文化功労者の年金受給権、強制執行は可能 京大損賠訴訟巡り最高裁が判断

京都大霊長類研究所の松沢哲郎元所長
京都大霊長類研究所の松沢哲郎元所長

京都大が、研究費不正で懲戒解雇した霊長類研究所の松沢哲郎元所長に求めた損害賠償訴訟に絡み、松沢氏の文化功労者としての年金受給権に対する強制執行の可否が争われた裁判で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、可能との判断を示した。不可能とした大阪高裁決定を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

裁判官4人全員一致の意見。第3小法廷は、支給を定めた文化功労者年金法は強制執行できないとは定めていないとし、さらに、年金は功績を世間に知らせ表彰するために支給されるもので、実際に受給しなくても、その目的が達せられないとは言えないとした。

松沢氏は2013年に文化功労者に選ばれ、年350万円を受給している。京大は20年、研究費不正問題で懲戒解雇し、22年に損害賠償を求めて提訴。京大が年金受給権などの仮差し押さえを申し立て、京都地裁が認める決定をした。だが大阪高裁は23年11月、差し押さえはできないと判断し、京大側が不服を申し立てていた。

会員限定記事

会員サービス詳細