【テレビ朝日元法務部長が追う木原事件】ついに遺族が検事と初対面…!告げられた「衝撃の言葉」と検察が示唆した「独自捜査」の可能性
「ずっと苦しい思いをしてきたんです。'18年の再捜査で希望を持ったのに、突然奈落の底に落とされた。今度こそぜひ捜査をしてください」
涙ながらの声が部屋に響き、空気が一変した。その時だった。検察官はこう明言した。
「これは、しっかりやらないといけない事件です」
遺族が長い間もがき続けてきて、ようやく聞くことができた言葉だった。
読売新聞の「完全な誤報」
2日前の12月23日夜――。種雄さんの長姉と次姉が乗った車は、何かに突き動かされるように関東近郊の夜道を駆け回っていた。2人の脳裏に渦巻いていたのは、1週間前の12月16日に突然報じられたニュースの衝撃と怒りだった。
〈06年死亡の男性『事件性認めず』 警視庁3度目捜査〉(読売新聞12月16日朝刊)
記事には警視庁が「種雄さんの死に事件性は認められない」とする捜査結果を東京地検に送ったと書かれていた。遺族にとっては、寝耳に水だった。
10月25日に刑事告訴が受理されてからわずか1ヵ月半で「事件性がない」と結論付けるなら、今回の捜査は一体何だったのか。そして何故、捜査状況を真っ先に報告すべき遺族には何も知らせないまま、いきなり読売新聞の「スクープ記事」が流れたのか。
そして記事にはこんな記載もあった。
「捜査結果は同日、遺族に伝えられたという。」
遺族もすでに「事件性なし」という結果を伝えられ、了承しているかのような内容だった。
しかしこれは完全な誤報だ。その前日の15日、私は種雄さんの次姉からメッセージをもらっていた。そこには「一歩前進です!」と書かれていて、警察側から「これから捜査は検察に移る」と説明されたとあった。遺族はこの先の捜査を信じ、警察が「事件性なし」と断じて送検したとは露も知らなかった。
それなのに記事には、遺族も知っていたかのように書かれている。この記事は「捜査関係者」からの情報によるものだった。とするとこの誤報も「捜査関係者」が流した情報だったのか。
結局、読売新聞はその後紙面で訂正した。
〈16日【社会】「06年死亡の男性『事件性認めず』」の記事で、捜査結果が「遺族に伝えられた」とあるのは誤りでした。警視庁から東京地検への書類送付の事実は伝えられていましたが、事件性が認められないとする捜査結果は伝わっていませんでした。確認が不十分でした〉