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【VISION代表インタビュー】「あたたかい革命」を因数分解する

2024年9月、株式会社Schoo(以下、スクー)は新たな全社VISION「『あたたかい革命』が起こり続ける社会を残す」発表しました。従来の「インターネット学習で人類を変革する」から、目的地を大きく前進させるVISIONに込められた意味とは。VISIONの生みの親である、代表取締役の森 健志郎に聞きました。

なぜ今、新VISONか

既存の「インターネット学習で人類を変革する」というビジョンを決定したのは、今から8年前になります。この間での大きな変化といえば、インターネット学習が当たり前になったことです。

8年前の2016年当時、インターネットの学びは少数派でした。学びと言えばリアルな場所に集まって、みんなで学んでいく。これが当たり前でした。だからこそ、インターネット学習を前面に出すことで、自分たちのアイデンティティを明確にすることができていた。

しかしながら、世界的な新型コロナの流行により、社会のデジタル化が加速してオンラインで学ぶということは当たり前の選択肢になりました。

そしてスクー自身も、インターネット学習以外の領域へ挑戦を本格化させています。オフラインで学びを地域に広げていく書店のような取り組み、地方創生や移民といったソーシャルイシューに立ち向かう学び領域以外の事業も検討しています。

とはいえ、人類社会の変革を目指す人を増やし、その人たちがつながることで、今生きているこの社会を変えていきたいという思いは変わっていない。いや、むしろ危機感はより募ったと思っています。

この危機感の根源とは何か。

それは少子高齢化という大きな時代の流れです。地方からだんだんと産業は衰退し、その産業を刷新する人材が足りない。公共施設やインフラを維持するためのお金をどう工面するか、打開策が見えていない。

医療費や介護費は増えるし、第一次産業が衰退して食料自給率は下がる。労働力が足りないから定年を延長するけれど、国際競争力は落ちていく。海外の投資家は日本以外のアジアの国を見ています。

解決すべき問題は一つではなく、数多(あまた)存在して複雑に絡みあっています。

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そしてその中で一番大きな問題だと思っているのが、一人ひとりが頑張ればもっとこの社会はよくなると「信じられなくなっていること」です。これまでの12年間、スタートアップを経営し、さまざまな人と関わる中で強く感じてきました。

僕は今37歳ですので、このまま稼ぐだけ稼いで逃げ切れるかもしれない。 みなさんだってそうかもしれません。

けれど、本当にそれでいいのか。このまま放置していれば、高齢化率が40%になる2050年以降の社会を引き継ぐのは、僕たちの子どもの世代です。僕たちの子どもの世代に、このまま衰退していく日本社会を残していいのか。 

そんなことを考え続けて、つくった新しいビジョンが「『あたたかい革命』が起こり続ける社会を残す」です。

これについて、フレーズを分解しながらお話ししたいと思います。

「あたたかい」の意味すること

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竹澤宏 - stock.adobe.com

自分がこの社会を担って変えていく一人として、どんな社会を目指したいかを考えた時に、誰かのためにちょっとでも世界を良くしようと「がんばる人」を増やすこと。これが、これからの時代にはすごく大切だと思っています。

少子高齢化社会の一番大きな課題は、「一人ひとりが頑張れば、もっとこの社会はよくなるとは信じられなくなっていること」だと前述しましたが、まさにそこが焦点です。

「誰かのためにがんばること」。これを別の言葉でいうと「利他」なのだと思います。気候変動が深刻な問題となり、コロナを経て格差や分断が浮き彫りになる中で、今こそ「利他の時代」だと言われますが、僕自身ユーザーの方や国や自治体と接する中で強く感じてきたことでもあります。

この2年ほど、九州地方に長期滞在することが増えました。そこでは少子高齢化が進むに連れて、人が都心に一極集中するという流れが、抗えない「重力」となっていることを、寂れゆく町や集落を目にして肌身で感じています。

一方で、地方の小さな町や村落に滞在してみると、都市部が経済成長の中で失ってしまったものに触れることが多々あります。相互に助け合う精神だったりとか、他者をちゃんと受け止めて知恵や力を提供し合うあり方だったりとか、町を歩く人に挨拶しあう日常だったりとか。人が人らしくあれる何かが地域にはまだ残っている。

これは僕自身が、原点として目指してきたことに通底しています。

Schooはいわゆるスタートアップど真ん中のSaaSカンパニーと違って、泥臭く、変わった歴史を積み重ねてきている。会社の成り立ちをさかのぼると、そもそも創業の2012年当時から、教育ビジネスをやろうとか、スタートアップぽくあろうとか、ほとんど思っていなかったのです。

当時、僕はニコニコ動画がすごく好きでした。スクーというサービスも、(ニコニコ動画のように)みんなでコミュニティの中で動画を見ながらやり取りをしていく体験がすごく面白いな、というところから始まっています。

オンラインでみんなで繋がり合いながら学び、その学びを通してまた繋がることに価値を見出したことが原点です。

もっと言うと、あくまで学ぶこともつながることも「変わるため」の手段であると思っています。学びを通じた「場」によって人は変わるし、変わるためにまた学ぶ。

少しでも世の中を良くするために、何かを変えるために、変わるためにがんばる人。そうした利他を包摂的に表したのが「あたたかい」です。

「革命」とは何か

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革命という単語は最初に決まりました。

「革命」という万人ウケはしづらい、ビジネスでは異色の単語を選択したのは、日本が少子高齢化によりいやおうにも下方に向かっていく「重力」に抗おうと思うと、力強さは必要だと考えたからです。

