西区の事件に関与の被告 闇バイトになぜ関わったのか

一連の強盗事件で罪に問われた被告は法廷で、「逮捕されるまで相談できる相手はいなかった」と語りました。
なぜ闇バイトに参加したのか。
法廷での被告の説明などを元に、経緯をまとめました。

【関わった事件は】
真栄城健被告はおととし、▽東京・中野区の住宅で現金約3200万円が奪われ、男性がけがをした事件や▽広島市西区の高級時計店を兼ねた住宅で現金など約2600万円相当が奪われ3人がけがをした事件など5つの事件で運転手役などを務めたとして強盗傷害などの罪に問われました。

【どんな人物なのか】
被告は部活動での野球の経験からスポーツトレーナーとはり・きゅうの資格を取ろうと新潟県の専門学校に進学しました。
資格の取得後は長野県のクリニックに4年間勤め、独立を目指してオンラインで大学のビジネスの授業も受講しました。
被告のものとみられるフェイスブックの2018年の投稿では、音楽イベントに出店することが報告されていました。
しかし学生時代の友人が起業した清掃会社に参加すると事業に失敗し、2019年には会社をみずから立ち上げ、はり・きゅうの仕事などをしていましたが、新型コロナの感染拡大で経営が行き詰まり、借金も増えていきました。
このころについて被告は「しんきゅう師の仕事を優先したかったのでフードデリバリーやレストランの皿洗いなどの短期のアルバイトをした。1回1万円ほどで、4、5000円の時もあり、生活や借金の返済に足りないときもあった」と話していました。

【闇バイトSNSでのやりとりは】
おととしの夏ごろから、SNSで単発のバイトを探すようになり、あるアカウントからブランド品の売却の仕事を誘われました。
法廷では、当時のツイッターのやりとりが映し出されました。
被告)はじめましてツイート拝見しました。
長期の仕事になりますでしょうか。
アカウント)はじめまして短期の仕事になります。
被告)ありがとうございます。
詳細お聞きしてもよろしいでしょうかアカウント)ブランド品を質屋や買い取り店に持っていって売るだけです。
telegramありますか。
被告)合法なものでしたらやってみたいです。
地方在住ですが東京に行けば大丈夫でしょうか。
アカウント:盗品やコピー品ではないですよ。
telegram(テレグラム)お持ちでしたらそちらで話しましょう。
合法の案件になります。
被告:期間と金額だけ教えていただけたら幸いです。
アカウント:その日の3%になります。100万で3万です。

【なぜ事件に関わったのか】
被告が匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」を利用すると、グループチャットに入っていた「ルフィ」を名乗る指示役から次々と指示が来ました。
当初は複数の質店でかばんや財布を売却し、1万円の報酬をもらいました。
別の日、「ルフィ」から指示を受けていない物品を、誤って売却したことがありました。
被告は当時について「申し訳ありませんでした。取り返せるように頑張りますと伝えた。次に誘われたらほかの仕事を変えてでも行こうと思った」と話し、「ルフィ」に負い目を感じた様子を振り返りました。
その後、レンタカーを借りて知らない人たちを運ぶ仕事を任されるようになりました。
乗っていた人たちの役割は聞かされていませんでしたが、被告側は、東京・中野区での事件を起こす直前、車内でのやり取りを聞いて強盗だと気付いたと主張しています。
しかし、「ルフィ」から「その話は聞かなくていい。運転に集中して」などと言われ、辞めたいと言いだせなかったと言います。

【立ち止まることができなかったのか】
被告は審理の最後、「被害にあった人々に深く謝罪の言葉を述べたい。逮捕されるまで相談できる相手はいなかった。父が東京まで来て証言したり、母が毎月手紙を送ってくれたりして周りに支えられていることに逮捕されてから気付いた。懲役で罪を償ったとは思わず、一生かけて罪を償っていく覚悟です」と述べました。
一方、東京地方裁判所は24日の判決で「売却の仕事をしていた時点で盗品かもしれないと認識していた。その後の事件でも窃盗や強盗に及ぶことを認識していた」と述べるなど違法性の認識はあったと指摘し、懲役13年、罰金20万円の判決を言い渡しました。

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