選挙中のテロ発生、容疑者に兆候も…なぜ再び許してしまったのか 悲しむべき法政大前総長の「高市氏は安倍氏の女装」発言
【岩田明子 さくらリポート】 衆院選(27日投開票)の最中、民主主義を揺るがしかねない許しがたい出来事が起きた。19日早朝、東京・永田町の自民党本部に男が火炎瓶のようなものを投げ込み、その後、少し離れた首相官邸前の防護柵にワンボックスカーで突っ込んだ事件だ。 【写真】自民党本部と首相官邸を襲撃した臼田敦伸容疑者 2022年7月、奈良市で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。翌23年4月には、岸田文雄首相(当時)が、衆院補選の応援に訪れていた和歌山市で襲撃された。選挙を狙ったテロが相次いだことを受け、警察庁は今年4月、全国の警備、公安部門に司令塔を置き、兆候情報を一元化する態勢を構築した。 にもかかわらず、警察は再び、選挙中のテロ発生を許してしまった。 今回の事件で逮捕された臼田敦伸容疑者(49)は反原発活動に参加し、選挙の供託金制度に不満を抱いていた。過去には震災がれき受け入れをめぐる自治体の説明会に侵入して捜査を受けたこともあった。 臼田容疑者は明らかに、物議を醸すような行動を繰り返してきた。なぜ、事件を防げなかったのか。今後も模倣犯が現れて同様の事件を起こす可能性は否定できないだけに、改めて徹底的な対策を進めてほしい。 もう一つ、選挙前ではあるが、残念な出来事があった。 法政大学の田中優子前総長が13日、東京都八王子市内で開かれた集会で、高市早苗前経済安保相が自民党総裁選の決選投票に残ったことについて、「安倍(元首相)さんが女装して現れた」と発言したことだ。 日本で初めての衆院選は明治23(1890)年に行われたが、選挙権は「直接国税を15円以上納税した25歳以上の男子」に限定されていた。女性の選挙権が認められたのは昭和21(1946)年の衆院選で、実現までに半世紀以上の年月を要した。 それまでの間、女性たちは選挙権を獲得するため、血と汗と涙を流してきた。現代でも日本では女性議員の比率の少なさが指摘され、女性政治家たちは「ガラスの天井」を打ち破るために努力を続けている。 そうしたなかで、女性の政治参画意欲をそぐような田中氏の発言は悲しくてならない。