政治活動の多くを占める「人件費」
衆議院議員の事務所には主に2つの事務所があります。1つは国会の近くにある「衆議院議員会館」です。そこには常時秘書が1、2名は最低いて、国会関係の調整をします。例えば、いつから本会議があって、いつから委員会があってという国会日程を把握し、調整し、国会議員のスケジュールを管理してくれるのです。この秘書がいなければ、国会議員は永田町で自分の仕事ができないでしょう。なので、この議員会館で最低でも一人か2人は人員が必要になります。
そして国会以外にも、地元の事務所があります。地元の事務所は広い選挙区か、都会の人口が密集している狭い選挙区かによっても異なるのですが、広いエリアだと2カ所の事務所、またはそれ以上の事務所を構える場合もあります。その事務所にまた最低1人ずつ事務員を配置します。さらに、地元の要望回り、陳情回りなどの活動をする秘書も必要になります。地元秘書・スタッフをトータルすると、大体4、5人以上は置くことになるでしょう。
つまり私の知る限りでは、衆議院議員1人の事務所には合計で8人から10人程度の人員が必要になってきます。そこから公設秘書の分を引いたとしても、5人から7人の私設秘書、スタッフを雇う必要が出てくるのです。地域差もありますし、また年齢によっても異なりますが、その私設秘書はざっと一人に30万円位かかるとします。もちろん社会保険料も払わなければなりませんし、30万円× 5人となるとそれだけでも150万円です。7人であれば210万円です。実際にこれに近しいコストが、毎月必要経費としてかかってきます。
最もお金がかかる経費の一つが人件費であると私は考えます。もちろんパートタイマーの方を採用したり、リタイアした方を採用してコストを抑えるという工夫はしていますが、かかるものはかかるというのが実態です。これに日ごろからのポスターや、活動報告のチラシなどが必要ですし、地元で移動する人たちのガソリン代も馬鹿になりません。さらには後援会の方が亡くなられた際には香典を持参しますし、最低でも弔電は送ります。
とある徳島県のベテラン議員さんは、祝弔電だけでひと月200万円かかっているという方もいらっしゃいました。これは見方によると、選挙のためにやってるんじゃないかという批判もあります。それは否定できないものではありますが、そのような活動をすることが本来の衆議院議員としての活動の一環であり、選挙で勝ち続ける事が長い目で見て地元の皆様の役にたつということにつながりますので、一概に自分たちのためだけにやっているというものでもないのです。