愛の偽物にだまされるな。
婚活中の女性から悩み相談を受けた。結婚を申し込まれたのだがモヤモヤする。彼は嫌な人じゃないけれど、一方的に押し付けてくる感じがある。コミュニケーションを取れている感覚がない。ベターだがベストじゃない。私は「嫌な人じゃないってなんだよ」と思った。そんなものは恋じゃない。結婚の動機は、愛情か打算だ。おそらく彼氏も、あなたに対して「ベターだけどベストじゃない」と思っているのだろう。今風に言えば、お互い「すきぴ」ではなく、道具としての利用価値があるから、一緒にいるだけなのだろうと思った。
婚約中の女性からも悩み相談を受けた。はたから見たら彼氏もいて仕事も順調で何不自由のない暮らしをしているのだが、人生に疲れている。贅沢な悩みだが、日々に張り合いがない。平和なんてクソ喰らえとさえ思ってしまう。彼より彼ママと仲が良い。彼ママは私をめちゃくちゃ褒める。感謝していると毎日言われるが、なぜかそれを聞いていると疲れる。メールの返信も溜まっている。返したいメールならすぐに返せるのだけど、返したくないメールが私の人生を疲れさせる。坂爪さん、今の私はどんな風に見えますかと聞かれた。
私は「疲れているのではなく、退屈しているのだと思う」と言った。つらいのではなく、つまらないのだ。周囲の人間関係に、飽き飽きしている。返したくないメールなら返さなきゃいいじゃないかと言ったら、何かあった時に助けてもらえるからと言った。恩をストックしている感覚だと言った。私は「恩と一緒に憎しみもストックしているだろ」と言った。愛は解放。恩は支配。愛の偽物にだまされるな。恩は、愛についたゴミである。嫌な人じゃないとか、恩を溜めているとか、打算にもほどがある。恩を着せ合っているだけじゃないか。そんな生き方は、疲れない方がおかしい。
精神的な荒廃が目立つ。我々の心が花火なら、多くの大人はしけている。この湿度はなんだ。全然潔くない。全然清々しくない。愚痴や不満に満ちている。しけた花火になんかなるなよ。どうせなら打ち上げ花火になれよ。自己憐憫に浸るなよ。情や恩でウエッティな感じになるより、表面的にはドライに見えても、心は熱い生き方を選べよ。悩む人から「どうすればいいと思いますか」と聞かれる。そんな人に限って、こちらが何か言うと「それは坂爪さんだからできることだ」と言う。誤解を恐れずに言うと、質問も、悩み方も、悩んでいる内容も、全部野暮だと言いたい。そんな野暮なことで悩むなと言いたい。しけた花火なんかになるなよと言いたい。ちょっとくらい悪だくみをしている方が、人間は元気なのだと言いたい。
学校教育の弊害を感じる。ノーペインノーゲインという嘘。欲しいものを得るためには努力や忍耐が必要だと言う嘘。気づきや学びを得ることよりも、遊ぶ。楽しむ。愉快に生きる。気づきや学びは副産物だ。それを目的にすると、心はしける。喜びに至る道はない。喜びこそが道である。好きな人といろよ。好きなことをやれよ。悩みを解決するより、博物館とか動物園とか本屋とか、なんでもいいから普段行かない場所にいくといいよ。目的もなく、本屋の中をふらふら歩く。今日の自分はどんなコーナーに興味を持つのかなと、自分を自由の野に放つ。そうすることで、自分の好きを思い出す。自分の新しい関心が広がっていく。断言する。お前に足りないのは、生きる喜びだ。生きる喜びとは、要するにロマンだ。私は、ロマンス詐欺師に肯定的である。いい夢を見させてもらったんだ。そのための代価だと思えば、安いものだ。愛は解放。恩は支配。愛の偽物にだまされるな。人生はロマンだ。これから名古屋に行く。
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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