市民の個人情報を漏らした罪に問われた元福岡市職員に実刑判決
市民の個人情報を知人に漏らしたとして地方公務員法違反の罪などに問われた福岡市の元職員に対し、福岡地方裁判所は「市民の信頼を裏切るもので、規範意識が欠けている」などとして懲役2年6か月の実刑判決を言い渡しました。
福岡市の元職員、野中俊秀被告(35)は、九州大学の跡地の整備を担当する部署で勤務していたおととし、土地区画整理事業の対象だった私有地の地権者の個人情報をSNSで知人に漏らしたほか、知人から借りた高級腕時計あわせて4本を1050万円で質に入れたなどとして、地方公務員法違反と横領の罪に問われました。
これまでの裁判で元職員側は、「違法な取り調べで証拠が収集された」などとして、無罪を主張していました。
8日の判決で福岡地方裁判所の田野井蔵人裁判官は「記録を精査しても、違法に収集された証拠は見当たらない」と指摘しました。
その上で、「被告は株やFXの投資で1億8000万円以上の損失を抱えていた。資金に困り、金銭を得ようとしたものと合理的に推認できる。いずれの犯行もみずからの利益のために市民や他者からの信頼を軽々しく裏切るもので、厳しい非難に値し、規範意識が欠けている」として、元職員に懲役2年6か月の実刑を言い渡しました。