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wowaka追悼会に行った。僕はボカロで育ったオタクだった

すいません、完全に日記かつオタク・ポエム・昔話です…。

ミュージシャンが亡くなったりバンドが解散したりすると「昔好きだったな~」みたいなことを言う人たちがいる。それに対して批判的な意見を出す人もいる。「好きの後出しだ」とか「なぜ応援し続けなかったのか」とか、そういう感じの。そういう声に対して、まあ~確かにそうかもね、と思うことも有った。

今回はなくなったミュージシャンを思う内容です。

2019年6月1日、新木場・STUDIO COASTにて開催されたwowakaさんの追悼会に行った。

念のため説明しておく。wowakaさんはミュージシャンだ。ヒトリエというバンドのギターボーカルで、作詞作曲も務めている。

2009年ごろのニコニコ動画で「ボカロ曲」を投稿し、そのブームを牽引した人物の一人でもある。当時はハチさん(現代でいう米津玄師さんに相当する)と双璧をなす人気ぶりであった。

当時からインターネットにどっぷりだった僕は当然その頃から知っている。彼がヒトリエというバンドを結成してからもその曲をよく聞いていた。ネットやCDを通してだけども…。

このヒトリエというバンドがまた自分からすると夢のようなバンドだった。メンバーがすごい。ギターのシノダさんは「衝動的の人」という名義で東方project楽曲のアレンジをメインに活動していた。ベースのイガラシさんは同じく東方のロックアレンジを確立したバンド・石鹸屋のメンバーを務めていたことがある。ドラムのゆーまおさんはニコニコ動画に「演奏してみた」動画を投稿し大変人気を博していた人だ。

まあ、とにかく当時のインターネット、特にニコニコ動画まわりで有名だったプレイヤーが集ったバンドがヒトリエだった。生息地がインターネットの僕からすれば神バンド降臨である。昔のネットスラングって狙って使うにしても辛いですね。

結局、僕が現実世界でwowakaさんを見ることは無かったし、wowakaさんが生きている間にヒトリエのライブに行くことはできなかった。彼は今年の四月に亡くなったため、その機会は永遠に失われてしまった。


現地はとにかく人でごったがえしていた。ざっくり1000人は居ただろうか。のろのろ出てきてしまったので、その時点で16時。17時からメインイベントである追悼会の入場が始まる……この時点で大行列の物販と写真展は泣く泣く諦めることに。CDを買うのに15分並び、さらに1時間ほど並んで、やっと献花台にたどり着いた。

白い花に覆われた献花台の中央には大きな遺影があって、その隣に彼が使っていたであろうギターが3本並んでいた。

そこで僕はなんとなくいたたまれなくなってしまった。手を合わせ、目を閉じて祈って、足早に部屋を後にする。僕と一緒に入った人たちはまだ残っていた。そちらが一般的なファン心理というか、好きなアーティストの死に向き合うには時間が欲しいものだろう。

僕はなぜさっさと遺影の前から離れてしまったのだろう。それは人の死が怖い、とかそういう格好がつく理由ではなく、自分は熱心なファンではなかったのではないか?という負い目があったからだと思う。

繰り返すが、僕はヒトリエのLIVEには一度も行ったことが無かった。今回の追悼会は中止になった全国ツアーのチケットを持っている人だけが入場できるという仕組みだったのだが、そのチケットも買っていなかった。

僕は福岡ライブのチケットを買っていた妹からチケットを託されて、この新木場へやってきたのだった。妹は九州に住んでおり、さすがに東京まで足を運ぶことは出来ない。ならば上京している僕が行こう……ということになった。だから、本来僕に追悼会の参加権はない。

追悼会に入場すると、幕が閉じたステージ前に大勢の人が押し寄せていた。僕は結構早く入れた方だったのだが、会場はオールスタンディングで、会の内容は発表されていなかった。ヒトリエの残されたメンバーがトークを行うのか、それとも演奏を行うのか。

