<香山リカ てのひら診察室>闇バイトから抜ける手助けを 駆け込める相談機関が必要だ
2024年10月26日 07時00分
首都圏の一連の強盗事件。実行犯として逮捕された容疑者の多くは、いわゆる闇バイトで募られたことがわかった。
闇バイト応募の危険性についてはこれまで何度も報じられているのに、なぜいまだに犯罪に関わってしまう若者が後を絶たないのか。もちろん応募の動機は高額の報酬だろうが、応募以上に問題と思われるのは「やめにくいこと」だ。引っ越しや運搬の仕事のように見せかけての募集につい応じてしまった若者は、連絡先として実家の住所や電話番号を求められることも多いという。途中で反社会的な行為だと気づき「やめたい」と告げても、実家に害が及ぶようなことをほのめかされると、とどまることを選んでしまう人が多いのではないか。
さらに問題なのは、いったん闇バイトに手をつけた人が相談できる先がないことだ。自分もすでに違法な行為に手を染めているのかもしれないと思うと、警察に相談するのもためらわれる。信頼できる知人や学校時代の恩師などに相談するという手段もあるだろうが、「自己責任だと怒られる」「通報されてつかまる」というおそれが先立つとそれもできない。
詐欺や悪徳商法の被害者も相談窓口になかなか相談してくれない、と相談セン … (残り 299 文字、毎週土曜日掲載)
かやま・りか 1960年札幌市生まれ。精神科医、総合診療医。北海道むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長。現代人の心の問題を中心に、社会批評など多彩な分野で活躍。『大丈夫。人間だからいろいろあって』『しがみつかない生き方』など著作多数。
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