虎番疾風録第2章

(5)嵐の前の「幸せ」いっぱい

 「豊中の中学に通っていた頃から、界隈(かいわい)では『超かわいい子がいる』と評判でしたよ。僕が高校生の頃、千里セルシー(豊中市にある複合商業施設)によくいる-というので、探しに行ったことも。その子の名前がたしか住谷…」

 「なんでもっと早う言わんのや!」

 「そんなぁ。掛布の婚約者になるなんて、分かりませんやん」

 と弁解しながらも、もし、一度でも掛布と安紀子さんがデートしているところを目撃していたら-と思うと、普段からアンテナを大きく広げていることの大切さを、このとき、早くも記者教訓として得たのである。

=敬称略 (田所龍一)

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