“闇バイトはなくならない” それでも…

“闇バイトはなくならない” それでも…
5人に1人。

少年院の在院者を対象にしたアンケート調査で、「闇バイト」をしたことがあると答えた割合です。

『お金が手元に入ってきたら、罪悪感は消えていった』
『まともに働くことが馬鹿らしくなった』
『受け子だし罪の意識はあまりない』

寄せられた少年たちの声です。

各地で相次ぐ、特殊詐欺や強盗などの、闇バイトをきっかけとした事件。

逮捕される容疑者に目立つのは、10代や20代の若者です。

闇バイトの危険性が何度も伝えられる一方で、なぜ、多くの若者が闇バイトに手を染めてしまうのか。

なぜ、闇バイトはなくならないのか。

当事者への取材と、全国の少年院を対象にした調査からは、闇バイトの根深さが浮かび上がってきました。

(NHKスペシャル取材班 大津放送局記者 丸茂寛太)

友人からの誘いで

「暴力とは違って、誰も傷つけていない感覚っていうのが強かったので、罪悪感とか何も持てなかったです」
闇バイトに加担したという10代の少年です。

今は関東地方の少年院に在院。

自分の罪に向き合うことで更生につなげたいと、私たちの取材に応じました。
母親とたびたび衝突していたという少年。

家を飛び出して引っ越しのアルバイトなどを転々としていたとき、知人から闇バイトを持ちかけられました。

銀行からお金を下ろしそれを渡すだけと言われたといいます。
少年
「そういう仕事あるのみたいな。どういう仕事って聞いていったら、捕まる可能性があるっていうふうに言われて、あ、詐欺系なのかなって」
最初は、捕まりたくないからと持ちかけられた話を断ります。

しかし、当てにしていた運送の仕事が突然キャンセルになり、ためらいながらも「1週間だけなら」とみずから連絡しました。
「迷いはありました。捕まったら家族との関係が余計に悪くなるんじゃないかということしか考えられなかったです。犯罪の流れは分かっておらず、被害者のことは頭の中になかったです」

カードはお菓子の箱に

指示の連絡は、やりとりが残らない携帯電話のアプリで受けたといいます。
『○○駅に行って、カードを取ってきて』
アプリに送られてきた最初の指示でした。

駅に行き、伝えられたパスワードを入力してコインロッカーを開けます。

そこにあったのは、キャッシュカードを入れたお菓子の箱でした。

キャッシュカードは数枚あり、名義は、ばらばらだったといいます。
電車でショッピングセンターへ移動。

そこで待っていると、メッセージが届きます。
『そろそろATMの近くに行ってください』
『×××(金融機関の名称)のカードを入れて、そこからお金を出してください』
『○○○円引き出してください』
暗証番号はキャッシュカードにペンで書き込まれていました。

指示されたとおりに引き出した現金を封筒に入れて、作業が終わったことを知らせると、やつぎばやに指示がきました。
『ショッピングセンターの△△のお店の隣のトイレに行ってください』
『個室の一番端っこで待機していてください』
『隣からノックが来たら、下から封筒を渡してください』
ノックに応じて封筒を隣の個室へ差し出すと、その封筒はさっとなくなります。

相手と言葉をかわすことはありませんでした。
「出てくださいって言うまでトイレの中にいてください」と指示が来ます。

2、3分後に「もう大丈夫です」と伝えられて個室から出ると、そこには誰もいませんでした。
「これから自分はどうなるんだろうとか、これをやっていて本当に大丈夫なのかなみたいな不安しかなかったです」
この日、少年はあわせて170万円を引き出したといます。

指定された駅で受け取った報酬は8000円。

最初は2~3万円もらえると聞かされていましたが、ほかの人がミスをしたなどと言われ金額を下げられました。

抜けたければ代役を探せ

その後も同様の行為を続けますが、大金を持ち歩くことに不安を感じるようになり、途中で「やめたい」と指示役に伝えたといいます。

しかし、電話で「なんで勝手にやめたいというのか」などと強く言われました。

個人情報を事前に伝えていたこともあり、引き下がるしかありませんでした。
「これ以上何か言ったら家におしかけて来るのではないかと思い怖かったです。『代わりの者を入れるか2週間やれ』というので、分かりましたって答えて」
闇バイトに手を染めてから2週間。

