会社に入社しました。

本社で経営戦略の統括役員などに就いた後、去年4月から社長兼CEOを務めていました。

ことし提出された会社の有価証券報告書によりますと、昨年度のカウフマン氏への報酬などの総額は11億3800万円でした。

オリンパスをめぐっては、2011年10月、当時のマイケル・ウッドフォード社長が社長の職を解任されています。

当時、会社側は解任の理由について「経営の進め方が独断的なため」と発表しましたが、ウッドフォード氏は、解任後、自らが把握した企業買収をめぐる経理上の疑惑を外部に公表しました。

そのあと、バブル期の投資の失敗などで生じた、1000億円を超える巨額の損失を隠していたことが明らかになり、当時の会社の経営陣に対して刑事、民事上の責任が問われる事態となりました。

上場企業のトップをめぐる不祥事 相次ぐ

上場企業のトップをめぐる不祥事はあとを絶ちません。

石油元売り最大手の「ENEOSホールディングス」では、ここ数年、会社やグループ会社の経営トップによる不祥事が相次ぎました。

2022年には、当時の杉森務会長が飲食店で接客をしていた女性に対して、性的に不適切な行為を行ったとして辞任しました。

さらに2023年には、当時の齊藤猛社長が、懇親会の場で同席していた女性に酒に酔って抱きつくという不適切な行為があったとして解任されました。

ことしに入っても再生可能エネルギー事業を手がけるグループ会社で、当時の安茂会長が、懇親の場で女性にセクハラ行為を行ったとして2月に会長職を解任されました。

また、ドラッグストア最大手の「ウエルシアホールディングス」は、ことし4月、当時の松本忠久社長について私生活での不倫関係が確認されたと明らかにし、松本氏は社長を辞任しました。

このほか、カメラ用レンズメーカーの「タムロン」は、去年、特別調査委員会の調査報告書で、鯵坂司郎前社長とその前任の小野守男元社長が会社の経費を私的に流用し、女性を伴ったり、単独で行ったりした飲食の費用を会社に負担させていたことを明らかにしました。

これらの企業は、いずれも東京証券取引所でもっとも高いガバナンス水準が求められる、プライム市場に上場しています。

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