公務員週休3日 行政サービス維持せよ
2024年10月26日 05時05分 (10月26日 05時05分更新)
働き方改革の一環で、国家公務員で来年度にも導入が予定されている「週休3日制」。中部地方の地方自治体でも今年、試験導入に踏み切ったり、来年度からのスタートを検討したりする動きが出始めている。職員の多様な働き方を推進し、民間などとの人材獲得競争に打ち勝つための策だが、市民への行政サービス低下につながらないよう望みたい。
愛知県日進市は今年7月から、職員の選択的週休3日制を始めた。図のようなイメージで、1週間の総労働時間(38時間45分)は維持した上で、勤務日の労働時間を長くして、休日を増やす。今のところ、育児や介護などの事情がある職員を対象にしているが、来年6月ごろには、500人余の常勤職員全員に広げるという。
同市の昨年度の志願者数は、ピークだった2020年度から半減。市人事課は「周辺自治体や民間との人材の取り合いになっている」と分析し、県内でも早めの導入に踏み切ったという。「休みを増やすことで、優秀な人材を確保できれば、行政サービスはむしろ向上するはず」と期待している。
県レベルの動きも急だ。愛知県は先月、県警や県教委などを除く「知事部局」の職員約8千人を対象に、週休3日も選択できるフレックスタイム制度(日進市と同様のイメージ)を来年度中にも始める方針を表明した。大所帯ゆえ、システム改修などに時間を要する(県人事課)が、大村秀章知事は「世の中全体がそういう流れ。企業も導入している」と前向きだ。
長野県も、希望する県職員を対象に、来年度にも週休3日制を導入する。阿部守一知事は「家庭と仕事の両立に悩む職員に資する制度にしたい」と話している。
民間では大手の日立製作所や中部電力などが選択的週休3日制を既に導入。トヨタ自動車も従業員の一部を対象に近く始める。人手不足の折、多様な働き方のアピール競争は官民で激化しそうだが、「中小零細」との格差拡大は避けたい。人繰りが難しい小規模な自治体や企業も週休3日制を導入できるよう、助成制度などの対策を講じていくべきだ。
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