後輩に「ショッピングセンターに1日いるだけでお金をもらえる」と話をもちかけ、その後輩を紹介することで闇バイトから抜け出しました。

少年は同様の行為を重ねる中で次第に罪悪感が乏しくなっていったといいます。
「途中からは、指示されているだけだしという、何か自分を被害者のように思ってやっているという感じでした」

突然警察がやってきた

それから2週間ほどたって、少年のもとに警察がやってきました。
「遊んでいたら急に警察が来て、逮捕状のようなものを見せられて、あのことかっていうふうに思いました。まあ捕まるよねっていう。当たり前だよねっていう感じでした」
今、少年院で自分自身の罪と向き合う日々を過ごしています。
少年
「最初は指示されてやっているっていうふうにしか思っていなかったんですけど、結局、誘われて(闇バイトをする)決断をしてしまったのは僕自身ですし、ずっと被害者のことを考えずに犯行をしてきた自分自身にかなり問題がありました。被害者の方に申し訳ないと思っています」

20%が経験者

少年のように闇バイトに手を染め、少年院に送致される若者は少なくありません。

私たちは、専門家とともに全国の少年院の在院者を対象にアンケートを行いました。

回答を寄せたのは、26施設の計587人。
「闇バイトを行った経験がある」と答えたのは120人。

5人に1人の割合にのぼりました。

“闇バイト”は稼げる!?

闇バイトを始めたきっかけは「遊ぶ金ほしさ」がもっとも多く4割あまりでした。
実際に闇バイトでお金を得られたのか。

アンケートで“報酬”について聞いたところ、さまざな答えがありました。

取材に応じた少年のように、事前に個人情報を押さえられていたり、脅されたりして、犯行グループの末端としての立場を強いられ、報酬もほとんどもらえなかったという事例がありました。
20歳 特殊詐欺の受け子
『闇バイトは本当に闇で、僕の場合はハイリスクノーリターンだったので、本当に使い捨てのコマだったと理解した』

19歳 特殊詐欺の受け子など
『報酬は払われなかった。夢にまで被害者の人たちの声が出てきて、もうこんなことやりたくないと思った』
その一方、指示役などグループの中心的な存在となることで多額の報酬を得ていたと答える事例もありました。
20歳 詐欺の指示役など
『ヤクザの先輩から誘われた。闇バイトは毎週行い、全部で1500万円稼いだ』

15歳 犯行グループのまとめ役
『指示役より上の立場で、500万円をもらいました。実行犯選びや車の手配、どこで何をするのか、指示役は誰にするのかを選びました』

犯罪…だけど乏しい罪悪感

闇バイトに関する意識についても掘り下げて聞きました。

闇バイトをしたことがあると答えた120人のうち8割近くが「犯罪になるかもしれない」と認識していました。

また、「罪悪感が乏しくなる感覚がある」という回答も4割にのぼりました。
私たちとともに調査を行った専門家は、こうした意識の背景には、特殊詐欺のように、キャッシュカードをだまし取ったり、そのカードを使って金を引き出したりするなど、多くのメンバーが役割を分担する闇バイトの仕組みが関係していると話します。
龍谷大学 矯正・保護総合センター 浜井浩一センター長
「闇バイトがかなりの分業制になっていて、全体像が見えている人というのは多くいません。人から指示を受けて、しかも誰でもできるような簡単なことをやっているため、自分が悪いことをしているという実感が持ちにくいと答えている」

背景には労働市場の“闇”

なぜ、闇バイトを「罪」と認識しながらも加担するのか。

実は今回の調査では、闇バイトに加担した少年の9割近くにあたる105人が、アルバイトも含めて仕事をしていたと答え、4割あまりが「仕事にやりがいを感じていた」と答えました。

