今回の連載では、自民党のリベラルシフトに反発する「岩盤保守層」(第1回)や、社会保障の世代間格差に異を唱える現役世代の声(第3回)など、政治や言論の〝非主流派〟の動きを紹介してきた。
いずれも、新聞や地上波テレビなど大手メディア発ではない、「草の根」発の世論だ。彼らは一人一人が微力でも決して無力ではない。マスコミが最初は無視しても、SNSやユーチューブの普及によって草の根の〝非主流派〟が世論の塊をつくり、政局や選挙で〝主流派〟に対抗できるようになった。
今年夏の東京都知事選では序盤、マスコミが小池百合子氏と蓮舫氏の「女傑対決」を打ち出したが、ユーチューブで人気だった前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏が蓮舫氏を上回る2位に大躍進した。「テレビ選挙」と言われてきた都知事選の構図が崩れ、永田町に激震が走った。
自民党総裁選でも、当初は、石破茂氏と小泉進次郎氏の「2強対決」と言われていた。だが、ネット主導で保守勢力のうねりが起き、高市早苗氏を党員票トップに押し上げた。
そして、石丸氏、高市氏に続く「旋風」の可能性が取り沙汰されているのが兵庫県知事選(10月31日告示、11月17日投開票)だ。失職した斎藤元彦前知事のパワハラ・おねだり疑惑について、カウンター世論が勃興した。就任時からの改革内容や手腕が見直されている。