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本記事の内容
本記事では、マクスウェル方程式(Maxwell's equation)について解説しています。
各式の変数はそれぞれ以下を意味します。
本記事では、マクスウェル方程式の物理的な意味と各式から導出される法則について解説します。
解釈
磁束密度

右辺にマイナスがついているので、電場の回転

上図は、電磁誘導を確かめる実験(外部リンク)の概要図です。図のように、磁石のN極側をコイルに近づけると、コイルの空洞を通る磁束密度が時間とともに増加します(
ファラデーの電磁誘導の法則
1.1節で説明した通り、式
両辺、面積分をして、
ここで、磁束
式
ただし、

電圧則
キルヒホッフの電圧則(Kirchhoff's Voltage Law: KVL)は、式
となります。式
を得ます。ここで、

電場の線積分は電圧降下を意味するので、この式は電圧則に相当します。

交流信号を電源として用いた場合は、電圧・電流が時間変化するため、式
解釈
電流


右辺の2項について、それぞれ分けて解説します。まず、右辺第2項を無視して
これは、直線上の導線の周囲に方位磁石を配置し、その導線に電流を流すと、方位磁石の針が電流の流れる向きに右ねじを回す方向を向くという実験(外部リンク)に相当します。
続いて、式
変位電流の例として、コンデンサを含んだ回路を用いて説明します。コンデンサは2つの金属板を近接させた素子で、その間には絶縁体などが挟まれています。そのため、電荷はコンデンサを直接通過することができません。
ここで、図のような回路を考えてみましょう。

スイッチをONにすると、この回路には確かに電流が流れ、電源電圧とコンデンサにかかる電圧が等しくなるまで、コンデンサに電荷が蓄積します。では、なぜ物理的に導体が接続されていない回路に電流が流れたのでしょうか。これに説明を与えるのが、変位電流の項です。

コンデンサの片方の金属板を囲む領域について、面積分を考えると、ガウスの法則より、
が成立します。ここで、金属板間の電束密度
両辺を時間微分すると、コンデンサに流れ込む電流を
が成り立ちます。この式を見ると、確かに、
アンペアの周回積分の法則
アンペアの周回積分の法則も、式
両辺を面積分して
ただし、積分領域に流れる電流を
電流則
キルヒホッフの電流則(Kirchhoff's Current Law: KCL)は、式
右辺について考えると、
これは、任意の領域からの電流の湧き出しが

電荷保存則
2.3節で導出した電流則は、2.1節で議論したように、コンデンサの片方の金属板に関しては成立しません(
このとき右辺は、
式
このままでもいいですが、もう少しだけ変形してみます。両辺を体積積分して、
を得ます。電荷がコンデンサに蓄積しているとき、

解釈
電荷から電場の湧き出しがあることを意味しています。正電荷の場合は湧き出し、負電荷の場合は吸い込みになります。

ガウスの法則
式
ここで、
ただし、
解釈
単独の磁荷なるものが存在しないことを意味しています。

正電荷・負電荷はそれぞれ単独で存在しています。対して、N極の磁荷・S極の磁荷なるものは存在せず、N極とS極のセットで存在します。よって、空間上の任意の領域における磁場の湧き出し量は、領域に入る量と出る量が相殺されて
参考サイト
- ミツノ理科室, "電磁誘導でLEDを光らせる", Youtube <https://youtu.be/ANWwXNEWa_A>(参照日:2022年2月6日)
- ミツノ理科室, "よくわかる!電流が作る磁場の実験", Youtube <https://youtu.be/sF9Csaplg3U>(参照日:2022年2月6日)