ポケモン開発企業から流出、「バクフーン」の衝撃秘話にネット騒然

slyellow / Shutterstock.com

人気ゲーム『ポケットモンスター』シリーズを手掛けるGAME FREAK(ゲームフリーク)がハッキング被害に遭い、多数のファイルがインターネット上に流出した。その中には残念ながら従業員の個人情報も含まれていたほか、未使用のコンセプトアートや、最終的にはボツとなったポケモンの舞台設定など、さまざまな情報もあった。その中でも、バクフーンに関するある「逸話」がネット上で話題を集めている。

バクフーンのポケモンカード(Blueee77 / Shutterstock.com)

バクフーンのポケモンカード(Blueee77 / Shutterstock.com)

バクフーンは、『ポケットモンスター 金・銀』で最初にもらえるポケモンの1匹であるヒノアラシの最終進化形だ。筆者は子供の頃に炎のタイプが好きだったので、初代ポケモンではヒトカゲを選んだし、『金・銀』でもヒノアラシを選んでいた。だがそんな私の思い出は、今回のリークで少し汚されてしまったかもしれない……。

流出ファイルの中から見つかったのは、バクフーンにまつわる「伝承」だ。物語は「人とポケモンの関係」をテーマとしており、以下の前置きから始まる。

「昔。ポケモンと人間の境が曖昧だった頃。」

なんとも嫌な予感しかしない書き出しだ。だが物語は、予想をさらに上回る奇妙な方向へと進む。

ある少女が、変身術を持つバクフーンに騙されて、彼を人間だと思い込む。少女はその後、バクフーンとの間に子供をもうけたとみられ、彼の「妻」となる。やがて父親がやってきて、バクフーンを殺す。村に戻った少女とその子供は、村の若者たちにいじめられるようになる。若者たちはある時、2人にバクフーンの毛皮をかぶせる。すると2人は、親子そろって森に逃げ込み、二度と戻ることはなかった。

以上があらすじだが、その中でも特に悪夢のような一節を紹介しよう。これは、少女の父親が娘を探しているとわかったとき、バクフーンと少女が交わした会話だ。

「間もなくここに君のお父さんがやってくる。これから私は君のお父さんに悪いことをしに行く。もし私が殺されたら、私の目と声と心を貰うんだ。そして私の殺された場所に火を焚いて、それを燃やして欲しい。そして燃え尽きるまでこの歌を歌って欲しい」
少女は言った。「やめてください。お父さんを殺すなんて。やめてください。あなたが殺されてください」
「さよなら。二度と会う事もない」
そう言うと、バクフーンは外へと出て行った。

日本を含め、世界の神話の多くでは、動物が人間に変身したり、人間が動物に変身したりして人々をだますエピソードがある。例えば、ギリシャ神話のゼウスはさまざまな姿に変身していたとされる。バクフーンは、ムジナ(アナグマ)をモチーフにしたポケモンだ。ムジナは日本の言い伝えで、姿を変える妖怪とされてきた。つまり、この話には基になるものがまったくなかったわけではない。しかし、このようなストーリーがポケモンの文書に含まれていたというのは、驚きだ。

この逸話がなぜ作られたのか、なぜ流出ファイルに入っていたのかはわからない。誰が書いたのか、実際のゲームに含まれる予定があったのかも不明だ(ポケモンの舞台設定にはダークなものもたくさんあるが、ここまで奇妙なものはない)。いずれにせよ、この逸話はオンラインで広まっており、バクフーンのイメージは永遠に変わってしまった。少なくとも、私にとっては……。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2024.10.09 11:00

新たな価値創造拠点で共創(Co-Creation)を生む 創業175年 サンゲツが挑むスペースクリエーション企業への転換

オープンイノベーションの実現に向けて、果敢に挑む企業がある。名古屋に本社を置くインテリア最大手、株式会社サンゲツだ。今年4月、代表取締役 社長執行役員に就いた近藤康正に、近年の新しい取り組みと目指す企業像について聞いた。



エントランスを抜けると、いきいきとした力強いグリーンの観葉植物が目に飛び込んでくる。床から天井まで、壁一面に大きく取られた窓からは光がたっぷりと差し込み、覗けば日比谷公園を一望。角度をつけた通路やランダムに配置したソファが、空間に心地よい動きを与えている。

ここはインテリアの老舗企業・サンゲツが、東京の新たな拠点として日比谷に構えた「PARCs Sangetsu Group Creative Hub(パークス)」だ。社員主体でアイデアや意見を出し合い、サンゲツ自社の設計・施工で創り上げた空間であり、サンゲツグループの価値創造拠点である。

「サンゲツグループの新たな価値創造拠点として、2024年3月、ビルの2フロアに開設しました。ワークエリアのほか、ミーティングやイベントなど自由に使うことのできるオープンスペースが充実しています。ここは、サンゲツグループはもちろん、多種多様な企業・ヒトが集まり、繋がり、新たな創造力のもとチャレンジするための場。自然なコミュニケーションを促し、会話やアイデアが偶発的に生まれるようにこだわってつくりました。」 

「PARCs」開設とほぼ同時期に社長に就任した近藤康正(以下、近藤)はそう話し、「PARCs」の由来について次のように説明した。

「Connect、Collaboration、Creativity、Change、Courage、Challengeといったサンゲツグループのさまざまな“C”が集い、まるでパレードのような活気にあふれ、盛り上がる空間になるようにという意味を込めて『PARCs』(Parade of Csが由来)と名付けられました。さまざまな”C“の中でも、私が特に大事だと思うのは、Co-Creation、つまり「共創」ですね」

