日本赤十字社の献血ルーム伏見大手筋(京都市伏見区)での採血が原因で手に障害を負ったとして、同区の男性が日赤に約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日までに、京都地裁であった。齋藤聡裁判長は請求を一部認め、約410万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2009年12月、同献血ルームを訪問。看護師が左腕に注射器を刺した際、強い痛みがあり、採血は中止した。手に力が入りにくいなどの症状があり、翌年、病院で左手正中神経不全損傷と診断された。日赤側は、看護師が注射針を深く刺したまま血管を探った過失は認め、採血が障害に影響した程度を争っていた。
齋藤裁判長は、男性側が主張の根拠とする、手の広範囲で触覚が鈍麻しているなどとした18年時点の診断書は「事故から8年余りを経て作成され、事故との因果関係を直ちには認めがたい」とし、症状が固定した11年の診断書を基準に、賠償額は計約410万円にとどまると判断した。
日本赤十字社は京都新聞社の取材に「判決を受けて今後の対応を検討している」とした。