【能登豪雨 詳報】輪島市長、400人の2次避難を石川県に要望
能登半島地震の被災地で記録的な大雨が降り、川の氾濫(はんらん)や土砂崩れなどで大きな被害が出ています。現地からの情報をタイムラインでお届けします。
■■■9月23日■■■
16:40
降り始めからの降水量、輪島で508ミリ
能登半島地震の被災地での記録的な大雨について、金沢地方気象台は23日、20日の降り始め以降の降水量が、輪島(石川県輪島市)では508ミリ、珠洲(同珠洲市)では398.5ミリだったと発表した。県内の大雨は峠を越えたものの、大雨や地震の影響で地盤が緩んでいる場所があるとして、土砂災害への注意をよびかけている。
降水量は20日午後6時から23日午後4時までの速報値。同気象台によると、両地点では、総降水量が9月の月降水量の平年値の2倍以上となり、記録的な大雨という。河川の増水は、24日昼前まで注意が必要だとしている。
16:00
輪島市長が400人の2次避難を県に要望
石川県輪島市の坂口茂市長は23日夕、記録的な大雨で被災した仮設住宅や孤立集落の住民約400人について、「2次避難というか、集団移転しなければならない状況になるかもしれない。受け入れ態勢を含め、調整・支援をお願いしたい」と県に要望した。
県の災害対策本部員会議にオンライン出席し、発言した。坂口市長は「仮設住宅で床上浸水した方、孤立集落の門前町七浦(しつら)地区の方から、集団移転したいという声が届いている」と説明した。
馳浩知事が「集団移転は(ホテルなどへの)2次避難の意味か」と確認すると、坂口市長は「2次避難でいい」と答えた。
馳知事は会議後の取材で、2次避難先について、「(住民の)意向調査を踏まえての対応が必要だろう。ばらばらというよりも、集落ごとや地域ごとが現実的ではないか」と述べた。
16:00
携帯の通信障害続く 基地局266局で停波
総務省は23日、記録的な大雨の影響による通信障害の状況(午後3時半時点)を発表した。石川県内にある四つのキャリアの携帯電話基地局のうち、266局で停波が続いている。
停電によって基地局への電源供給ができないことが主な原因とみられている。復旧作業が一部地域で進められており、停波中の基地局の数は午前7時半時点(274局)よりもわずかに減った。
このほか、テレビやラジオなど地上波でも一部世帯で停波が続いている。
16:00
大雨による孤立集落は56カ所に
石川県は23日、記録的な大雨の影響を受け、午後3時時点で、輪島市や珠洲市、能登町にある14地区計56カ所の集落が引き続き孤立状態になっていると発表した。22日午後4時時点では計115カ所だった。
16:00
死者7人、行方不明が2人 石川県発表
石川県は、午後3時時点の大雨による人的被害の状況を発表した。輪島市と珠洲市で計7人の死亡を確認し、珠洲市と能登町で計2人が行方不明、けが人は12人という。豪雨が原因とは断定できないものの連絡が取れない安否不明者は、輪島市と珠洲市で計5人。
22日午後4時時点では、死者1人、行方不明2人、重軽傷2人と発表していた。
14:50
輪島市の小中学校、24日と25日に臨時休校
輪島市教育委員会によると、市内の全市立小中学校(小学校9校、中学校3校)を24、25日に臨時休校する。一部の校舎が浸水や断水しているためという。
13:10
立憲・野田氏、豪雨受け「解散の前に補正予算成立を」
立憲民主党代表選に立候補している野田佳彦元首相は、能登半島地震の被災地での豪雨被害を受け、「10月1日から始まる臨時国会において、早急に補正予算を編成し、成立させるのが政府の役割ではないか」と話した。新代表を選出するための臨時党大会での演説で語った。
野田氏は、自民党総裁選に関し「どなたが総裁になっても早い段階の(衆院)解散があると思う。受けて立とうと思う」とした上で、「その前に少なくとも、被災地の復旧復興のための予算を作るぐらいの最低限の責任は果たしてから信を問うべきではないか」と述べ、自民党内の早期解散論を牽制(けんせい)した。
11:00
安否不明者は14~82歳の5人 石川県が発表
石川県は23日、豪雨による同日午前10時現在の安否不明者として、輪島市と珠洲市の14~82歳の男女5人の名前を発表した。
県は行方不明者とは別に、捜索を円滑に進めるため、大雨が原因とは断定できないものの連絡が取れない人を「安否不明者」として発表している。22日午後5時現在では8人だった。
