今回はシーバスリーガルの最新の限定ボトル、「匠リザーブ 12年」を飲んでみます。

日本酒を貯蔵して作った樽でフィニッシュ

DSC_1392_01この「匠リザーブ 12年」は、レギュラーのシーバスリーガル12年のモルト、グレーン原酒をブレンドした後、「日本酒カスク」でフィニッシュ(後熟)させたものになります。

この日本酒カスクとは、ホワイトオークの樽に日本酒を入れて10か月間貯蔵し、その成分を樽材にしみこませ、日本酒を取り出した後でリチャー(樽内部への再火入れ)を行ったものになります。

使用された日本酒は、「満寿泉」という銘柄で、富山県にある蔵元、「桝田酒造店」が製造するものです。
なお、貯蔵に使った日本酒は捨てることはせず、ペルノリカール社から「リンク8」の名で2022年に限定販売されました。

シーバス社ではすでに12年熟成した原酒をミズナラ樽でフィニッシュさせる「シーバスリーガル ミズナラ」を販売していましたが、このボトルの計画は2018年から始まったそうです。

なお、このボトルにはホップの香料を微量ながらも加えているため、イギリスの法律上ではウイスキーとして販売できないものになっています(日本の法律上ではウイスキーで問題なし)。

今回は、匠リザーブだけではなく、貯蔵に使われた「満寿泉」のなかから、「からくち満寿泉」も味わって、どのようにしてウイスキー原酒にしみこんだかを比較していきます。
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テイスティング

「満寿泉」

日本酒は「冷や」で飲んでみます。
アルコール度数は15度で日本酒としては辛口の部類ですが、度数ほどのアルコール感は少なく、香りは控えめで、軽くバナナを思わせる香りが広がります。
味わいは、日本酒ならではのコメの甘みと軽い酸味があり、淡麗という感じではないです。

グラスからの香り、液色

グラスからはレーズンとりんごの香りが特に際立ってます。
液色は少し濃い琥珀色です。

ストレート

先にフレッシュなバナナの香りが先立ち、次に燻製を思わせるスモーキーさ、その後リンゴ、レーズンと続きます。

味わいはアルコールからの辛みはそれほど目立たず、軽い酸味の後に甘さが広がります。

ロック

ストレートでは奥に潜んでいたリンゴとレーズンの香りが開き、その後日本酒を思わせるフルーティさが続きます。

味わいは、ほろ苦さがあるものの、全体的には甘いです。

ハイボール

レーズンの香りが先にやってきて、バナナを思わせる香りが続きます。後からリンゴ、ピート。
味わいは、苦みが少々目立つものの、その後はフルーツを思わせる軽い酸味を伴った甘味が続きます。

日本酒の香りこそあれど...

日本酒カスクの元になったであろうお酒を飲んだことで、その香りが加わっていることが確認できましたが、それほど強くアクセントになっているとは思えず、「ミズナラ」と比較しても物足りなさを感じました。

「ミズナラ」よりも1000円ほど高い価格をつけていることを考えても、もっと日本酒の香りが前に出ても良かったのではと思います。

今は食中酒として好まれる淡麗辛口な日本酒が人気ですが、フィニッシュ目的であれば、対極にあるような芳醇な日本酒の方がうまく行くのではないかと思います。

700mL、アルコール度数40度、価格は5000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: 日本酒ならではのバナナのようなフルーティさが感じ取れるが薄い。リンゴ、レーズン、ピートが主体。
  • 味わい B: 甘味がメイン。加水でほろ苦さが前に出てくる。
  • 総評 C: もっと日本酒っぽさのある香りが欲しかった。