「みんなで少しずつ優しい世の中にしていこう」だけでは、次の世代に希望のある社会を残していくことは難しい。

ただ、「革命」というと、なにか大きな利権を貪っている階層があって、それを倒して自分たちの利益をもぎ取る…みたいな人類史から想起する、良くないイメージもありますよね。

むしろビジョンに込めたのは、革命を起こした当人ではなく、その人の周りにいる大切な人や、まだ顔を見ていない次の世代のような「誰かを思う」革命です。正しいシステム(仕組み)を、次の時代に残していくような革命が増えていくべきだと思っています。

「革命」という言葉に帯びる強さは必要だが、同時にそこにある血生臭さをどう取るか。

形容詞をいろいろ並べてみたのですが、最終的には「あたたかい」に落ち着いたのは、前述の通り、やはりそこに「誰かのため」や「つながり」といった、包摂性やインクルーシブが結びつくからです。 

起こすではなく「起こり続ける」

今の世の中は、社会にグランドデザインを示して「この通りに作ればいい」というマスタープラン(統合計画)があり、それをウォーターフォール(上流工程から下流工程へという流れ)的に作っていくやり方は、フィットしずらいと思います。

大切なのは、常に良くあろうと変わり続けること。一度作った成果に固執せず、新しいものに変わりゆこうとする姿勢の方がすごく大切だなと思います

だから僕たちが本当に残したいのは「これが最高の良い世の中だから、この中で生きれば安心だよ」という「完成形」ではない。だから、あたたかい革命を「起こす」ではなく「起こり続ける」と置いています。

「社会を残す」に込めたこと

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人が学ぶ時は、初めは少しでも生活をよくしようとか、自分の将来のためだったりとか、身近な人のためから始まると思います。ただ、やがて視野が広がった時に行き着くところは「社会を変えていくことに、少しでも力を発揮しなければまずい」ということだと思うのです。

12年前の創業時の僕自身も、やはり、いかに会社を軌道に乗せるかや、いかに自分や身近な人たちを幸せにするかのためにやってきました。

しかしながら学べば学ぶほど、自分の視野も広がって「このままだと自分の子どもたちの世代が大変なことになる」に、行き着いています。そうすると、自分たちが社会そのものを変えていかなければ、次の世代にも渡せない。

ミッションとして掲げてきた「世の中から卒業をなくす」は、学び続けることで、そうした社会的な視野で頑張る人たちが増えていくということです。社会的な視野で仕事や生き方を選ぶ人が増えることで、誰かのために「あたたかい革命を起こす」人たちが増える。

それが続く社会を残すというのが、ミッション「世の中から卒業をなくす」からビジョン「『あたたかい革命』が起こり続ける社会を残す」へと、連なる景色です。

今の時代に何が欠けているのか

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人的資本経営であったりとかリスキリングだったりは、言葉としては一時的なブームなのかもしれません。それでも一人ひとりにちゃんと教育を届けていくことは、間違いなく正しいと思っています。

少子高齢化の大波の中で、経済成長を追求するにあたり、"Winner takes -all"のような「勝者が1人しかいない競争」だったり、座れる椅子がむちゃくちゃ少なかったりすることが、苦しさを生んでいる。限られた少ない椅子をみんなで取り合う競争ではなく、もっといろんな幸せの形であったり自分のオンリーワンだったりを追求する世の中の方が絶対にいい。

そうした「余白」や「余裕」の中でこそ、新しい発明であったりとか、イノベーションだったりとか、次の時代に本当に伝承すべきものが生まれていくのではないかと思っています。

すべての人に「学び」という武器を配ることで、あちこちで起きる誰かを思う「あたたかい革命」の総和。そのうねりによって少しずつ社会が前進する。そうすれば、少子高齢化の大波の中であっても、次の世代に渡す未来は悲観すべきものではないはず。

そう信じて、会社を経営しています。


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■株式会社Schooについて

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:「あたたかい革命」が起こり続ける社会を残す
私たちが暮らすこの社会は、多くの人々が生んだ発明、努力、願いによってつくられました。ですが、少子高齢化という揺るぎない流れが、今の社会システムに留まることを許さず、たくさんの劇的な変化を私たちに要求しています。「誰かを想い、何かを変えるために頑張ること」。それが私たちの定義する「あたたかい革命」です。学びを通じた新しいつながりを編み、しがらみや壁を取り払って、社会課題を解く様々なイノベーションを生み出すこと。私たちの子供やその先の世代に「未来はきっと良くなる」と信じ続けられる社会を残すことを目指しています。

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コメント

我妻武彦@製造業 経営者
𝕏から来ました。
創業時のピュアな想いや今回の新しいビジョンへの想いを素直に受け取ることが出来ました。
世の中から卒業をなくすというミッションも私の勝手な解釈も含め、様々な意味合いで賛同します。
お互い頑張って行きましょう。
株式会社Schoo(スクー)【公式】
我妻さん

コメントをいただきありがとうございます!
スクーのミッションや描く未来に共感いただき、とても嬉しいです。
今後とも、応援のほどよろしくお願いいたします。
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【VISION代表インタビュー】「あたたかい革命」を因数分解する|株式会社Schoo(スクー)【公式】
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