しかし、その収入については「非常に満足」と「やや満足」をあわせても3割ほどにとどまっていました。

龍谷大学の浜井さんは、長年続く賃金の伸び悩みなど現在の日本の労働市場の問題点をあげながら、“まっとうな仕事では稼げない”という意識の広がりが闇バイトの拡大につながっているのではないかと指摘します。
「大前提として存在しているのが日本の労働市場です。闇バイトが問題になるのと同じように、ブラックバイトやブラック企業もあり、日本の労働環境の中で労働を搾取されていると思っているわけです。闇バイトで成功している少年たちですらまっとうな仕事をしたいと思っています。ただ、まっとうな仕事では稼げないっていうことも分かっているようです」
その上で、浜井さんは、闇バイトは▼中心的な立場の者は高い報酬が得られ、▼リスクの高い実行役を次々にリクルートできるようになっているなど、取締りを強化しても次の誰かが参入してきてしまうと指摘します。

まっとうに稼いで暮らせる社会を

それでも、闇バイトをなくすためには、どうすればよいのか。

その手がかりになりそうなのが、アンケートで「闇バイトを行った経験がある」と答えたおよそ半数の少年が「きつくても安定した収入が得られる仕事がしたい」と回答していることです。

寄せられた少年の声です。
『お金に余裕があったらとか、自分の居場所があったらせずに済んだと思います』

『まともに働き安定した収入があれば、闇バイトとは関わらなかったと思う』

『(闇バイトを)やる前に警察や親に相談することがとても大切だと思う』
龍谷大学 矯正・保護総合センター 浜井浩一センター長
「社会の中でまっとうに生きていける、やりがいを感じられる、それなりの収入を得てちゃんと生活できる仕組みが存在していれば、闇バイトは存在し得ないんです。きちんと働いて幸せになれる、まっとうな仕事を選択できるような社会を目指していかないと闇バイトはなくならない」
闇バイトは犯罪で、それに加担することは決して許されるものではありません。

それでも、闇バイトがなくらない背景に私たち1人ひとりが目を向けなければならないと思いました。
NHKスペシャル取材班
大津放送局記者
丸茂寛太
闇バイトに加担し交通事故で死亡した大学生の父親と知り合ったことをきっかけに、取材を続けています
“闇バイトはなくならない” それでも…

WEB
特集
“闇バイトはなくならない” それでも…

5人に1人。

少年院の在院者を対象にしたアンケート調査で、「闇バイト」をしたことがあると答えた割合です。

『お金が手元に入ってきたら、罪悪感は消えていった』
『まともに働くことが馬鹿らしくなった』
『受け子だし罪の意識はあまりない』

寄せられた少年たちの声です。

各地で相次ぐ、特殊詐欺や強盗などの、闇バイトをきっかけとした事件。

逮捕される容疑者に目立つのは、10代や20代の若者です。

闇バイトの危険性が何度も伝えられる一方で、なぜ、多くの若者が闇バイトに手を染めてしまうのか。

なぜ、闇バイトはなくならないのか。

当事者への取材と、全国の少年院を対象にした調査からは、闇バイトの根深さが浮かび上がってきました。

(NHKスペシャル取材班 大津放送局記者 丸茂寛太)

友人からの誘いで

「暴力とは違って、誰も傷つけていない感覚っていうのが強かったので、罪悪感とか何も持てなかったです」
闇バイトに加担したという10代の少年です。

今は関東地方の少年院に在院。

自分の罪に向き合うことで更生につなげたいと、私たちの取材に応じました。
母親とたびたび衝突していたという少年。

家を飛び出して引っ越しのアルバイトなどを転々としていたとき、知人から闇バイトを持ちかけられました。

銀行からお金を下ろしそれを渡すだけと言われたといいます。
少年
「そういう仕事あるのみたいな。どういう仕事って聞いていったら、捕まる可能性があるっていうふうに言われて、あ、詐欺系なのかなって」
最初は、捕まりたくないからと持ちかけられた話を断ります。

しかし、当てにしていた運送の仕事が突然キャンセルになり、ためらいながらも「1週間だけなら」とみずから連絡しました。
「迷いはありました。捕まったら家族との関係が余計に悪くなるんじゃないかということしか考えられなかったです。犯罪の流れは分かっておらず、被害者のことは頭の中になかったです」