11:00
携帯各社、人工衛星による通信サービスを提供
記録的な大雨の影響による通信障害が続いている。石川県輪島市、珠洲市、能登町での被害が大きい。
総務省によると、石川県内にある四つのキャリアの携帯電話基地局のうち、274局(23日午前7時半時点)で停波が続いている。「停電による基地局への電源供給ができないことが主な要因」(大手携帯会社)だという。
被災地への支援も始まっている。携帯各社は、移動電源車や移動基地局車を他の地域から集めている。避難所や学校などに人工衛星による通信サービス「スターリンク」を提供し、無料でWiFi(ワイファイ)に接続できるようにもしている。このほか、携帯電話を水没させてしまった人向けにデータ復旧サービスを無償化したり、携帯電話の故障・修理費用を減免したりする。
安否確認の手段としては、「災害用伝言ダイヤル(171)」があり、携帯電話などから音声で伝言を残せる。インターネットに接続ができるパソコンやスマートフォンなどから伝言を文字で入力できる「災害用伝言板(web171)」も利用できる。
総務省は省内に情報連絡室を設置し、職員2人を石川県庁に派遣している。今後の見通しについて、「降雨が落ち着いたこともあり、通行可能な道路も増えている。順次、復旧作業が始まっていて、これから障害状況は改善していくのではないか」としている。
10:35
官房長官「死者7人、行方不明者2人、安否不明者8人との報告」
林芳正官房長官は、首相官邸で記者団の取材に応じ、23日午前8時時点で死者7人、行方不明者2人、安否不明者8人との報告を受けていることを明らかにした。輪島市内の孤立集落に物資が届いていなかったことについて、「天候が回復したことから自衛隊ヘリなどを活用して、アルファ化米1万食、携帯トイレ8千回分などを輸送することとしており、本日午前中にも到着する予定だ」と説明した。
林氏はまた、石川県の馳浩知事からの要請を受け、内閣府防災担当の審議官を含む国の職員3人を現地に派遣することも表明した。「被災地が能登半島地震からの復旧、復興の途上であることも踏まえつつ、地元自治体と連携し、被災地のニーズをよく把握したうえで対応にあたる」と述べた。
10:00
馳浩知事が珠洲市大谷地区の避難所を視察
23日午前10時ごろ、豪雨の後に一時孤立した集落もあった石川県珠洲市大谷町を、馳浩知事が視察した。元日の能登半島地震でも大きな被害が出た地区。避難所になっている大谷小中学校を訪ねると、住民からは、この大雨で新たに土石流で壊れた家があることや、通信環境の改善を求める声が上がった。
視察後、馳知事は「地震とのダブルパンチであるのは否めない。全国の市町村、都道府県の皆さんに復旧に協力してほしい」と述べた。また、米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」を用意すると約束。住民らに向けて「必ず支援物資を届ける。見通しを立てられるよう協力するので、救助を待ってほしい」と語った。
07:00
400人態勢で捜索再開 ドローンも駆使
住宅が川に流され4人と連絡が取れなくなっている輪島市久手川(ふてがわ)町では23日午前7時、消防、警察、自衛隊が計約400人態勢で捜索を再開した。塚田川沿いのがれきを取り除いたり、人が入りにくい場所はドローンを飛ばしたりしている。連絡が取れていないのは、10代と60代の女性各1人と、80代の男性2人の計4人。22日には、下流で高齢男性1人が見つかっており、このうちの1人の可能性があるという。
■■■9月22日■■■
21:15
輪島市町野町で女性2人の死亡確認
奥能登広域圏事務組合消防本部によると、石川県輪島市町野町の南時国地区と寺地地区の倒壊家屋などから女性2人が発見されたが、いずれも死亡が確認された。
20:00
死亡の1人はトンネル復旧の作業員、もう1人は地域住民か
輪島消防署などによると、石川県輪島市門前町の中屋トンネル付近で、自衛隊のヘリコプターが22日夕、計10人を救助した。うち2人の死亡が確認された。1人は能登半島地震で被災したトンネルの復旧工事にあたっていた作業員、もう1人は地域住民とみられるという。残る8人のうち、2人も病院に搬送されたが、いずれも命に別条はない。
同トンネル付近では、21日朝に土砂崩れがあり、現場にいた作業員ら複数人と連絡がとれなくなっていた。
17:00
輪島市長「孤立集落に物資が一切入っていない。急いでお願いしたい」
