流行歌の連発で賞レースが荒れに荒れた70年代! 『紅白歌合戦』の視聴率は毎年70%超え!?

更科 修一郎 プロフィール

美空ひばり復活! 1979年の『NHK紅白歌合戦』

レコード大賞を受賞したジュディ・オング。(写真:Getty Images)

1979年の『第30回NHK紅白歌合戦』は記念大会と銘打ち、美空ひばりが特別出演で復帰することが話題となった。

歴代最高視聴率を記録した1963年の『第14回NHK紅白歌合戦』から、ひばりは10年連続でトリを務めてきたが、1973年、弟のかとう哲也が三代目山口組系益田組の舎弟頭となり、逮捕されたことが問題となり、『第24回NHK紅白歌合戦』に落選。以後、NHKとは絶縁状態になっていたからだ。

 

1973年と言えば、東映の『仁義なき戦い』シリーズが大ヒットした年だが、ヤクザ映画が陰惨な実録路線に転じたのも、1972年のあさま山荘事件で学生運動が沈静化した代わりに暴力団が社会問題となっていたからだ。

そのため、官憲側は社会的影響の強いスターを晒し上げることで、暴力団排斥の風潮を形成しようと考えたのだが、三代目山口組組長・田岡一雄が後見人を務めていた美空ひばりは格好の標的だった。

結局、紅白不出場となった1973年は紅白トリの真裏になる23時から45分間、NET(のちのテレビ朝日)からのスタジオライプで『美空ひばりワンマンショー』を放送し、翌年からの4年間も、大晦日の新宿コマ劇場公演をNETが生中継していた。

しかし、1978年に入ると、4月に『ひるのプレゼント』へ3日間出演し、12月26日には『NHKビッグショー』にも出演するなど、現場レベルでの手打ちはすでに行われていた。

そして、直前に放送された『第21回日本レコード大賞』では、ジュディ・オング『魅せられて』が大賞に輝いていた。

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