カードはお菓子の箱に

指示の連絡は、やりとりが残らない携帯電話のアプリで受けたといいます。
『○○駅に行って、カードを取ってきて』
アプリに送られてきた最初の指示でした。

駅に行き、伝えられたパスワードを入力してコインロッカーを開けます。

そこにあったのは、キャッシュカードを入れたお菓子の箱でした。

キャッシュカードは数枚あり、名義は、ばらばらだったといいます。
電車でショッピングセンターへ移動。

そこで待っていると、メッセージが届きます。
『そろそろATMの近くに行ってください』
『×××(金融機関の名称)のカードを入れて、そこからお金を出してください』
『○○○円引き出してください』
暗証番号はキャッシュカードにペンで書き込まれていました。

指示されたとおりに引き出した現金を封筒に入れて、作業が終わったことを知らせると、やつぎばやに指示がきました。
『ショッピングセンターの△△のお店の隣のトイレに行ってください』
『個室の一番端っこで待機していてください』
『隣からノックが来たら、下から封筒を渡してください』
ノックに応じて封筒を隣の個室へ差し出すと、その封筒はさっとなくなります。

相手と言葉をかわすことはありませんでした。
「出てくださいって言うまでトイレの中にいてください」と指示が来ます。

2、3分後に「もう大丈夫です」と伝えられて個室から出ると、そこには誰もいませんでした。
「これから自分はどうなるんだろうとか、これをやっていて本当に大丈夫なのかなみたいな不安しかなかったです」
この日、少年はあわせて170万円を引き出したといます。

指定された駅で受け取った報酬は8000円。

最初は2~3万円もらえると聞かされていましたが、ほかの人がミスをしたなどと言われ金額を下げられました。

抜けたければ代役を探せ

その後も同様の行為を続けますが、大金を持ち歩くことに不安を感じるようになり、途中で「やめたい」と指示役に伝えたといいます。

しかし、電話で「なんで勝手にやめたいというのか」などと強く言われました。

個人情報を事前に伝えていたこともあり、引き下がるしかありませんでした。
「これ以上何か言ったら家におしかけて来るのではないかと思い怖かったです。『代わりの者を入れるか2週間やれ』というので、分かりましたって答えて」
闇バイトに手を染めてから2週間。

後輩に「ショッピングセンターに1日いるだけでお金をもらえる」と話をもちかけ、その後輩を紹介することで闇バイトから抜け出しました。

少年は同様の行為を重ねる中で次第に罪悪感が乏しくなっていったといいます。
「途中からは、指示されているだけだしという、何か自分を被害者のように思ってやっているという感じでした」

突然警察がやってきた

それから2週間ほどたって、少年のもとに警察がやってきました。
「遊んでいたら急に警察が来て、逮捕状のようなものを見せられて、あのことかっていうふうに思いました。まあ捕まるよねっていう。当たり前だよねっていう感じでした」
今、少年院で自分自身の罪と向き合う日々を過ごしています。
少年
「最初は指示されてやっているっていうふうにしか思っていなかったんですけど、結局、誘われて(闇バイトをする)決断をしてしまったのは僕自身ですし、ずっと被害者のことを考えずに犯行をしてきた自分自身にかなり問題がありました。被害者の方に申し訳ないと思っています」

20%が経験者

少年のように闇バイトに手を染め、少年院に送致される若者は少なくありません。

私たちは、専門家とともに全国の少年院の在院者を対象にアンケートを行いました。

回答を寄せたのは、26施設の計587人。
「闇バイトを行った経験がある」と答えたのは120人。

5人に1人の割合にのぼりました。

“闇バイト”は稼げる!?

