大分のイベントで、ちょっと真面目な話で、シンポジウムの第2部に大分の中学生、高校生が「宇宙×何々」というテーマで論文を作って、書類審査とかいろんな審査をやった中から8校の勝ち上がった生徒たちが、壇上でパワーポイントを使って大ホールの客席に向かってプレゼンテーションするっていうのがあって、これのレベルが高くて。
俺らの頃、パワーポイントなんて考えられないから。本当にスライド。OHPという謎の、透明なシートに色ペンで書いて、それを拡大するのに、プロジェクターという、下からライトが当たってレンズを通してスクリーンに出すだけのやつ。そのOHPなんて使っていたのを、今、パワポを使いながらプレゼンテーションをやってて。
何度かNHKの仕事であったことはあるけれども、「皆さんは“宇宙”と言ったら何を思い浮かべますか?」って言って、そんな硬いイベントで客席がいろんなことを言うわけがないから、適当に間を持って、「そうです、ナントカです」っていうあの感じ分かります? 4人組ぐらいで「それじゃあ、せーので」なんつって、4人で「無重力」なんつって(笑)、客席はただ聞くだけ、みたいの多いじゃんか。もちろんそういうグループもある。
「なんて思いますか?」て言って、サービスのいいお客さんが「無重力」って言うと、思ってないのを言っちゃって、「あ、そういうのいいんで…」みたいな 空気になったりとかもする。それはだって中高生だからなったりする。
だけど、レベル高えなと思ったのは、パワポを使って音を入れたり、フォントを頑張ったりとかしてるのもそうなんだけど、テーマ自体が、ロケット燃料を大分の名産物の廃棄物で作るとどれぐらいの量の廃棄物。例えば、杉を伐採した後の廃材とか、いろんなものを作ると、それがロケットの推進力を得るのにこれぐらいかかって、今までのロケット燃料で言うと、これぐらいCO2が出ていたと。それに対して、これだとCO2が少し少なくなったり、もっと言えば、廃材が処分できる分で考えると、行って来いベースでこれぐらいSDGSですよ、みたいのを高校生が3~4人で研究して発表するのには、俺は驚いたね。
(中略)
やっているテーマはすごかったよ。宇宙で犬を楽しく散歩させるのにこういうシステムを作ったらどうか、みたいな。檻でできたドーム状のもの、レジャープールとかで中に入れる大きいビニールの球体みたいのがあるじゃん。あれの延長線上みたいなやつの設計をして、さらに言うと、犬が吐く呼気を計算していくと、その中で犬がこれぐらい運動して、これぐらい移動して、これぐらいCO2が出るということは、こういう状態だ。健康管理もできて、みたいな話と、大きな大目標としては、“宇宙で犬を楽しく散歩させる”だけれども、その手前で、その研究の間にできたこういうペッドグッズということで、おそらくちゃんと利益の出る商売になる。特許に関してはこう、みたいなことを高校生とかが発表してんの。
マジですごいなと思った中で、みんな3人か4人で「せーの」ってやってるんだけど、中に女子高生で 1人の子がいるのよ。1人の子がやってるんだけど、その1人の子がめちゃめちゃトークが上手いのよ。それこそ「宇宙にないものを幾つか考えました。何だと思いますか?」みたいなところからの、お客さんが黙っていたら黙っていたところで、「いきなり言われても困りますよね。私が目をつけたのは“宇宙には色がない”ということです」みたいなトークがめちゃくちゃ上手いのね。高校、多分1~2年生なんだけど、この間の取り方何?っていう。
(中略)
めちゃめちゃそれが上手い上に、1人でやってるテーマが“宇宙に色を塗る”っていう。例えば線を書くとか、宇宙探査に行った時に、宇宙って方向がわからないから、ちゃんと射線を書いていくべきなんだけど、そのための塗料はどういうものを作るべきかという話をしてて。
まず、宇宙放射線で劣化しないこととか、経年劣化でひび割れしたり飛んでいったりとかしないこととか、あとは、さらに言うと、宇宙に持っていかなきゃならないから軽くなきゃいけないとか、そういうことを全部一覧表にした上に、それをそれぞれクリアするには、赤で言うと、赤い色の成分の何が向いているのかっていう。例えば、これは軽いんだけれども、すぐ剥がれちゃうであろうから、この成分はダメだったりとか、この成分はすぐ剥がれちゃうのに、こういう透明の補助のものを入れるとこういうふうにできます。重さはこう、みたいなやつを全部やった上に、さっき言ったみたいな商品化するにおいてという、例えば、“宇宙ペンキ”とか“宇宙ペイント”みたいな名前をつけていくと、いずれは宇宙で使えるクオリティを目指しているものを、その途中段階で多少過酷な気候のところで建築の外に塗ったら、この成分とこの成分は要らないけれども、この成分が配合されていることがすごいアドバンテージになります、みたいな話を全部1人でするの。
でいて、優勝なの、この子。他はみんな4人グループ、3人グループでやっているんだけど。自分で聞いてても、内容の難しさまではわかんないけど、プレゼンテーションとしてはどう考えてもこの子が優勝なのね。
舞台袖で聞いていて、その時、俺が痛烈に思ったのは、“孤独”と“孤高”。自分は高校生時代に、ただただ孤独。自分の社会性のなさで、ただただ孤独。社会性のなさや、大衆や、それと、今思いついたこと2個ぐらいは言えないやつなどで(笑)、すごく孤独に暮らしていたんだけれども、それを途中ですり替えて、「俺は孤高である」。高見にいて、あいつらはついてこれないから俺は孤高なんだっていうふうに自分をごまかして、何とか孤高だったことに、他の群れてる連中がダメだったことにしてったけど、本当に孤高の人ってこういう人なんじゃねえかと思って。
で、この子は舞台袖で普通に他の4人で来てる人とかにもきちんと話しかけて、あのプレゼンテーションのこういうフォントは自分で作っているんですか、他の部員にやってもらってるんですかとか、あれについて私だったらこうするんですけど、みたいなことを積極的に話せる。孤高だけど、多分1人でやった方が上手くいくことは1人でやってて。
ああいうものはどうやって調べるの?といったら、それもすげえなと思ったのは、こことここに関しては基本的にチャットGPTを使っているんだと。チャットGPTを使って、こうやってエビデンスを取るためにこういう作業にしていくと、1人でやっても結構自分の知らないこともいろんなことがわかるみたいな話をずっとしててさ。
なんか俺がずっと自分をごまかして生きてきたっていうことがよくわかった。仕方なく、友達がいないから落語家になるっていう順番じゃないんだよね。自分1人でちゃんとできるから、大勢の人が集まることで推進力とかが削がれたりとかするよりは、できることはチャットGPTでできるからっていう。
見た目は本当に普通の女子高生が、本当にワクワクする宇宙ペンキの話をしてることにすごい心を奪われた。(中略)ああいうのを見ると、俺の思ってた孤高なんか全部嘘だなっていう感じ、ちょっとしたな。