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The Works "メア√ 共依存END" includes tags such as "ToLOVEる", "ToLOVEるダークネス" and more.
メア√ 共依存END/Novel by 赤身

メア√ 共依存END

44,397 character(s)1 hr 28 mins

本当はメアの誕生日に合わせた11月1日に投稿したかったけど、大幅に予定から遅れて年まで越しちゃった今となっては誕生日記念にこのジャンルの小説を投稿しなくて良かったなって思ったり。それとリトメアの小説お願いだからもっと増えて……
2月1日追記 タイトルを変更しました

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彩南町から離れた場所にあるホテル街、そこは周辺の地域と比べて少しだけ治安の悪さが目立っていた。

学生では近寄り難い雰囲気を持つその街のあるホテルの一室、有無を言わさず制服のまま強引に連れ込まれた結城リトはベッドの上に乱暴に押し倒されている。

押し倒している彼女、黒咲芽亜は黒の下着姿で息を荒くしながらリトに迫っていた、リトは必死に腕や脚に力を入れて抵抗しようにも手錠と足枷で拘束されている状態では何もできない。

「せんぱい、何も怖がる事はないんだよ? 私に身を委ねてくれるだけでいいんだから 」
「や、止めてくれメア、やっぱりこんなの間違ってるって…… 」
「あはっ……無力なリトせんぱいとっても可愛い ♪ すっごく素敵だよ♡」
「痛っっ! メア、一旦落ち着いてくれ ! 」

自分の絶対的優位と抵抗する必死な姿を見て興奮したのか、メアの腕を掴む力が強まっていく。

「この程度で大袈裟ですよぉ。でもやっぱりね、戦闘能力の無い地球人のリトせんぱいは私がずっと側に居て守ってあげないとダメだね。だからせんぱい、いい加減諦めて私を受け入れてください ♪ 」
「違うんだ、オレはこんな形でメアとこういう事はしたくないんだよ。だから頼むよ、いつも通りのメアに戻ってくれよ!! 」

部屋中にリトの懇願とも言える叫び声が響いた。
緊張感が張り詰めながらも静まったのはせいぜい数秒、そして表情を少し曇らせたメアが口を開く。

「嫌だね、こうでもしないとリトせんぱいの事守れないし。もうあんな気が狂いそうな思いは二度としたくないの」
「だからってこんな事は絶対に間違ってるよ、今ならまだ引き返せる、頼むからちゃんと話をしよう」
「……はぁ、もういいや、そろそろお話はおしまいだよせんぱい」

身につけていた残りの下着を目の前で全て脱いだ後、おさげを変身トランスで伸ばしてから鞄から何かを取り出した。

「ちょっと待て、何だよそれ……」

鞄からメアが取り出したものを見て冷や汗が流れる。ピンク色の錠剤が入った片手で掴める程度の大きさの瓶だったが、本能からなのかそれがとても危険な物だとすぐに理解してしまった。

「これと私の変身トランス能力をフルで使えばせんぱいは完全に堕ちるよ ♪ ……さぁリトせんぱい」

リトの両頬を包む様に触れながら惚けた顔で舌舐めずりをしてから続ける。

「一緒に戻れないぐらいの快楽に溺れちゃおっか? くふふっ ♪ 」

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金色の闇の暴走から数日が経った。
彩南町はすっかりいつもの様子を取り戻しており、少し前に地球が滅亡しそうになったとは思えない程に平穏な時間が流れていた。

7月にしては比較的涼しいある日、結城リトは鞄を片手に屋上へと続く階段を気怠げに登っていた。

「ふわぁぁ……久々にここに来ると朝なのに眠くなっちゃうな〜」

最近なにかとバタバタして屋上に来れなかったが久々にお気に入りの昼寝スポットに来ていた。
心配事が減った気の緩みからかまだ登校したばかりなのについ欠伸が出てしまう。

