首都圏で相次ぐ強盗事件を巡り、17日未明、千葉県市川市柏井町で起きた強盗致傷事件で、実行役らに暴行されて連れ去られた会社員の女性(50)の母親(72)が、産経新聞の取材に応じ、当時の状況や被害を受けた悲痛な胸の内を明かした。
「痛々しい娘の顔を見るのはつらかった。命が助かってよかった。(犯人らが)腹立たしい」。母親は涙ながらにこう語った。2階建ての住宅は1、2階ともに派手に荒らされた。1階の押し入れに置いてあったダイヤル式の金庫も壊され、近くにはハンマーのようなものが落ちていたという。
異変に気付いたのは17日午前7時ごろ。夜勤業務を終えて帰宅した母親が、玄関のドアの鍵が開いていることを不審に思ったという。家に入ると、中は荒らされ、割れた窓ガラスが散乱。すぐに110番通報した。女性が行方不明になっていることも判明した。
発覚から約15時間後の17日夜、女性は埼玉県内の宿泊施設で保護された。千葉県警は女性を連れ去り、監禁したとして藤井柊(しゅう)容疑者(26)を逮捕した。
母親は病院で女性と対面。女性は全身に暴行を受け、肋骨を折るなど全治1カ月半の重傷を負った。母親は女性の顔を見て、「つらかった」と振り返る。
母親によると、女性は17日未明、「ガシャンッ」という物音で目を覚ますと、目の前に男らが立っていたという。「金を出せ。出さないと殺す」。こう脅された後に目隠しをされ、粘着テープで手足を縛られた。
「幸いにも金庫にお金は入っていなかった」というが、財布にあった3万円以上の現金や、被害女性のキャッシュカードなどが奪われた。
母親によると、4年ほど前、不用品回収業者を名乗る30代くらいの男が「いらなくなった貴金属はありませんか」と玄関先まで入ってきたことがあったという。
事件を巡り、千葉県警は藤井容疑者のほかに住居侵入や強盗致傷の疑いで高梨謙吾容疑者(21)を逮捕。ほかにも関与した人物がいるとみて行方を追っている。
母親は「襲われる心当たりもない。皆さんの協力で早く犯人を捕まえてほしい」と切実に訴えた。(塚脇亮太)