『復刻版 小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』阪口和久、尼子騒兵衛/朝日新聞出版

 漫画『落第忍者乱太郎』とアニメ『忍たま乱太郎』をご存じだろうか。忍者を育成する学校「忍術学園」に通う乱太郎、きり丸、しんべヱを中心に描かれる物語だ。コミカルなイメージがあるが、今回の小説ではシリアスな雰囲気が漂う。

 乱太郎たち一年は組の教科担任の教師・土井半助が行方不明となった。実技担任の山田伝蔵と忍術学園の六年生は捜索に出向くことに。時同じくして、学園と敵対関係にあるドクタケ城に不穏な動きが…。

 注目してほしいのは、土井先生ときり丸の関係。土井先生は地方豪族の出身だったが、幼いころに家が滅んだという過去を持つ。そのため、戦争で家族をなくしたきり丸を気にかけている。2人の間には、教師と教え子の関係だけでなく、兄弟や親子のような絆がある。「ぼくはまた、ひとりぼっちになってしまうのですか?」。心の中でそう語るきり丸の心境を考えると思わず涙が出てくる。

 戦闘シーンにも力を入れているのも印象的だ。特に、六年生がドクタケ忍者隊の軍師を名乗る男と対峙(たいじ)するシーンでは、緊張感が走る。挿絵は原作者の尼子騒兵衛さんが担当している。味のあるイラストで物語を彩る。

 12月には本作品を原作とした映画が上映される。先日は、本予告映像となにわ男子による主題歌のタイトルも解禁された。小説と映画、それぞれのよさを見つけてみるのもよさそうだ。(朝日新聞出版/1100円)

(コンテンツ部・池田知恵)