闇バイトを始めたきっかけは「遊ぶ金ほしさ」がもっとも多く4割あまりでした。
実際に闇バイトでお金を得られたのか。

アンケートで“報酬”について聞いたところ、さまざな答えがありました。

取材に応じた少年のように、事前に個人情報を押さえられていたり、脅されたりして、犯行グループの末端としての立場を強いられ、報酬もほとんどもらえなかったという事例がありました。
20歳 特殊詐欺の受け子
『闇バイトは本当に闇で、僕の場合はハイリスクノーリターンだったので、本当に使い捨てのコマだったと理解した』

19歳 特殊詐欺の受け子など
『報酬は払われなかった。夢にまで被害者の人たちの声が出てきて、もうこんなことやりたくないと思った』
その一方、指示役などグループの中心的な存在となることで多額の報酬を得ていたと答える事例もありました。
20歳 詐欺の指示役など
『ヤクザの先輩から誘われた。闇バイトは毎週行い、全部で1500万円稼いだ』

15歳 犯行グループのまとめ役
『指示役より上の立場で、500万円をもらいました。実行犯選びや車の手配、どこで何をするのか、指示役は誰にするのかを選びました』

犯罪…だけど乏しい罪悪感

闇バイトに関する意識についても掘り下げて聞きました。

闇バイトをしたことがあると答えた120人のうち8割近くが「犯罪になるかもしれない」と認識していました。

また、「罪悪感が乏しくなる感覚がある」という回答も4割にのぼりました。
私たちとともに調査を行った専門家は、こうした意識の背景には、特殊詐欺のように、キャッシュカードをだまし取ったり、そのカードを使って金を引き出したりするなど、多くのメンバーが役割を分担する闇バイトの仕組みが関係していると話します。
龍谷大学 矯正・保護総合センター 浜井浩一センター長
龍谷大学 矯正・保護総合センター 浜井浩一センター長
「闇バイトがかなりの分業制になっていて、全体像が見えている人というのは多くいません。人から指示を受けて、しかも誰でもできるような簡単なことをやっているため、自分が悪いことをしているという実感が持ちにくいと答えている」

背景には労働市場の“闇”

なぜ、闇バイトを「罪」と認識しながらも加担するのか。

実は今回の調査では、闇バイトに加担した少年の9割近くにあたる105人が、アルバイトも含めて仕事をしていたと答え、4割あまりが「仕事にやりがいを感じていた」と答えました。

しかし、その収入については「非常に満足」と「やや満足」をあわせても3割ほどにとどまっていました。

龍谷大学の浜井さんは、長年続く賃金の伸び悩みなど現在の日本の労働市場の問題点をあげながら、“まっとうな仕事では稼げない”という意識の広がりが闇バイトの拡大につながっているのではないかと指摘します。
「大前提として存在しているのが日本の労働市場です。闇バイトが問題になるのと同じように、ブラックバイトやブラック企業もあり、日本の労働環境の中で労働を搾取されていると思っているわけです。闇バイトで成功している少年たちですらまっとうな仕事をしたいと思っています。ただ、まっとうな仕事では稼げないっていうことも分かっているようです」
その上で、浜井さんは、闇バイトは▼中心的な立場の者は高い報酬が得られ、▼リスクの高い実行役を次々にリクルートできるようになっているなど、取締りを強化しても次の誰かが参入してきてしまうと指摘します。

まっとうに稼いで暮らせる社会を

それでも、闇バイトをなくすためには、どうすればよいのか。

その手がかりになりそうなのが、アンケートで「闇バイトを行った経験がある」と答えたおよそ半数の少年が「きつくても安定した収入が得られる仕事がしたい」と回答していることです。

寄せられた少年の声です。
『お金に余裕があったらとか、自分の居場所があったらせずに済んだと思います』

『まともに働き安定した収入があれば、闇バイトとは関わらなかったと思う』

『(闇バイトを)やる前に警察や親に相談することがとても大切だと思う』
龍谷大学 矯正・保護総合センター 浜井浩一センター長
「社会の中でまっとうに生きていける、やりがいを感じられる、それなりの収入を得てちゃんと生活できる仕組みが存在していれば、闇バイトは存在し得ないんです。きちんと働いて幸せになれる、まっとうな仕事を選択できるような社会を目指していかないと闇バイトはなくならない」
闇バイトは犯罪で、それに加担することは決して許されるものではありません。

それでも、闇バイトがなくらない背景に私たち1人ひとりが目を向けなければならないと思いました。
NHKスペシャル取材班
大津放送局記者
丸茂寛太
闇バイトに加担し交通事故で死亡した大学生の父親と知り合ったことをきっかけに、取材を続けています

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