教室に入る前にそのまま持ってきた鞄を枕代わりに敷いてから服が多少汚れる事を承知で寝転んだ。

「ヤミの暴走やダークネス計画も取り敢えずは収まったんだし、少しぐらい授業サボってもバチは当たらない筈だよなー 」

サボる為の適当な口実を呟いて自分に言い聞かせてからそのまま眠ろうとした、その時だった。

「へぇ〜リトせんぱいでも授業サボっちゃう事あるんだねぇ」
「そんな頻繁にサボる訳じゃないし大目に……ってメア!? お前いつの間に!? 」

目を開けるとメアが覆い被さる様にして顔を覗き込んでいた。音も気配も感じなかったせいで激しく動揺するが、その様子を興味深いものを観察する子供の様に楽しそうにメアは見つめていた。

「あはは〜 ♪ いつからでしょー」
「全く驚かすなよ、せっかくの眠気がすっかり覚めたじゃないか」

呆れながら起き上がると、メアはイタズラが成功した事に満足したのかニヤニヤと笑みを浮かべている。

「ごめんなさーい、とっても反省してまーす」
「嘘つけ、明らかに棒読み過ぎるぞ」
「でもせんぱいも結構隅に置けないね、そういう事しないタイプだと思ってたのに意外だよ」
「オレもこうやってサボるのは久々だしそんな頻繁にここに来てる訳じゃないぞ。あ、でもナナや古手川には黙っててくれよ? 」
「あはは、確かにあの二人が聞いたらお説教コースは確定だもんね。いいよ、ナイショにしててあげるけど……その代わり」

焦りながらお願いするリトに対して、何かを思いついたのか不敵に笑いながらメアは続ける。

「放課後に2人だけでデートしましょうよせんぱい ♪ 」
「デッ、デート!? 急に何言ってるんだよ!? 」

あまりに唐突に誘われた為にリトは一瞬自分の耳を疑ったがやはり聴き違いではなかった。
デートという単語だけで顔を真っ赤にしながら動揺してしまう。

「予定がないなら決まりだね ! リトせんぱいと一緒に行きたいお店とかいっぱいあったから楽しみだな〜 ♪ 」
「もう決定してるのか……でもそうだな、メアと二人だけで遊びに行くなんて今まであんまりなかったから良いかもな」

思い返せばメアが彩南町に来てから二人だけで出掛けたという事はあまり無かったかもしれない。
別に仲が悪いという訳では決してないが、なんとなくそういう機会が今までに不思議なぐらいに無かった。

「やったぁ! せんぱいがOKしてくれた」
「そんな大袈裟だぞ、それにわざわざ脅さなくても誘ってくれれば付き合うのに」

大きな声で万歳までして無邪気に喜ぶメアの姿を見て釣られてなんだか嬉しくなってしまう。

「そうと決まれば放課後に校門の前で待ち合わせですよせんぱい! 楽しみにしてるからね ♪ 」

そう言い残すと上機嫌になったメアは、まるでステップを踏む様にしながら足早に去ってしまう。
そしてリトは一人屋上にポツンと取り残されてしまった。

「相変わらず自由奔放だなあいつは。……さてと、オレもそろそろ降りないとホームルームに間に合わないから急がないとな」

まるで激しい通り雨が過ぎた様な気分になったリトは、多少呆気に取られながらもサボる事を諦めて階段を降りていった。

階段を降りる時の足取りは不思議と軽いものだった。




「せんぱ〜い、こっちですよぉ」

放課後になり待ち合わせ予定のメアを待たせない為に早めに教室を出たリトだったが、既に校門の前にはメアが手を振りながら待機していた。

「お待たせ、もう来てたんだな」
「うん ♪ 今日一日中せんぱいとのデートを楽しみにしてたからね! 」
「そ、そうなのか、とりあえずメアの行きたい店に行きながら何か話そっか」

