粗悪なハゲタカ学術誌の卵?怪しいネット誌、メールを送ってみると…
毎日新聞
2024/10/18 05:30(最終更新 10/18 05:30)
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この春、インターネット上のある学術出版社のサイトが「怪しすぎる」と研究者の間で話題になった。本拠地を「北海道」と称し、日本の研究者に論文投稿を呼びかけているのだが、論文は一本も掲載されていない。
記者(鳥井)は長年、「ハゲタカジャーナル」と呼ばれる粗悪な学術誌の横行を取材してきた。査読(論文の内容チェック)もそこそこに、研究者から受け取る掲載料を目当てにした悪質なビジネスだ。
ピンときた。このサイトはもしや、これから羽ばたかんとするハゲタカ誌の「卵」なのでは――。サイト運営者は「私たちは学術誌の出版社です。原稿投稿をご招待いたします」と、おそらくは機械翻訳であろう日本語を使っていた。調べてみると、海外のある人物にたどり着いた。
函館、新宿、ラスベガス。運営元を探し、たどり着いた先のてん末は記事後半で
「科学的および研究情報の発展に焦点を置く、先駆的な拠点です。私たちと一緒に発見の航海に乗り出し、境界を超え、視野を広げ、科学的卓越性の追求に制約のない旅に参加しませんか?」
このような文章を掲げていたのは、「アジア学術情報センター」と名乗るサイトだ。記載によると、センターは日本語で書かれた論文を集めた二つの学術誌「日本語教育と学習」と「日本語と社会」を出版しているという。いずれも「日本語教育の研究に特化した新しい査読付き学術誌です」などと称し、2月と8月の年2回発行しているそうだ。「2024年1巻1号」の表紙とされる画像も掲載されている。
しかし、サイトには編集長や編集委員の名前が見当たらない。健全な学術誌なら、どこの誰が編集を担うのか責任の所在を明らかにするはずだ。
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センターは不特定…
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