新型コロナウイルスをめぐっては、とにかくPCR検査を増やせという論者が後を絶たない。これについて「医療現場を混乱させるだけだ」と批判するのは、がんや遺伝子の専門医で、日本感染症学会にも所属する仲田洋美医師だ。ネット上でも論客として知られる仲田氏は、ウイルスを15~30分で検出できるという抗原検査についても「やみくもに増やしても意味はない」とクギを刺す。
PCR検査を症状のない人も受けられるようにして感染の実態を把握することが重要といった主張はいまだに聞かれる。
仲田氏は「そもそもPCR検査は技術的に難しい中で、限りなくデータを増やすことに何の意味があるのか全く分からない」と語る。
その理由も明快だ。「仮に感染者の実数を把握するため、都民全員に検査したとしても、陰性だった人たちの1週間後の結果は誰にも分からない。陰性となった人は安心して行動も変わるだろうし、かえって混乱を招く恐れもある」と仲田氏は指摘する。
「PCR検査の感度(実際に感染しているときに正しく陽性が出る確率)が約7割とされる中、医師が本当に恐れるのは、感染者を陰性と判断してしまい、感染を拡大させてしまうことだ。新型コロナウイルスの場合、重要なのは肺炎など重症化する患者であり、検査を増やすことで医療現場に混乱を生じさせてはいけない。今後、精度を上げる必要性はあるが、症状がみられる人にのみ検査を実施するという政府の方針は現状では理にかなっている」と評価をする。
感染の有無を確認する別の検査方法として脚光を浴びているのが抗原検査だ。ウイルス特有のタンパク質(抗原)を狙ってくっつく物質を使い、患者の検体中にウイルスがいるかどうかを調べる。PCR検査が判定に数時間程度かかるのに対し、抗原検査は15~30分でできるのが特徴だ。
厚生労働省は抗原検査の簡易キットを13日付で承認。東京都も導入を検討している。