恥ずかしげもなく堂々と言うメアに対してリトは視線を泳がせ照れながらも二人は目的地に向かって歩き出した。

「でねー、そのお店のスイーツって何でも美味しくてーー」
「そうなんだな、そういえばその店って前にテレビにーー」

何気ない会話をしながら徐々に学校から遠ざかっていき彩南校の生徒も姿を見かけなくなっていた。

学校から少し離れた所に来た所で機会を窺っていたのか、『えいっ』と言う掛け声と共にメアが急にリトの腕に自分の腕を組み始めた。

「おまっ、急にくっ付いてくるなよ」
「えへへ〜リトせんぱい捕まえたもんね」
「その、恥ずかしいから離れてくれ! 」

ピッタリと頬ずりしながら密着してくるメアの顔を見ると無理矢理剥がす事はできず、抵抗も言葉だけに留めてしまっている。

「嫌だね ♪ 今だけはせんぱいを独り占めするんだからこれぐらいするもん」
「うぅ、周囲からの目線が恥ずかしいな……」

それからしばらくの間、周囲からの様々な目線を気にしつつもやっと最初の目的地であるカフェに着き、メアが腕を離した事でやっと視線から解放されて安堵した。

「は〜、やっと落ち着ける場所に来れたな。お前がくっ付いてくるからずっと恥ずかしかったんだぞ? 」
「デートなんだからそんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃん ♪ それよりせんぱい、メニューはわたしが頼んでも良いかな? このお店はいっぱいオススメがあるんだよねぇ」
「それならメアに任せようかな、でもあんまり頼み過ぎるなよ? 」

メアが『分かってますよぉ』と返答したものの、熟考した末に店員に頼んだ量はどう考えても学生二人で食べ切るには多く、少し経つとテーブルには次から次へと大量のスイーツが運ばれて来た。

「ありゃりゃ、結構絞ったんだけど思ったより頼み過ぎちゃったね」
「嘘だろ……流石にこんな量は二人だけじゃあ食べ切れないぞ…… 」

机の隅から隅までケーキやらパフェやら名前の分からないお洒落なスイーツ等で埋まってしまい、その光景を見ただけでリトは満腹感に襲われてしまった。

だが同時にリトはこの机に乗っている全てを真剣に選んでくれたのだと思うと、期待に応えて喜ばせてあげたいという気持ちにもなってくる。

「大丈夫だよ、いざとなったらわたしが全部食べるからせんぱいは残す心配なんかせずに好きなものから食べてよ」
「どこまで食べれるか分からないけど、せっかくだし頑張ってみるよ」
「その意気だよせんぱい ♪ じゃあはい、食べさせてあげるからあーんして」
「いやいやいや! それは恥ずかし過ぎるから止めてくれ! 」

その後数十分に渡ってスイーツ達の勝負は続けられ、全体の4割を食べ切った所で力及ばずリトはダウンしてしまった。

「うぷっ。これ以上はもう限界だ……」
「良い食べっぷりだったよせんぱい ♪ 頑張って食べてくれて嬉しいな〜」

机に伏せながら喋るリトの頭をメアは撫でながらとても満足そうな表情をしている。

「ごめんなメア、けど食べたやつは本当に全部美味しかったよ、オレの為に選んでくれてありがとうな」
「どういたしまして〜 ♪ まぁ後は任せてせんぱいはゆっくり休んでなよ」

そのままリトが再び机に伏した数分後には「ごちそうさまでした」と言う声が聴こえ、顔を上げるとテーブルの上からは食器以外の全てが消えてしまっていた。

「は〜美味しかったァ、満足満足 ♪ 」
「凄いな……ものの見事に全部空だ」

メアの食欲に驚きながらも、普段からたい焼きの袋を抱えているヤミを見ているリトにとっては「こういう所は姉妹そっくりだな」と謎の感心を覚えていた。

「せんぱいのお腹が落ち着いたら今度はどこ行こっか? 商店街でブラブラするのも良いし、河川敷や公園でのんびりするのも捨てがたいな〜。あ、それとペットショップにも行ってみたかったんだった! 」
「あんなに食べたのに元気だな、まぁ夜まで時間はあるんだしゆっくり決めような」

それからカフェオレを飲みながら雑談混じりに二人はこれからの予定を話し合い、結果的にまずは公園に行ってからまたそこで改めて決める事にした。

店を出るとまたメアが腕を組んでくるが、それを諦めかのように受け入れたリトは今度は何も言わず歩き出した。

公園までの道のりで何度か彩南校の生徒とすれ違った際にジロジロと見られる事もあったが、リトはその度に顔を赤らめ、メアは逆に見せつける様に密着しながらすれ違っていく。

