サイエンス

2024.10.22 10:30

推定90歳超、世界最高齢の飼育魚となったハイギョ「メトセラ」

驚くほど寿命の長いハイギョだが、水中で最も長命な生物というわけではない。90歳を超えるメトセラより長生きできる生物を、他に2種紹介しよう。

1. ニシオンデンザメ

ニシオンデンザメ(Shutterstock.com)

ニシオンデンザメ(Shutterstock.com)

最近の研究において、ニシオンデンザメ(Greenland shark)は400年程度生きられることが推定されており、地球上で最も長命な脊椎動物の一種となっている(2017年に捕獲された個体は、392±120歳[272~512歳]と推定された)。この驚くべき寿命の長さは、成長が遅いことが主な要因だ。

最大体長は7mを超えるが、1年に約1cmしか成長せず、150歳前後で性的に成熟する。彼らが長生きするのは、北大西洋の冷たく深い海に適応した結果でもある。そのような環境に、低い体温と代謝率で生きることが、寿命の長さにつながっている。

2. ホッキョククジラ

ホッキョククジラ Getty Images

ホッキョククジラ(Getty Images)

ホッキョククジラは、哺乳類の中で際立って長生きする種の1つであり、年齢が200歳を超えることもある。こうした驚くべき寿命の長さは、老化のプロセスがゆっくりであることと、北極海の低温かつ安定した環境に適応した結果だ。

19世紀の捕鯨に使われた銛(やじり)の破片が皮下脂肪に埋まっていたホッキョククジラが2007年に捕獲されたという話もあるとおり、一部の個体は19世紀から生存していることが判明している。

長い寿命に役立っているのは、繁殖速度が低いことと、栄養豊富な北極海で生きられることだ。さらに、大型で丈夫な体を持つことが、ほかの海洋生物が直面する多くの危険を回避し、また回復できる能力につながっている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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2024.10.20 16:00

約3億年前に生きた自動車サイズの「コダイオオヤスデ」、全体像が明らかに

Getty Images

コダイオオヤスデ(Arthropleura:アースロプレウラ)は、古代の地球を這い回っていた、史上最大級の節足動物だ。

石炭紀(約3億5920万~2億9900万年前)に生息し、英国、フランス、ドイツ、米国で化石が発見されているが、これまでは、関節のある外骨格の一部と、3点の不完全な標本のみが知られていた。2021年に、長さ約75センチメートルの大きな断片が発見されたが、元の個体の体長は2.7メートル、体重は50キログラムほどだったと推定されている。

そして最新の研究で、その全体像が初めて正確に復元された。

研究チームは、物体の内部をX線で可視化するマイクロCT技術を用い、フランスのモンソー=レ=ミーヌで発掘された化石の3次元画像を作成した。石炭層で発見されたこの化石は、約3億750万~2億9900万年前の石炭紀後期のもので、保存状態が非常に良い。死後すぐに、粒子の細かい湖底の堆積物に覆われたためだ。

研究チームが調べた標本は、わずか数センチメートルの大きさだ。おそらく幼体で、部分的に堆積物に閉じ込められていた。堆積物を取り除くことは、標本を傷つけたり、化石と堆積物の接点に保存されている解剖学的特徴を失ったりするリスクを伴う。X線を使えば、化石に触れることなく研究できる。

フランス、ビルールバンヌにあるクロード・ベルナール・リヨン第1大学の古生物学者で、研究論文の筆頭著者であるミカエル・レリティエAP通信のインタビューで、「ヤスデの体と、ムカデの頭を持っていることがわかった」と説明している。

コダイオオヤスデは、現代のヤスデ(ほとんどの体節に、関節のある脚が2対ずつ付いており、体と頭はミミズに似ている)と、ムカデ(すべての体節に1対ずつの脚が付いており、体は平ら)の解剖学的特徴を併せ持っている。体はヤスデの特徴を持っているが、復元された頭は、節のある短い触角と大顎があり、現代のムカデに近い。

研究チームはこの観察結果に基づき、コダイオオヤスデは、ヤスデとムカデの最後の共通祖先と密接に関連していると主張している。

同じ時代に生息していた他の無脊椎動物の巨大化(羽を広げると70センチメートルを超えるトンボなど)は、大気中の酸素濃度がピークにあったためだと考えられていたが、コダイオオヤスデの化石は、このピークに達する前のものであり、酸素濃度だけでは説明できないことを示唆している。

石炭紀は温暖湿潤な気候で、ほとんどの大陸が深い森に覆われていたため、小さな動物の大型化が可能だったのかもしれない。

コダイオオヤスデは、約2億9800万年前のペルム紀に絶滅した。原因は不明だが、気候変動(ペルム紀は、非常に暑く乾燥していた)や、初期の爬虫類などとの競争が理由として考えられている。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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2024.10.11 17:00

