「決戦の視角」旧統一教会 80年代から組織的支援 ジャーナリスト 鈴木エイト
27日に投開票が行われる衆院選。今回の選挙で私が注目しているのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の動向だ。なぜなら、前回までの国政選挙において、旧統一教会が多くの自民党候補者への組織的応援を行ってきたからだ。
2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一教会と政界との関係が取り沙汰された。翌8~9月、自民党は党としての組織的な関係はないとの前提で、現役国会議員に自己申告制の点検を実施。秋にはガバナンスコードを改定し、旧統一教会との関係断絶を通達。早期の幕引きを図った。
だが、旧統一教会と自民党の関係は、容易に断ち切れるものではない。
旧統一教会は1968年に結成した国際勝共連合などを介し、保守系の政治家へ接近。86年の衆参ダブル選挙では全面的に自民党を応援、130人の勝共推進議員が当選した。旧統一教会の文鮮明教祖はダブル選挙に60億円を使ったとされる。以降、組織的な選挙応援が続けられてきた。
2016年の内部資料には、150人の国会議員が旧統一教会と「連携」し、後援会を結成した国会議員が76人いると記載。同年11月、旧統一教会系の議連の日本創設式に100人以上の自民党国会議員が出席した。
17年7月に自民党国会議員団が旧統一教会の幹部と米国へ外遊した際には、最高権力者の韓鶴子総裁へ「200名を超える国会議員が侍(はべ)っている」と報告された。
直近の国政選挙である22年参院選の内部資料には「全国比例の応援候補者の応援体制」とある。「渉外部長と連携して後援議員の確定、応援」「要望を確認」「応援体制の確認」との記述もあることから、候補者が望む支援体制を確認し、電話かけやポスティングを行ってきたことが分かる。
前回衆院選の内部資料では、自民党候補者が旧統一教会との関係の深さによってABCDでランク付けされていた。地盤の弱い候補者の当選への策略を、自民党側と行ってきた形跡がある。
政界侵食による政策への影響はいかなるものだったのか。
関連組織の世界平和教授アカデミーによる自民党への政策提言は、1980年代から行われてきた。性教育やジェンダー運動へのバックラッシュ(反動)では、他の右派団体と連動し旧統一教会が暗躍していた。
旧統一教会が主導した反ジェンダー運動により、先進国で日本のみがLGBT関連法の法整備が進まなかったことも指摘されている。国際勝共連合の改憲案と自民党の憲法改正草案との共通点も多い。選挙支援の見返りとして旧統一教会への便宜供与はなかったのか。
2年前の点検で旧統一教会との関係を申告していなかった牧原秀樹法相のように、これからも旧統一教会との関係が発覚する政治家は続出するとみている。
長年にわたる選挙支援にもかかわらず、自民党から一方的に見捨てられ、解散命令請求を突き付けられた旧統一教会。自民党は今回の衆院選で、これまでのような旧統一教会の組織的支援は見込めない。組織的な応援で何とか当選を果たしてきた議員にとっては、厳しい選挙になるだろう。
(新聞用に10月18日配信)