「ようリト! それにメアちゃんも2人揃ってどうしたんだ? 」
「猿山! こんな所で会うなんて奇遇だな」

目的地である公園近くの歩道で猿山とバッタリ会ってしまった。

「こんにちは〜、猿山せんぱいは何してたの? 」
「オレはゲーセンの帰りだよ。……ってまてよ、なんでお前らそんなに仲良くくっついてるんだ? 」
「これはメアが一方的にくっついてくるんだよ 」
「わたしたちデート中なんですよ〜」
「……デートだってぇぇ??」

デートという言葉を聞いてから猿山のリトへの視線が段々と殺意を持ったものへと変わっていった。

「なるほどなぁ! だからリトお前、オレが今日ゲーセンに誘う前に教室を出て行ったんだな! メアちゃんみたいな可愛い子とデートなんて羨まし過ぎんだろ!! 」

嫉妬からなのか悔し涙を流す猿山はリトの肩を掴むと渾身の力を込めながら前後に思いっきり揺さぶっていた。

「痛ててて!! 誘おうとしてくれてたのに悪かったよ猿山! またなんか奢ってやるから許してくれって」
「フーッ! フーッ! まぁメアちゃんに免じて許してやるけどよ、その約束絶対忘れんなよ? 」
「あはは、よく分かんないけど猿山せんぱいこっわ〜い ♪ 」

なんとか宥めると猿山は落ち着いたが、怒りの原因がリトへの嫉妬から来ているものとは分かっていなさそうにメアはその様子を見ていた。

「しかしなんだな、ララちゃんやルンちゃんには悪いけど2人ともこうして一緒に居るのを見るとまるで本当のカップルみたいだな」
「カ、カップルって、あんまり茶化すなよ! 」
「いやいや、マジな話2人が一緒に居るのを見てたらなんかそう見えてさ。結構お似合いなんじゃねぇか? 」
「……えへへ ♪ そっかァ、わたしとリトせんぱいって周りからそう見えてるんだね」
「ん? 何か言ったかメア? 」

メアが嬉しそうにニヤニヤしながら『なんでもないよ ♪ 』と言い、その後も3人で少し話してから猿山と別れて公園に入っていった。

公園には学校終わりに遊具で遊んでいる小学生や日向ぼっこをする年配の老人、ペットと戯れる飼い主などの姿があった。空いているベンチに座ってからもメアはリトから離れる様子はなかった。

「お、おいメア、流石に暑いしそろそろ離れてくれないか? 子供達も見てるしさ」

ベンチの正面から少し離れた砂場にはこっちを凝視している子供達が数人いた、『ラブラブだ!』『カップルさんだー』と茶化す様にはしゃいでいる。

「ん〜嫌だよ? さっきも言ったけどデートなんだからこれぐらいくっつくのは当たり前ですよぅ」

何を言っても離れそうにない事を悟ったリトは腕から離れてもらう事を諦め、そのままベンチでしばらくゆっくりする事にした。

「でもメアからしたら公園でゆっくりするなんてつまらなくないか? 」
「あー、たしかにせんぱいからしたらわたしがこういう所に来たがるのは意外かな? 」
「そうだな、あんまりオレ達が楽しめる場所でもないし」
「まぁ別に公園じゃなくてもリトせんぱいと一緒に居れれば何処でも良かったんだよね」
「そ、そうなのか? 」

そのまま2人は寄り添うようにして公園の様子を眺めていた、リトは面白いことに目がないメアが本当に退屈してないか少し不安になりながらもベンチから子供達を眺めていた。

数十分が経った頃、普段より気温が低いとはいっても真夏の夕方の時間帯は蒸し暑く、自販機まで自分とメアの飲み物を買いに行く為に席を外していた。

「おーいメア、オレンジとアップルどっちが……ってあれ?どこいったんだアイツ? 」

周りを見渡すと公園の中心に植えられた樹木から変身トランスで機械的な翼を生やしたメアが女の子を抱えたまま降りてきていた。

「よいしょっと、危ないからもう登っちゃ駄目だよ? 」
「うわぁすごい! 天使のお姉ちゃんありがとう! 」
「お姉ちゃんどんなマジック使ったの!? 」
「その羽って本当に本物なの? 」

