※日経エンタテインメント! 2024年4月号の記事を再構成

アメリカに上陸したゴジラの快進撃が続いている。1980年代には、日本発の「KAIJU」キャラクターとして、世界でコアファンを擁していたゴジラ。それが2010年代に入り、米レジェンダリー・ピクチャーズ製作の『GODZILLA ゴジラ』(14年)から始まった「モンスター・ヴァースシリーズ」が大ヒット。本家である東宝製作の実写ゴジラも、庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』(16年)が全米に進出。そして、7年の時を経て山崎貴監督による令和ゴジラ=ゴジラ70周年記念作品『ゴジラ-1.0』が23年11月に日本で公開。続けて12月に全米で公開されるや、かつてない大ヒットを記録しているのだ。

一部のIMAX上映が11月29日、全米2308館での公開が12月1日から始まり、オープニング興収1100万ドル。5日の累計興収1436万ドルで『子猫物語』の記録を超えた。15日には2600館に拡大し、22日に世界興行収入100億円を突破、9週連続のロングランとなった。1954年の初代『ゴジラ』(本多猪四郎監督)から70年。山崎貴監督・脚本・VFXによる、ゴジラ70周年記念作品。公開中/東宝配給 (C)2023 TOHO CO., LTD.
一部のIMAX上映が11月29日、全米2308館での公開が12月1日から始まり、オープニング興収1100万ドル。5日の累計興収1436万ドルで『子猫物語』の記録を超えた。15日には2600館に拡大し、22日に世界興行収入100億円を突破、9週連続のロングランとなった。1954年の初代『ゴジラ』(本多猪四郎監督)から70年。山崎貴監督・脚本・VFXによる、ゴジラ70周年記念作品。公開中/東宝配給 (C)2023 TOHO CO., LTD.

 北米公開から4日目にはデイリーランキングで興行1位となり、その後9週連続のロングランに。公開館数も、邦画実写史上最大規模の2600館以上にまで拡大。全米での歴代邦画実写作品興収を34年ぶりに塗り替え、5641万ドル(2月現在)をたたき出した。また、映画批評サイト「ロッテントマト」や、各種映画レビューサイトなどでも高評価。アメリカ各地で映画批評家協会賞などを受賞し続け、3月10日には邦画初となる米第96回アカデミー賞視覚効果賞に輝いた。

 この快挙を支えたのが、東宝国際部事業を継承して23年に新しくスタートした、東宝グループの持つIPの海外展開を統括するTOHO Globalだ。同社は北米配給を担当した子会社TOHO INTERNATIONAL,inc.と連携を取りながら、北米での展開を推し進めた。代表取締役社長の植田浩史氏は、ゴジラ躍進の戦略をどのように立て、現状をどのように分析しているのか(取材は24年2月)。

山崎監督率いるVFX担当の白組スタッフは、多くの作品を手掛けながら独自のVFX技術を構築。本作でも、町中での大破壊や水中移動、放射熱線など大迫力かつ、独特な空気感をまとった映像を生み出した。予算的にはハリウッドよりはるかに少なく、しかし熱く高いクオリティーの映像は世界を驚かせている
山崎監督率いるVFX担当の白組スタッフは、多くの作品を手掛けながら独自のVFX技術を構築。本作でも、町中での大破壊や水中移動、放射熱線など大迫力かつ、独特な空気感をまとった映像を生み出した。予算的にはハリウッドよりはるかに少なく、しかし熱く高いクオリティーの映像は世界を驚かせている
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