第1回自公過半数、微妙な情勢 自民は単独過半数割れの公算 朝日情勢調査

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 27日投開票の衆院選(定数465)について、朝日新聞社は19、20日、全国約36万人の有権者を対象に電話とインターネットによる調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて、選挙戦の情勢を探った。現時点では、①自民党公明党の与党は過半数(233議席)を維持できるか微妙な情勢で、自民は公示前の247議席から50議席程度減る見通し②立憲民主党は公示前の98議席から大幅増③国民民主党れいわ新選組に勢い――などの情勢となっている。

 選挙区はインターネット調査で、比例区は電話調査で情勢を探った。調査時点で投票態度を明らかにしていない人が、選挙区、比例区とも4割ほどおり、今後、情勢が大きく変わる可能性もある。

 自民は、選挙区では公示前の182議席から40議席前後の大幅減となる可能性がある。比例区も公示前の65議席を下回り、10議席前後減らす見通し。

 自民は、政権を奪還した2012年の衆院選以降、単独で過半数を維持してきたが、今回は割り込む公算が大きい。

立憲、98議席から大幅増

 公明は、公示前の32議席か…

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    秦正樹
    (大阪経済大学情報社会学部准教授 )
    2024年10月21日13時22分 投稿
    【視点】

    この記事は,もしかしたら日本政治を塗り替えるかもしれないもので,私も大きな衝撃を受けています.しかも,2021年総選挙では,朝日新聞だけは唯一,立憲議席90台という驚愕の予想を出して見事当てました(他紙は軒並み「自民議席減・立憲躍進」と予測). 全国で計34万2591件ということは,1選挙区あたり1100人超のサンプルを集めてるわけで(私のような小物学者からすると)信じられないサンプルサイズです.前回総選挙で朝日だけが「立憲議席減」を当てたのも,この圧倒的なサンプルサイズ(と独自のアルゴリズム)の力がなせる業ですよね. 他紙の序盤調査では,「自民単独過半数は厳しいが,自公過半数維持は固い」という報道でしたので,まぁそんな感じかなと思っていたら,なんと朝日情勢調査の見出しは「自公過半数、微妙な情勢」で仰天しました. 細かい数字を見てみると,点推定値で自民200+公明25+自民非公認5で230.過半数に3議席足りません.もちろん「誤差」があるので,3議席くらいなら十分増える可能性はあります.このズレの大きな原因は接戦の小選挙区でしょうし,惜敗率(比例復活)も含めてどうなるかというところです. さて,これまでの選挙では,こうした自公劣勢の情報が流れると,自公陣営は焦ってフル活動を始め,さらに有権者の同情も集めて票を増やす(アンダードッグ効果)ことで,結果的に盛り返すという流れがよくありました. ただし,今回のこの記事は意味が異なります.つまり,今回は「自公過半数割れの可能性」という情勢で,「自公政権は前提ではあるが,そこからどれだけ上積みできるか」というこれまでの情勢とは次元が全く異なります.だからこそ,この情勢報道は,自公陣営の"ケツ叩き"の意味だけでなく,多くの有権者に「本当に自公過半数割れできるんだったら,この流れに乗って野党に入れてみるか!」と思わせる(バンドワゴン効果)破壊力があるように思います. 以下は単なる私の予想ですと前置きをさせてください. 先行研究を見ると,中選挙区時代は,バンドワゴン効果とアンダードッグ効果は相殺されて結果的に選挙結果に影響を与えないという研究(https://cir.nii.ac.jp/crid/1523951030364343424)があります.他方で,小選挙区以降は,上述した「自民党の引き締め」が一定程度功を奏している状況を見ていると,アンダードッグ効果の方が強いような気もしますし,2009年は自民党への同情(アンダードッグ)よりも,勝ち馬に乗って民主党に入れた(バンドワゴン)人も多いでしょうから,選挙の文脈に強く依存する気がします. その上で,今回の選挙の文脈を考慮したうえで,多くの有権者が最終的な投票先を決めるあと1週間のタイミングで報じられた「自公過半数割れの可能性」というニュースが,①自民への同情を集める,②反与党の流れが加速する,という2つの選択肢のどちらになるかを考えてみました. 個人的には,今回の選挙は,(特に無党派層を多く含む「まだ投票先を決めていない」人において)①のような自民党への同情が集まる状況ではないように思います.もちろん,「このままだと本当に野党が勝ってしまう」と焦って自公に投票する人もいるでしょう.ただし,今回の選挙は,最初から自公劣勢が伝えられていましたので,そういう人は,最初から自公へ投票と決めている可能性の方が高いように思います.現実的には,いわゆる自民党の裏金問題を受けて,(今回は)自民党以外に投票するかも…と悩んでいる人が多いのではないでしょうか. これまでの選挙では,②のパタンの有権者も「野党に入れても,結局自公連立政権という構図は変わらないしなぁ」と思いとどまらせていたかもしれません.しかし,今回の情勢報道は,この懸念をふっとばし,自分の(野党への)一票で政治を変えられるかもしれないという感覚(政治的有効性感覚といいます)を高める可能性があります.(実際,国民民主党やれいわ新選組といった自民とも立憲とも違う個性的な野党が大きく票を伸ばしています). そういう意味では,もしかしたら,この記事がこれから広く様々な媒体で報じられるほど,野党有利に一気に流れる可能性があるような気がしています.

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年10月20日23時17分 投稿
    【視点】

    これまでのメディア各社の情勢調査の中では最新のものであり、もっとも自公に厳しい結果の予測でもあります。インターネット調査を加味した朝日の調査にはこれまで相応の信頼度があり、今回はどの程度結果と近いものであるかも見所です。もしこのままの結果だ

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