地面に着いたところで女の子の友達数人がメアを囲みながら目を輝かせて矢継ぎ早に質問していた。
メアの変身トランスを知らない小さい子にとっては本物の天使と見間違えてもおかしくはない。

「次は僕もお空飛んでみたい! 」
「あ、ズルいぞ! オレが先に天使のお姉ちゃんと空飛ぶんだからな! 」
「あはは〜これはちょっと困ったねぇ」

そう言いながらもメアは1人づつ抱えながら公園内を飛び回り、満足した子供達からやっと解放されたのは列で待つ子供達を3周した頃だった。

「はぁ〜疲れた、もうクタクタだよ〜」
「お疲れ様メア、はいこれ」

汗を拭きながらベンチへと戻ってくるメアにジュースを渡した、メアはオレンジを取ったのでリトはアップルジュースの缶を開けてカラカラになった喉元へと運んでいく。

「プハッ、うちもセリーヌが居るから分かるけど子供の相手って大変だろ? 」
「無邪気な子の相手は結構しんどいねぇ、それにしても天使か〜わたしそんなキャラじゃないんだけどなァ」
「……そうかな? オレは子供達に賛成だけど」
「えっ? どういうこと? 」
「あっ、いや、なんでもないよ! オ、オレちょっとゴミ捨ててくるよ! 」

リトは小さく呟いたつもりがメアに聞こえていた事に焦り、逃げるようにして空き缶入れへと向かっていった。
とても恥ずかしくて言える筈もなかった、子供達と一緒に誰よりも楽しそうに遊ぶメアが本当に天使に見えただなんて。

その後も2人で色々と話をした、美柑の料理の腕が最近また上がってきた事、セリーヌの身長が伸びた事、ララの道具で家が消し飛びそうになった事、その全てを楽しそうにメアは聞いてくれていた。

「もうこんな時間か、話してたらいつの間にか時間が経っちゃったな」

薄暗くなるにつれて人も徐々に去っていき、カラスの鳴き声が電線の上から聞こえてきた頃には公園内には気づかない間に2人だけになっていた。

「本当だね、他にも行きたい所はまだあったけど仕方ないか〜」
「家まで送っていくよ、まぁメアには必要ないのは分かってるけど一応心配だからさ」
「せんぱいのそういう優しい所好きだよ ♪ じゃあはい、せんぱい」

今度はメアは腕に組みつくのではなくリトに対して手を差し伸べてくる、疑問に思いながらも手を伸ばし返すと指の隙間から自らの指を絡めてくる。

「えっ、ちょっ」
「恋人繋ぎだよせんぱい。あれ? もしかして知らなかった? 」
「恋人!? 」
「あははっ! せんぱいってこういう事すると毎回面白い反応してくれるよね ♪ それじゃあ帰ろっか」

距離感はこちらの方が遠いとはいえなんとなく腕を組まれる以上の気恥ずかしさに襲われ、帰り道はあまりメアと会話する事ができなかった。

すっかり日も暮れてから前に一度だけ来た事のあるメアの住むマンションの前まで来ると、リトの手を握る力が少しだけ強くなっていた。

「メア? どうしたんだ? 」
「あ……いや、なんでもないよ」

エレベーターを使って部屋の前に着くとメアは名残り惜しそうにリトから手を離した。

「今日はありがとうねせんぱい、とっても楽しかったよ」
「オレもだよ。良かったらまた2人で出掛けようぜ、今度はもっと遠出するのも良いかもな」
「うん! 約束だよせんぱい! 」

そしてメアがリトを見送った後にドアを閉めた後、リトは帰りのエレベーターを待っていた。
家に帰れば家族や皆んなが居るのは分かっている筈なのにメアと別れてからは妙な寂しさを感じてしまう。

エレベーターが徐々に上昇してくると自分のいる階に止まり、片足を踏み出したところでそれ以上進む事はできなかった。なんとなくそれに乗る事はせずに静かに扉が開閉される中で一度見送ってしまった。

