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小林よしのり
2017.1.7 02:22皇統問題

「おことば」が政治的権能と言う異常


明確にしておかねばならないことがある。

AERA」で原武史が天皇陛下の「おことば」自体が

「国政に関する権能」の行使だと捉え、憲法4条に

抵触すると言っている。

 

竹田恒泰も「朝ナマ」で、天皇が退位の意思を示すことが

「国政に関する権能」だと言っていた。

 

そのとき、法哲学者の井上達夫氏が言ったことは重要である。

「天皇の地位につくということが、大変な人権侵害を伴う

のだから、それを(退位を)個人の同意に基づくとすることに

何らおかしなことはない。」

「天皇に禁じられているのは、政治的権能、他者を支配する

政治的権能は有しないけれども、自分の、個人としての人権を

剥奪されている中で、あえてその地位につくかつかないかを

自分の意思で選べるということには、何の問題もない。」

 

左翼の憲法学者と、竹田恒泰、そして八木秀次が、奇妙なことに

憲法4条を極端に狭く解釈して、即位・退位に関する本人の

意思を封じてしまおうとしている。

「否応なくお前は天皇になれ!そして死ぬまで退位を許さん!」

と「奴隷化」しようとしているのだ。

「天皇・奴隷化計画」である。

 

左翼憲法学者と、安倍政権の男系原理主義者どもが、

共に「天皇・奴隷化計画」を主張してるのが、まったく奇妙で

嗤える話ではないか。

 

事実上は、現在の制度でも、即位を拒む自由も、退位をする

自由もある。

皇室典範第三条に「重大な事故があるときは、皇室会議の議

により・・・皇位継承の順位を変えることができる」とある。

本人が拒めば「重大な事故」と見なされるのだから、本人次第なのだ。

 

即位・退位を維持でも拒めば、天皇の首に鎖をつけて、

無理やり国事行為をやらせることができるか?

そんなことは無理である。

 

だからわしは天皇を「やっていただいている」と国民が思わ

ないといけないと言っているのだ。

「無理にでもやらせてやる」では天皇制は維持できない。

幼児じゃあるまいし、この程度の常識も分からないのだろうか?

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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テーマ: ゴー宣DOJO in広島「原爆の悲惨さはなぜ伝わらないのか?」

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