輪島市の坂口茂市長は22日夕、県の災害対策本部員会議にオンラインで参加し、「今日、孤立集落にヘリと陸送で入ると言った物資が一切入っていないし、情報もない。どうなってるのか。期待している方もいる。急いでお願いしたい」と述べた。
坂口市長は、避難者が28カ所の避難所に730人いるとし、「いま雑魚寝状況。学校も床上浸水や(授業)再開中などで使いにくい。快適な受け入れがこの人数ではできないと心配されている」と現状を訴え、「ホテルとかで受け入れをお願いする可能性も出てくるのではないか」と話した。
馳浩知事は「物資が届いていないことに私もびっくりした」と応じた。県は、悪天候でヘリが使えず、「連絡がうまくいかなかった」と説明した。ヘリでしか運べない門前地区以外へは、トラックで物資を運ぶことを検討しており、22日中に届ける予定という。
輪島市のトンネルで安否不明だった男性を救助
22日午後4時ごろ、石川県輪島市門前町の中屋トンネル付近で、流れ込んだ土砂の影響で安否不明となっていた交通誘導員の男性(74)が救助された。
能登半島地震で被災したトンネル近くの復旧工事現場で、交通誘導にあたっていたところ、土砂に阻まれて動けなくなった。クーラーボックスに腰掛けて、傘を差して夜を明かしたという。取材に「心配している妻に電話をしました」と話した。
安否不明の中学生の父親「見つかったら抱きしめたい」
能登半島を襲った21日の豪雨で、石川県輪島市久手川町で安否不明になっている中学3年生の女子生徒の父親が22日午後、被災した当時の状況を報道陣に語った。
父親によると、家族は5人暮らしで、21日朝は中3の娘だけ家に残っていた。仕事に出ていた父親は近所の人からの連絡で自宅周囲に水があふれていることを知り、娘に午前9時40分ごろに電話。娘は寝ていたらしく、窓の外を見て「海みたいになっている」と父親に言った。2階から外に出ようとしたが、扉が開かないという。父親は「開かないならそこにいるしかないな」と声をかけた。10時過ぎにまた電話したが、つながらなかった。
父親は自宅へ向かったが、市内は冠水しており、徒歩でようやく近くに着いたのは午後1時半ごろ。だが、自宅はすでになく、基礎部分だけが残されていた。娘の名前を呼んだが、返事はなかった。
父親は消防団員だが、22日は現場近くで仲間や警察の捜索を見守った。「自分も捜索したいけれど、ヘルメットもみな流されてしまってできない」
父親は娘について「優しい子で、絵が上手で歌も好き。とにかく頭が良い」と言う。「とにかく見つかってほしい。見つかったら抱きしめたい」
14:00
「せっかくの仮設なのに住めない」知事に対応求める
石川県の馳浩知事は22日午後2時、大雨で浸水した同県輪島市の仮設住宅を視察した。被災者は「せっかくの仮設(住宅)なのに住めない」と訴え、早急な対応を求めた。
馳知事は一帯が泥水につかり、多くの仮設住宅が床上浸水の被害を受けた同市宅田町の仮設住宅を見て回った。漁師の早瀬賢生(けんじょう)さん(71)は「昨日は車中泊をした」と窮状を訴えた。元日の地震で自宅が壊れ、5月から仮設住宅で家族やペットと暮らしていたが、部屋は腰の高さくらいまで泥水につかり、冷蔵庫や洗濯機が浮いたという。取材には「またか、という思い。手のつけようがない」と話した。
13:40
自衛隊を増員、天候回復すればヘリ投入
木原稔防衛相は東京・市谷の防衛省で記者団の取材に対し、大雨に見舞われた能登半島で自衛隊員約380人(22日昼過ぎ時点)が被災者の捜索・救助活動にあたっていると説明した。天候が回復し次第、ヘリコプターによる水・食料などの輸送や情報収集を始めるとした。
木原氏は「行方不明者や安否不明者の人命捜索・救助活動に全力を尽くす」と述べた。
自衛隊が活動しているのは石川県輪島市、珠洲市、能登町。21日午前に石川県の馳浩知事からの災害派遣要請を受けて約250人規模で活動していたが、土砂崩れなどによる道路の寸断が多数発生していることを踏まえて増員した。
13:30
不明の男性、死亡を確認 安否不明の1人か
22日午後1時半ごろ、石川県輪島市塚田町を流れる塚田川で、高齢男性1人が見つかったが、その場で死亡が確認された。消防や警察によると、上流の久手川町では住宅4棟が流されたとの情報があり、安否が分かっていない4人のうちの1人の可能性があるという。県警輪島署が男性の身元を調べる。