「……いやいや、今からまた行っても迷惑になるだけだろ。もう少し話したいだなんて何考えてるんだオレは」
「なら晩御飯でも食べたいってくださいよぉ、なんならそのまま泊まってくれても良いんですよ? 」
「おわっ!!」

またしてもメアがリトに気配を悟らせずに背後に立っていた。驚きのあまり尻餅を着きそうになったがメアの素早い反応で倒れる前に支えられた。

「ととっ、危ない危ない」
「ありがとう……い、居たのかメア。驚かすのは心臓に悪いから止めてくれって」
「そんなつもりじゃなかったんだけどね。それよりせんぱい遠慮せずにうちに来なよ、わたしもせんぱいともっと話したい気分だったからさ」
「良いのか? 時間的にも結構遅いし……」
「いいからいいから ♪ 一名様ごあんな〜い」

有無を言わさずメアがリトの手を引いて半ば強引に家に連れ込んだ。

「お、お邪魔しまーす」
「ようこそわたしの家へ〜」

メアに連れられた部屋に入ると、前と変わらずナナがプレゼントした女の子らしい家具が部屋を彩っていた。所々にお菓子の袋や飲みかけのジュースが散らばっているのを見るとメアが普段どの様な食生活を送っているのかを察して不安になってしまう。

「急いで片付けるからせんぱいはソファーにでも座ってて。ウチってテレビないからちょっと退屈かもしれないけどそこはごめんね」
「そこら中にお菓子の袋が散乱してるな……ちゃんとご飯食べて栄養とか摂ってるのか? 」
「大丈夫ですよぉ〜お菓子にはいっぱい糖分が入ってるから心配ないよ ♪ 」
「糖分って……いや、ヤミもたい焼きばっかり食べてるけど問題なさそうだから本当に大丈夫なのか? 」
「じゃあせんぱい、わたしはお夕飯作ってくるから美柑ちゃん達に遅くなる連絡よろしくね」

そんな栄養失調になってもおかしくない食生活に疑問を持っていると部屋を片付けたメアがキッチンへと入っていった。
美柑に連絡した後ふと思った、お菓子だらけの部屋や異常な食生活を聞かされた後だと夕飯に何を出されるのか見当もつかず少しだけ怖くなってくる。

ドキドキしながら部屋を彷徨いて暫く待っていると、ふと家でも嗅ぎ慣れた食欲を唆る匂いが鼻をくすぐった。

「お待たせしました! メアちゃん特製の甘口カレーライスですよ ♪ 」

机にサラダと共に並べられたのはリトの予想と反して家庭料理でも王道であるカレーライスだった。

「これ本当にメアが作ったのか!? 凄いじゃないか! 」
「おぉ、なんかせんぱいテンション高いね? カレーぐらいで褒めすぎだよ〜」

ヤミにたい焼き入りの味噌汁を食べさせられた経験のあるリトは最悪、大皿のお菓子盛りまで覚悟していたが良い意味で予想を裏切られてついはしゃいでしまっていた。

さらに昼に大量のスイーツを食べて以降、辛いものや塩気のあるものに飢えていた事も重なって段々と食欲が湧いてくる。
手放しでリトに褒められたメアは少し照れ臭そうにしながらお茶を注いでいる。

「さぁさぁいっぱいあるから沢山食べてね」
「じゃあさっそくお言葉に甘えて、いただきます! 」

大口を開けて口に一口目を運んだ。
だが舌が感じた味は予想した辛味とは正反対の甘味だけだった。

「あんまっ!? なんか凄くハチミツの味がするんだけど!? 」
「隠し味にハチミツをいっぱい入れてみたんだ ♪ 前にテレビでカレーにはハチミツが合うって言ってたからわたし好みの量を入れてみたの ♪ 」
「カレーの味が全くしないぞ……」

途端に手を止めたリトを見てメアは何かを察したかの様に落ち込んでしまう。

「……あーもしかしてあんまり美味しくないかな? 」
「そ、そんな事ないぞメア!! たしかにかなり甘いけどオレは甘いカレーも良いと思うぞ!! 」

メアの悲しむ顔を見た瞬間にとてつもない罪悪感に襲われ、リトは覚悟を決めてカレーをハイペースでどんどん掬っていった。

「良かった〜、せんぱいに喜んでもらってとっても嬉しいよ! 」
(せっかく作ってくれたのに悲しませる訳にはいかない! なんとか全部食べきるんだ! )

