三島敦雄氏による「天孫人種六千年史の研究」という本がなぜアメリカ主導のGHQ占領軍によって焚書にされたのか。その理由の一つについて、「日本のアラブ進出とアラブ支持」であると以前に書きました。その他にも、GHQがすべて廃棄しなければならないほど、この本を危険視していた理由があります。
戦前の日本人の間では、日本が古代に多くの民族が一つにまとまって出来た国家であることを常識として知っていたと言えます。八切止夫氏が書いた「天皇アラブ渡来説」という本によると、三島氏の「天孫人種六千年史の研究」は、昭和11年以降に100万部近い超ベストセラーになり、帝国陸軍大学と陸軍士官学校の課外読本に採用されていたということです。三島氏の説によると、日本建国の中心となったのはシュメール人であったが、日本にはポリネシヤ族やツングース族、クメール族などの民族が先に渡来していたとしています。(12000年前の稲の化石が発見されていますが、実は先に縄文時代に世界最古の文明があり、地続きで船でも行き来していた日本人が大陸に渡って、後で日本にまた帰って来た人たち(本当は帰国人)が「渡来人」とされていた説をとっている人もいます。
天皇アラブ渡来説―日本アラブ古代交流史 (1974年)
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聖徳太子が「和をもって尊しとなす」といったのも、飛鳥時代にも引き続き、いろいろな人種の部族が渡来しては混血して、共存していたからに他なりません。違う言語を話す渡来人が多かった当時の日本で、日本古来の神代文字(かみよもじ)ではなく、当時の世界でインターナショナルな共通の文字であった漢字を採用した方が便利であったことは推測できるのです。有名な渡来人に「秦氏」や飛鳥時代の木簡が発見されたペルシャ人の名前を持つ破斯(はし)清通などがいますが、現在でもその子孫が現存しています。
ですから、戦前の日本人の間では、日本には元々いろいろな民族が渡ってきていて、天孫族起源の天皇を中心として、様々な民族が融合して一つの文化と国を作り上げて「日本人」となっていったことを常識として知っていたと言えます。
私たち現代の日本人は、歴史のロマンを感じるだけで、この内容のどこが危険なのか分かりにくいのですが、このような日本の歴史を知ってしまい、有色人種を家畜のように扱ってきた西欧国家の人々は罪悪感や劣等感などを感じざるをえなかったのです。
アメリカが危険だと思ったのは、日本が元々は他民族が混じり合って、異人種間の奴隷制度を作らずに天皇を中心にした一つに統一された古事記に記されているように「八紘一宇(はっこういう)」の精神に基づいた、家族のような団結力の強い国を作ったことです。日本という国を弱体化し、ゆくゆくは解体させるのに、国民の結束力というのは非常に都合が悪いのです。
「八紘一宇(はっこういう)」という言葉は、「大東亜戦争」や「大東亜共栄圏」などの言葉と共に、GHQによって闇に葬られました。現在でも、三原じゅん子議員がこの言葉を使ったというだけで、左翼勢力からバッシングを受けたということは、まだまだGHQが導入した検閲がまだ事実上、続いてしまっている状態と言えます。
古代の日本で、違う部族間の融和と統一がすでにいろいろな形で起きていたのが古事記を読むとわかります。「出雲大社の国譲り」の話のように、過去に「あまつかみ」と「くにつかみ」のように別の部族がいて戦った過去はあるものの、最後まで殺しあうのではなく、「国譲り」という和平交渉を成立させたという偉業を成し遂げています。
また、習慣の違う部族が婚姻関係を結び、民族の壁がなくなり一つになっていく過程も、古事記の中で「かみ(先祖、リーダー)」たちが、土着の部族と結婚していく過程が描かれています。例えば、土着の部族であるオオヤマツミ(大山祇)がコノハナサクヤ姫とイワナガ姫の姉妹二人を天孫族のニニギに差し出す物語にも反映されています。大山祇が二人まとめて差し出しているのに、ニニギが一人しか妻にせず、大山祗が激怒するシーンが古事記に描かれていますが、お互いに断固譲らなかったことからも、一夫多妻制の民族と一夫一妻制という異なる習慣を持った民族の結婚だったということが分かるのです。
日本における人種間の融和の歴史は、アメリカン・インディアンから土地を強奪して建国し、奴隷制度という労働力によって繁栄した人種差別に立脚していたアメリカにとって、非常に都合の悪いものだったのです。また、日本という国を弱体化させるのに、戦前と戦時中の日本人が持っていた結束力が続くのは非常に都合が悪いと思ったはずです。
なぜ、この本が焚書にされて、闇に葬られそうになったのか理由の一つが「日本は単一民族国家である」という洗脳をするためと言えます。
なぜ「単一民族国家」ということにしたかったのかというと、日本人対在日朝鮮人とか、日本人対中国人というようなアジア人同士の対立を生むためです。人種分断工作です。戦後、「民団」などの朝鮮人の政治団体を作ったのは、GHQでした。
戦前は日本人の中に朝鮮民族も漢民族も、もっと奥の大陸起源の人々も太平洋の島の人たちも、過去に行ったり来たりして混血していたのを知っていましたから、お互いに「一部分共通の祖先を持つ仲間である」というような意識を持っていましたが、その仲間意識を持続して持たれると、分断工作ができなくなってしまうのです。日本と中国と朝鮮が融和して、アラブ諸国のように連帯して一つの大きな文化圏を形成するのは、アジアを分断したい勢力には不都合なのです。
英語にディバイド・アンド・コンカー(分断して、征服せよ)という言葉がありますが、これは昔から有力な兵法の一つです。「国を一つにまとめること」が国家を磐石にすることは、アメリカはよく知っており、自国に関しては国が結束力を持つことを目指しており、「United we wtand, divided we fall(団結すれば磐石、分裂すれば崩壊)」というスローガンを掲げて、国名も「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(アメリカの統一された州)」という名前にしてあります。
ターゲットとなる国の国内分断こそが国力を弱めることを知っている勢力こそ、他国には分断工作を仕掛けます。
「天孫人種六千年史の研究」 三島敦雄著
http://hexagon.inri.client.jp/floorA3F_hb/a3fhb301.html
本のダウンロードは、こちらから
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■産経新聞 ペルシャ人の末裔
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