奥能登広域圏事務組合消防本部によると、消防団員から通報があった。流木に絡まった状態で、体の一部が見えていたという。
13:30
石川県、安否不明の6人の氏名など公表
石川県は22日、能登半島の大雨が原因とは断定できないが連絡が取れなくなっている安否不明者6人の氏名、住所、年齢などを公表した。午前11時の時点で市町から上がってきた情報を整理した。広く情報を求めている。
6人は輪島市の15~89歳の男女5人と珠洲市の女性(79)。
県危機管理監室によると、災害時にどこにいたのかなど細かい地点はわかっていないが、住宅や車が流されたとの情報がある輪島市の塚田川周辺で4人、ほか同市と珠洲市の2地点での安否不明者という。
安否不明者は、災害が起きた地域で家族などと連絡が取れず、所在がわからない人。災害で所在不明となり、死亡の疑いがある「行方不明」とは区別されている。行方不明について、県は3人と発表している。
12:00
馳浩知事「ボランティアたくさん入ってほしい」
石川県の馳浩知事は22日、能登半島の大雨災害で今後被災者の住宅からの泥出しや片付けのニーズが高まるとして、「ボランティアにたくさん入ってほしい」と述べた。ボランティアを運ぶバスの手配もするという。
元日の能登半島地震では、当初はボランティア応援の自粛を求め、復旧が進まない一因になったとの批判もあった。「今回はボランティアを増やすのか」との質問に、「地震の時はインフラがずたずたということで、ボランティアに入る方がむしろ足手まといになりかねないという状況だった」と語った。
今回は、その心配が小さいとした一方で、「四輪駆動車で入っていただくなど、配慮をしていただかないと、車で入っても泥にはまる可能性もあるので気をつけながら入っていただきたい」と付け加えた。
「警察、消防、自衛隊が懸命な救助活動」 林官房長官
林芳正官房長官は、22日午前7時30分時点で死者1人、行方不明者3人、安否不明者3人との報告を受けていると明らかにし、「被災現場において警察、消防、自衛隊が現在も懸命な救命救助活動を行っている」と語った。同11時ごろに首相官邸で記者団の取材に応じた。
林氏はまた、米国を訪問中の岸田文雄首相から電話で「能登半島地震からの復旧復興の途上であることも踏まえつつ、引き続き被災状況を注視し、地元自治体のニーズをよく把握して対応するように」との指示があったと説明。石川県の馳浩知事とも電話で連携を確認したとし、「被害情報の把握や災害応急対策に全力を尽くすとともに、地元自治体と連携し、そのニーズをしっかり把握した上で対応に当たる」と述べた。
黒部渓谷のトロッコでトンネルに土砂、乗客60人を徒歩で誘導
22日午前10時ごろ、富山県黒部市の黒部峡谷・トロッコ電車の路線にあるトンネル内に土砂が流入した。降り続いた大雨の影響とみられる。黒部峡谷鉄道によると、この影響で乗員・乗客約60人を乗せたトロッコ電車(13両編成)が、出平―猫又駅間で一時立ち往生した。
同鉄道によると、トンネルを通過して数分後に土砂が流入。乗客の安全を確保後、約500メートル離れた出平駅まで徒歩で誘導したという。けが人はいないという。
この土砂の撤去作業などのため、22日は終日トロッコ電車の運転を休止する予定。
濁流と無数の倒木 「住宅流された」情報の輪島市久手川町
石川県輪島市では、22日朝も横殴りの激しい雨が続いた。
住宅が流されたとの情報がある同市久手川町は、普段なら中心市街地から車で10分足らずの場所にある。塚田川の茶色い濁流は激しく、ゴーという水の音と強い雨音で、防災無線の呼びかけの音も聞き取れないほど。塚田川には木肌がむけた倒木が無数に流れ、木と土のにおいがただよっていた。
川沿いに立つ壊れた住宅にも流れてきた流木とみられる塊が引っかかり、道路に勢いよく流れる泥水も次第に水かさを増していった。
「流された」との情報がある住宅のあった場所はどこなのか――。それ以上近づいて確認することはできなかった。
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- 【提案】
自然災害で停電や通信途絶が発生して、携帯電話やネットが使えなくなり、被災地の住民が現地から救助要請など情報発信できなくなることにより、初動において自治体や政府の情報収集や救助活動が遅れる現象は、大地震だけでなく、今回のような大雨、ゲリラ豪雨
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