法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『名探偵コナン』空飛ぶハロウィンカボチャ/本庁の刑事恋物語~結婚前夜~

 どちらも2022年の劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』*1と連動してTV放送されたエピソードで、映像ソフトの限定版に特典として収録され、個別の配信もされている。


「空飛ぶハロウィンカボチャ」は、劇場版と同じく大倉崇裕が脚本をつとめた、30分枠のアニメオリジナルエピソード。住宅街の一角で起きた少し不思議な事件の謎を解く。

 推理小説家の脚本だが、ハウダニットはイマイチ。空を飛ぶカボチャは明らかに風船として描写されているので最初から謎ではないし、それでいて風船をあらかじめふくらませた状態で保管しているという不自然な状況がトリックの根幹になっている。配る直前にガスを充填するのが一般的には普通な気がする。ここはヘリウムや水素で浮かぶ風船ではなく紙製の提灯のような物体にするか、あるいは会話のなかでガスを充填した状態で業者からうけとっているという説明がほしい。
 しかしホワイダニットは良かった。あらかじめ細かく説明された時系列から、いつ誰がどのように行動していったかパズルのように当てはめて、その夜に何が起きたのか、どうしてそうなってしまったのかを高い説得力で描く。いくら評価が高いとはいえ、たかだか町内コンテストで優勝するていどの素人のカボチャを盗んだ意味も、同じように時系列の説明から納得できる答えを出して、ミステリのコンセプトに一貫性がある。実のところ、犯人は被害者へ素直に説明すれば良かったのではと思わなくもないが、時間がなくて深く考える余裕がなかったのだろうと想像する余地があるので許せる。


「本庁の刑事恋物語~結婚前夜~」はサブキャラクターの高木刑事と佐藤刑事が距離をちぢめていく「本庁の刑事恋物語」シリーズを2時間枠にダイジェストしたもの。
 初期の高木刑事は頬骨がはっていなかったり、アナログ制作とデジタル制作が混在してたり、いかにも映像に統一感のない説明重視な総集編。超長期作品ならではの歴史を感じさせる面白味はあるが。
 しかし連続で事件を見せられると、高木刑事が拉致される展開ばかりだな……という感想になった。天丼ギャグすれすれだし、もう少しパターンのバラエティを出せなかったものかと思う。