都はるみ登場時の瞬間最高視聴率は「84.4%」!? 80年代の『NHK紅白歌合戦』と漫才ブームの余波

更科 修一郎 プロフィール

吉川晃司が大暴れ! 1985年の『NHK紅白歌合戦』

今ではすっかりロマンスグレーの髪色が似合う「イケおじ」に。(写真:Getty Images)

1984年の『第35回NHK紅白歌合戦』は引退表明していた、都はるみのラストステージだったこともあり、視聴率78.1%を記録した。

都はるみ登場時の瞬間最高視聴率は84.4%だったが、翌1985年は演歌系のヒット曲が乏しかったため、『第36回NHK紅白歌合戦』ではアイドル、バンド枠を増やすことになった。

初出場は石川秀美、吉川晃司、テレサ・テン、C-C-B、松原のぶえ、鳥羽一郎、安全地帯、原田知世だったが、紅組の石川秀美に続いて白組トップバッターを務めた吉川晃司は、1985年10月2日に放送された『夜のヒットスタジオDX』でアン・ルイスと『六本木心中』をデュエットしつつ疑似セックスを演じたことで物議を醸していた。

なので、「紅白でも何かやらかすのでは?」と思われていたのだが、案の定、この年のカネボウ・夏のキャンペーンソングだった『にくまれそうなNEWフェイス』を歌いながら、持ち込んだシャンパンをぶち撒け、最後はギターにオイルを振りかけて燃やすイキリっぷりだった。

 

カメラには映らなかったが、3曲目の河合奈保子の持ち時間にまで食い込む暴走っぷりにステージの清掃が間に合わず、4曲目で登場したシブがき隊の布川敏和はシャンパンの残滓で足を滑らせ、2回転倒していた。

このため、筆者の家では吉川晃司と『ザ・ベストテン』(TBS)や『オールナイトフジ』(フジテレビ)で、度々テレビカメラを破壊していたとんねるずが同じハプニング芸人枠として認識されてしまった。

吉川本人も広島在住の姉から「姉弟の縁を切るよ!」と怒られたが、パフォーマンス自体は現場スタッフと事前に打ち合わせた「演出」だったと、『舞いあがれ!』の番宣で出演した2022年12月9日の『あさイチ』(共にNHK)で謝っていた。

なので、以後の紅白出場こそなかったが、のちの長渕剛とは違い、NHK自体は出禁になっていない。転倒した布川も吉川の夜遊び友達だったから、笑って済ませていた。

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