結論として、追悼会とは追悼ライブだった。残された3人のメンバーは本来ツアーの最終公演を行うはずだった場所で、「ヒトリエ」としてのライブを行うことを選んだそうだ。詳細なレポートは音楽ニュースサイト等に任せますが、とてもいいライブだった。
ライブの中で最も強く印象に残った出来事は、彼らが「ローリンガール」を演奏したことだ。

もう一度説明しよう。

wowaka、といえばちょうど10年ほど前、『裏表ラバーズ』や『ローリンガール』といった楽曲で人気を博した人だ。当時はいわゆる「ボカロP」と呼ばれる存在だった。現実逃避P、という呼び名もあるけれど、自分はそう呼んだ記憶がない。

当時の自分はひねれくていたというか、「初音ミク」をどうしてもただの音源ソフトとしか思えず、そこにキャラクター性を感じる事はできなかった。(というか、今もそうだ)
なので、「~~P」という、「初音ミクのプロデューサー」風の呼び方もあまり受け入れることができなかった。オタク特有の屈折。

しかし、当時のニコニコ動画で起こっていた「ボカロブーム」に、僕はどっぷり浸っていた。初音ミクそのものに興味はなかったけれど、それを使って音楽を作る人々が好きだった。

誰が作ったどんな曲でも、そこにボカロが使われていれば、それはボカロ曲となり、タグ検索されて聞いてもらえる土壌がそこにはあった。だから、いろんなバックボーンを持つ人がそのムーブメントに乗っかって、いろんな曲が作られたんだと思う。音楽のジャンルも次第に多様になっていき、聴衆である僕らは飽きることがなかった。なにより聴く方はタダだったし(中高生にとって、かなり大事なこと)。本当にいろんな敷居が低い世界だったと思う。

そんな中でも数万・数十万の再生数を稼ぐ、ひときわスゴい人たちがいた。
そのうちの一人がwowakaだ。

『裏表ラバーズ』にしろ『ローリンガール』にしろ、疾走感のあるハイテンポなバンドサウンド、ボーカロイドであることを存分に活かした無茶な音域、早口言葉のような譜割りが特徴的だ。当時(または今も)、「ボカロっぽい」と揶揄される曲調は「wowakaっぽい」とほぼイコールだろう。それほど多くの作り手、聞き手に影響を与えたと思う。

wowakaは『アンハッピーリフレイン』の発表を最後に、ニコニコ動画への投稿を止め、姿を消してしまう。ハチ(現代でいうところの米津玄師)が投稿を辞めたのもそれくらいの頃だったかと思う。高校生だった僕は大学生になって、ド田舎の高校からド地方の大学に進学した。その1年ほど後、活動の気配が無かったwowakaは「ヒトリエ」というバンドを結成したことを明らかにし、同人CD「ルームシック・ガールズエスケープ」を制作。通販開始と同時に飛びつくように注文したのを覚えている。

追悼会でローリンガールのイントロが流れた瞬間、僕の頭に上記のような記憶が駆け巡った。

僕はやっぱりwowakaというミュージシャンのことが大好きだったのだ。

シノダさんが「絶対みんな知ってる曲だから、みんなで歌ってくれ」と言ったので、迷いなく声を張った。ああこれは「歌ってみた」だな、と勝手なノスタルジーに浸ったりもした。しかし、「息を止めるの、今」なんて歌詞がある曲をよくもやってくれたな。歌うのを躊躇ったのは僕だけだろうか。

会場を出てから、その歌詞をすべて覚えていたことに自分で驚いた。
もうずいぶんと長いこと聞いていなかったはずなのになあ。

散文的に書き散らしたが、自分が強く思ったのは
「どうあっても自分の好きには自信を持って良い」ということだ。

ミュージシャンに関して言うと、ライブも行かず、グッズもCDも買わずにファンを名乗るとは何事だ、という論をたまに見かける。そういったことで好きの優劣をジャッジする考え方はあまり良くない。これは自省でもある。「昔好きだったな~」はどんどん言っちゃっていい。だから僕も昔好きだったものには「好きだった」と自信を持つことにする。

wowakaさん、お疲れ様でした。wowakaさんの作る曲が大好きでした。
ありがとうございました。

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