悲しませたくないその一心でリトはなんとか鍋の中のカレーを食べきり、その後は燃え尽きたかの様にその場から一歩も動けなくなってしまっていた。




「あっ、せんぱいやっと起きた。おはよー ♡ 」
「ん……あれ、オレいつの間に寝て……いや、それよりもこの体勢はまさか!」

リトが寝起きに一番に見たものは自分の頭を撫でながら優しく微笑むメアの顔だった。
徐々に頭が回りだし自分が膝枕をされているのだと理解したリトは急いでその場から離れた。

「あん、もっとせんぱいの可愛い寝顔見たかったのに残念 ♪ 」

時計を見ると時刻は夜中の9時をとっくに過ぎていた、リトはあれから1時間半以上もメアの部屋で寝過ごしていたのだった。

「もうこんな時間なのか! 長居しちゃってごめんなメア、すぐ帰るから! 」
「気にしないでせんぱい。それに美柑ちゃんにはせんぱいを泊まらせていくって電話したから安心して」
「なっ、えぇっ!? 」

慌てながら鞄を持って玄関まで向かおうとしていたリトは思わずその場で固まってしまう。

「だってもうこんな時間だよ、それに明日は休みなんだから無理に帰らなくてもいいじゃん」
「いやいや、そういうことじゃなくてだな。オレも一応男なんだからもっと色々と警戒して「……せんぱいを帰したくないの」」

遮る様にメアが言い放つ、その顔は普段とは打って変わって真剣味を帯びていて、リトの瞳を真っ直ぐに捉えていた。

「帰したくないって、お前……」

言葉の意味に対して困惑するリト、それを聞いてから空気が張り詰めると共に心がざわつき始めてしまう。

「今日のデートで確信に変わったよ。わたしはせんぱいともっと一緒に居たい、今日だけじゃなくてこれからもずっとね」
「ど、どうしたんだ? そんな急に真剣になって」

微かに震えるメアは一度深呼吸をしてから顔を上げて続けた。

「認めたくはなかったけどもう正直になるしかないね。リトせんぱい……わたしやっぱりせんぱいに恋してたよ」

一歩、また一歩とリトに近づきながらメアが自分の想いを曝け出していく。

「ヤミお姉ちゃんやナナちゃんの幸せの為にも心に蓋をしてずっと気づかない振りをするつもりだったの、あの2人には絶対に幸せになって欲しかったから」
「……」

鈍感なリトも自分への告白なのだと流石に気づき、息を呑んでメアの言葉の全てを受け止めている。

「けれどわたしはやっぱりハーレムなんて嫌、せんぱいにはわたしだけを見て欲しい、わたしだけをペロペロして、わたしだけのリトせんぱいで居て欲しいの。……だから、わたしと付き合ってください」

決意の籠った瞳と共に全力で伝えられた心の奥底からの想いを聞き、リトも1人の男として堂々と返そうと決意をした。

「メア……ありがとうな、オレの事そんなに想ってくれてすげぇ嬉しいよ! けどオレは……」

その続きを口に出す前にメアはリトの唇に人差し指を立ててその先を言わせなかった。

「待ってせんぱい、別に返事は今すぐくれなくてもいいの。わたしはまだ気持ちを自覚してスタートラインに立ったばっかりだからこれから沢山せんぱいにアプローチして振り向かせてみせるよ ♪ だからそれまで答えはおあずけにしてて欲しいな」
「……ああ、メアがそう言うなら分かったよ。でもちゃんと気持ちを伝えてくれてありがとう」
「覚悟してねせんぱい ♪ 絶対にせんぱいはわたしのモノにしてみせるから」
「あはは……お手柔らかに頼むな」

その後に早速メアの情熱的なアプローチが始まった。リトの身体を操って一緒に風呂に入ったり、ベッドが一つしかないからと身体を必要以上に密着させてきたりと宣言した通りの激しいアタックが夜通し続いたのであった。

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