審査対象の6人が
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2023年12月15日判決 第2小法廷年金の段階引き下げの法律改正は憲法違反か

どんな
裁判か

  • 法律の改正で年金の支給額が2013年以降、段階的に引き下げられたことが「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法に違反するかどうかが争われた
  • 憲法違反ではないと判断した
  • 結論は全員一致だったが、4人中2人の裁判官は補足意見

法律の改正で年金の支給額が2013年以降、段階的に引き下げられたことに対して、全国の年金受給者が引き下げの取り消しを求める裁判を起こしました。このうち兵庫県の95人について、最高裁判所が初めて判断を示しました。

原告たちは年金の引き下げについて、「健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条などに違反する」と主張。1審と2審は「法改正の目的や手段は不合理ではない」として訴えを退けたため、原告側が上告していました。

最高裁判所第2小法廷は判決で、「年金を引き下げずに給付額を維持すると、現役世代に負担を強いることになり、現役世代が年金の給付を受けるようになった際の財源の圧迫にもつながる」と指摘しました。そのうえで「少子高齢化の進展が見込まれる中で、一律の引き下げは世代間の公平を図り、財政基盤の悪化を防ぎ、年金制度の持続可能性を確保するなどの観点から不合理だとはいえず、憲法に違反しない」として上告を退けました。

この判決は裁判官4人全員一致の意見でしたが、このうち2人は補足意見を述べました。
全国で起こされた同じ訴えについても、その後、最高裁は憲法に違反しないという同様の判断を示しています。

この裁判についての最高裁判所の資料はこちら(NHKサイトを離れます)

審査対象の裁判官の判断は

  • 裁判長尾島 明

    合憲 補足意見あり

    「年金制度を構築するには経済成長や少子高齢化、国民の生活状況などを総合的に考えなければならない。国民の意見もさまざまで、対立が生じることもありえる。これらを調整して仕組みをつくりあげる作業は政治が担うのが適切で、国民の側からみると、民主主義的なプロセスによって実現すべき課題だ」

審査対象ではない裁判官の判断は

  • 三浦 守

    合憲 補足意見あり

    「高齢者を含むすべての国民が最低限度の生活が保障され、充実した生活を送るために社会保障の向上を図ることは憲法が定める国の責務だ。国は、社会の変化に応じて制度を見直す必要がある。持続的な制度の下で、困難を抱える人たちが必要な給付や支援を円滑に受けられることが重要で、適切な施策の充実が求められる」

  • 草野 耕一

    合憲

  • 岡村 和美

    合憲