こんな記事が新聞に。
「セシウムさいた」抗議受け削除
2012年 03月08日 12時45分
提供元:共同通信
さいたま市で10日開かれる「国際女性デー埼玉集会」(事務局・埼玉県教職員組合)のチラシで、講演タイトルが「さいたさいたセシウムがさいた」とされていることに「福島県民を傷つけている」などの抗議が30件以上あり、県教組がタイトルを削除したことが8日、分かった。タイトルは講演者の米国出身の詩人アーサー・ビナード氏が提案。県教組には「誤解を招くのでは」との声もあったが、ビナード氏の意向で決まったという。
抗議相次ぎ集会中止
2012年 03月09日 19時46分
提供元:共同通信
「国際女性デー埼玉集会」(10日、さいたま市)のチラシで、「さいたさいたセシウムがさいた」との講演タイトルに抗議が寄せられた問題で、実行委員会は9日、「抗議が相次ぎ、講演者や参加者らに迷惑をかける事態が懸念される」として、集会を中止すると発表した。実行委によると6日ごろから、事務局の埼玉県教職員組合に電話やファクスで約40件の抗議が相次いだ。中には危害を加えることを示唆する内容もあった。
この件については、アーサー・ビナード氏自身がラジオ番組でこんなコメントをしている。
大正時代に、『さいたさいたサクラが咲いた』って教科書があって。桜の教科書とかって有名。その時代はセシウムなんかないですね。
僕らがこの100年の間に何をやったか。
桜っていう素晴らしものをセシウムに差し替えた。
その責任をどう子どもたちにとるかっていう、そういう意味なんです。
タイトルつける時に、クエスチョンマークが浮かぶタイトルって、なんだろう。
『さいたさいた、桜がさいた』っていう言葉が、日本語には昔からあって。
その桜っていう植物に、実は僕は、原発のことを色々教わってるんですね。
桜の花びらの調査をずっとやった市民団体に、僕は色々教わった。
桜が咲くことと、セシウムがばらまかれることは深い関係にあって、それを語ろうと思って、そういうタイトルをつけた。
でもそれが誰かを傷つけた、タイトルだとすると、それは僕の本意じゃない。
残念ながら講演会は中止になり、ビナード氏の言う「桜とセシウム」との深いつながりについては語られないことになってしまった。
新聞記事には「セシウムが裂いた」の意味を持たせたという内容のコメントもあったが。真意は?
サイト検索によると、桜に及ぼす放射線の影響について以前から調査している団体があり、原発周辺の桜の花弁の数に異変が見られるデータがあるという。
調査結果では、本来5枚のはずの花弁の数が、原発付近では、多かったり、少なかったりする割合が高いことがわかる。もちろん、その調査は事故後のものではなく、数年前から地道に続けられている調査である。
ビナード氏は講演会でこれらのデータを活用し、聞き手に「何か」を伝えたかったと推測できる。
そのために、大正の終わりから昭和のはじめに出生した世代が学んだ「小学校国定教科書」の冒頭を引用し、タイトルを創案した。
第4期 「小学国語読本」、通称「サクラ読本」。
1933(昭和8)~1940(昭和15)年に使用された。
「大正時代の教科書」は誤認だが、「サクラ読本」として日本の教育の象徴的な存在である。これはまた、大正デモクラシー教育から忠君愛国・軍国教育への「悲劇の転換」を示す歴史的な証言でもある。
さらに「桜」は日本を代表し、象徴する花。
ビナード氏は、こうした諸々の暗示も含めて、またその暗示を正しく受け止める私たちの「教養」を信じて「疑問」を喚起しようとした。
それを揚げ足取りのように非難し、講演会を中止に追い込む行為は、まさに精神の貧困ではないだろうか。ことの是非は、ビナード氏の主張を聞いてから判断すべきだろう。
いまは彼の真意が聞けるときを待ちたい。
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