全2990文字
IBMはエラー率を低減した量子コンピューターを2023年に開発した(出所:IBM)
IBMはエラー率を低減した量子コンピューターを2023年に開発した(出所:IBM)
[画像のクリックで拡大表示]

 量子計算を担う「量子ビット」の増加により、量子コンピューターの応用に向けた道筋が見えてきた。米IBMや欧米のスタートアップが開発を進め、足元では量子ビット数が1000を超えた。今後さらに量子ビットが増えていくと何ができるようになるのか、事例を紹介しながら解説する。

量子ビット数の増加によって量子コンピューターの社会実装に期待が高まる(出所:日経クロステック)
量子ビット数の増加によって量子コンピューターの社会実装に期待が高まる(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 量子コンピューターと一般的なコンピューター(古典コンピューター)では、得意な計算が異なる。量子コンピューターは、量子化学計算や組み合わせ最適化といった計算が得意で、将来はこれらの分野でスーパーコンピューターに代わる計算資源になると期待されている。2030年ごろには量子ビット数が1万を超える見通しで、この頃から少しずつ社会実装が増えていきそうだ。

 量子コンピューターの性能を評価するのは難しい。量子ビット数だけではなく、エラー(誤り)率やゲート操作速度、ソフトウエアなど多くの要因が複雑に絡み合っているからである。それでも大まかには、低いエラー率の下で量子ビット数が増えると、より複雑なアルゴリズムを解けるようになると考えておけばよい。そのため、多くの企業や研究機関が量子ビット数の増加とそれによって解ける問題について調査する研究に取り組んでいる。