生活費や学費が賄えず、日本で研究を続けられなかったかもしれない――。中国人の羅雯姝(らぶんじゅう)さんは、留学生活の苦境ぶりをこう振り返る。その後、経済的な支援の手厚い欧州の大学に籍を移した羅さん。日本で学ぶ留学生は約14万人に上るが、欧州などに比べ経済的な支援は手薄だ。研究環境の悪化は、留学生の定着を阻む事態を招いている。
羅さんは2008年、在学していた上海海洋大の提携校だった北海道大に留学するため、来日した。欧米よりも中国に近く、専門とする海洋応用生命科学の研究環境も整っている北大大学院で修士号を取得。正確な実験データを追求し、緻密に研究を進めるスタイルに魅力を感じ、静岡県内にある総合研究大学院大学の博士課程(遺伝学)に進学。日本に残る選択をした。
この記事は有料記事です。
残り1923文字(全文2255文字)