世界最高齢123歳のワニ、1万匹の子をもうけて今なお元気

Getty Images

ナイルワニ(Crycodylus niloticus)は、アフリカ屈指の恐るべき肉食動物の1種であり、巨体と怪力、隠密行動でよく知られている。サハラ以南アフリカ全域の淡水生息地に分布する頂点捕食者であり、平均全長4~5m、体重は最大で750kgと、グランドピアノ1.5台分に相当する。

ナイルワニは、さまざまな獲物を捕食する。魚や鳥、レイヨウやスイギュウなどの大きな哺乳類まで、強力な顎と丈夫な歯で捕える、手強い悪役だ。攻撃的な気性をもち、刺激されなくてもヒトを襲う傾向にあることから恐れられている。

ナイルワニは、野生でも70年ほど生きるが、飼育下ではさらに長生きする。飼育下での驚異的な長寿事例の1つがヘンリーだ。知られているかぎり世界最高齢のワニで、南アフリカのスコットバーグにあるクロックワールド保全センターで暮らしている。

ヘンリー──1万匹の子を残した123歳のワニ

1900年に誕生したヘンリーは、2024年12月16日に124歳になる。彼の生涯からは、ナイルワニの驚異の生態と強靭さが窺える。

ヘンリーは1985年、ボツワナのオカバンゴ・デルタで、家畜と、ヒトの子どもを襲ったために捕獲された。攻撃的な気性から、地元住民の間で悪名高い個体だったが、クロックワールドで飼育されているいまでは、正反対の穏やかな振る舞いを見せている。

保全センターに移送されて以来、ヘンリーはたくさんのパートナーとの間に1万匹以上の子を儲けた。高齢ながら彼の生殖能力は衰えておらず、ここからワニの驚くべき生物学的特徴が見て取れる。多くの動物では、年齢とともに生殖能力が低下していくが、ワニは生涯のほぼ全般にわたって生殖が可能なのだ。ヘンリーの旺盛な精力は、ナイルワニという種のたくましさだけでなく、彼自身の遺伝的資質の高さも示している。

彼が1世紀以上も生きつづけてこられたのは、すぐれた代謝効率のおかげだ。ワニは、外部の熱源に頼って体温を調整する、「外温性(ectothermic)」の動物だ。この特徴のおかげでエネルギーを節約でき、長期間にわたって食事をとらなくても生存できる。

野生のナイルワニは、数カ月にわたって断食することがあり、その間は溜め込んだ脂肪だけで生きつづける。飼育下でたっぷり餌をもらいつつも、ヘンリーは、こうしたエネルギーの節約に長けた適応形質の恩恵を受けており、このことが長寿命に貢献したのは間違いないだろう。
次ページ > ヘンリーの長寿の秘訣は、白亜紀後期にそのルーツをもつ

翻訳=的場知之/ガリレオ

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2024.10.20 16:00

南極圏と北極圏を往復飛行するキョクアジサシ、その驚きの生態

Getty Images

動物界を構成する生き物たちは、繁殖やエサを確保する必要に駆られて、常に動き続ける。中には、移動する際の自分の位置の特定に、想像をはるかに超える手法を用いるものもいる。

たとえばウミガメは、孵化した場所の磁気特性を「刷り込み」によって覚えており、長い期間を海で過ごして成体となったのち、生まれた場所に正確に戻ることができる。サメやエイには微弱な電流を感知する器官があり、これで獲物を見つけるほか、磁気情報を使って自身の位置を把握し大洋を泳ぐ。

渡り鳥も、旅のルートを決めるのに地球の磁場を用いている(この機能は「磁覚」と呼ばれる)。しかし、他の動物と違って鳥類には風を利用できるというアドバンテージがあり、これが鳥を想像できないほどはるか遠くまで「運ぶ」のに一役買っている。

コアホウドリは、1.8mもある翼幅と風を活用して、羽ばたくことなく数千kmの距離を効率よく飛行する。

そして約7000万年前にも、ケツァルコアトルス属の翼竜が同様の偉業を成し遂げていた。翼幅が12mにも達するケツァルコアトルスはゾウに近い大きさで、飛行が可能な動物の中では史上最大とされている。

ケツァルコアトルス Getty Images

ケツァルコアトルス Getty Images


しかし、地球上で最も長い距離を移動するのは、体重わずか100gの鳥だ。1年のあいだに北極圏と南極圏を移動して、繁殖と越冬を行うのだ。

北極圏と南極圏を行き来するキョクアジサシの生態

キョクアジサシ(学名:Sterna paradisaea)は毎年、夏を2回経験する。それを可能にするのが、最長で1年間に7万2000kmもの距離を飛行する彼らの生態だ。

キョクアジサシは夏に北極圏で卵からかえる。そして、厳しい冬が迫る前に驚くべき長旅に出発し、南極圏にたどりついて、そこで夏を過ごす。

その一生の累計飛行距離は、240万kmにも達することがある。
次ページ > 効率の良いキョクアジサシの飛行

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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