創業175年の歴史を持ち、インテリア内装材でトップシェアを誇るサンゲツだが、ここ数年は、まさに「共創(Co-Creation)」から生まれる新たな価値創出とさらなる飛躍に向けて、新しい取り組みを続けている。

例えば、2022年に始まったヘラルボニーとの協業も、共創(Co-Creation)の一つだ。ヘラルボニーは知的障害のある作家のアートライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開する企業で、両社のコラボレーションにより、優しさが溢れるような淡い色合いの水彩画の原画をもとにしたクッションフロア(床材)を開発した。そして今年1月、ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」にゴールドスポンサーとして協賛している。

「サンゲツグループでは、パーパス(存在意義)として、「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」を掲げています。個々の商品の意匠としてのモノのデザインを追求するだけではなく、それが及ぼすコトのデザイン、さらには、それが社会の多様性や社会課題解決につながることを重視しています。ヘラルボニーとの協業は、まさに当社が空間創造を通じて目指す、社会価値の実現に向けた取り組みの一つです。」と近藤は話す。

この「HERALBONY Art Prize 2024」でsangetsu賞として選んだ作品も、同社の目指す空間づくりと重なるものだった。

「sangetsu賞を受賞した大家美咲さんの作品『お城』は、カラフルで小気味よいリズムが元気を与え、楽しい気持ちにさせてくれる。そして空間と人にポジティブに作用し、さまざまな出来事や繋がりを生み出すような魅力がある。それは、まさに当社が目指す空間づくりと共通します。今後、空間創りの中での協業も含め、大家さんのさらなる活躍を応援していきたい」

sangetsu賞を受賞した大家美咲「お城」

sangetsu賞を受賞した大家美咲「お城」

175年にわたって築き上げた5つの強みとDNA

老舗企業から、新たな価値創造を目指すサンゲツのここ数年の取り組み。その背景にあるものとは何か。近藤は、同社のこれまでの歩みと共にこう説明した。

「サンゲツの原点は、江戸時代に遡ります。名古屋城近くで、襖や屏風をしつらえる表具師として始まり、代々家業を継承。1953年に5代目となる日比賢昭が今のサンゲツの前身である株式会社山月堂商店を設立。1950年代に日本が高度成長期を迎える中、他社に先駆けて壁紙事業に参入、パイオニア企業として強固な事業基盤を構築すると共に、床材・カーテンなどの取り扱いも開始しました。

商品のデザイン・機能を訴求しながら、日本全国に販売ネットワーク、物流網を整備し、トータルインテリア企業として飛躍的な成長を遂げました。その後、2014年に創業家よりバトンを引き継いだ前社長 安田正介は、事業環境の変化、新たな事業領域のポテンシャル等を視野に入れて、事業基盤・機能サービスのさらなる強化、海外事業への進出といった、新しい事業モデルへの転換を進めてきました。前社長 安田が進めてきた「変革と成長」との路線を継承し、企業価値向上に取り組んでいきます」

新たなビジネスモデルとは、具体的には、デザイン力とクリエイティビティを駆使した「空間デザイン」、「商品」、「物流」、「施工」の4つの機能をインテグレート・強化し、市場・分野・地域それぞれにおいて事業を拡大させていくというものだ。同社ではこの事業像を「スペースクリエーション企業」と定義している。

近藤にとって、サンゲツは総合商社勤務時代の取引先企業のひとつだったという。「サンゲツとの出会いは2011年のことでしたが、業界での圧倒的なポジション、強固な財務基盤を有し、営業力、損益管理等を含めた社員の仕事に対する姿勢には一目置いていました」と振り返る。

「会社設立以来、長年にかけて培われたサンゲツの強みは、企業ブランド、販売ネットワーク、強い財務基盤、商品企画開発力、人材の5つ。そして脈々と受け継がれてきた企業DNAとして、社会課題解決への深い関心とコミットメントがある。パーパスの実現に向けて、『スペースクリエーション企業』への転換を進め、さらなる成長を遂げたい。これまで築いた強みは、当社における強固な経営基盤でありますが、事業環境がめまぐるしく変化するこの時代、安住なんてとてもしていられません」と意気込む。

現在は、その実現に向けて模索を続けている段階だ。

「新たな価値創造=イノベーションを起こす必要がありますが、一社単独で起こすのは難しい時代です。やはりカギとなるのは、さまざまな企業・ヒトとの協働、共創(Co-Creation)でしょう。その際は、相手企業と『主と従』ではなく、『主と主』の関係性を築く必要がある。デジタル企業やスタートアップ企業、異業種企業とも積極的に協業していきたい」と見据える。

「スペースクリエーション企業」に向けて、サンゲツのビジネスモデルの転換に伴うチャレンジは、「PARCs」を舞台に、共創(Co-Creation)をキーワードとして今後も続いていく。

 

社会貢献を強く意識した新たなパーパス

これまで触れてきたように、サンゲツグループはパーパス(存在意義)として「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」を掲げている。これは、2024年に1月に発表した新たな企業理念だ。この背景にもビジネスモデルの転換がある。

「20代の若手社員からマネジメントクラスまで幅広い層の有志社員87名が集い、いま当社が果たすべき社会活動とは何かを念頭に置きながら、事業のあり方を再定義しました。特に、『すべての人と共に』『やすらぎと希望』という言葉には、社会価値の創出に常に重きを置いてきた会社の精神が色濃く表れています」と近藤は話す。 

サンゲツでは、社会課題の中でも格差問題の解決が重要と捉え、以前から児童養護施設の内装リフォーム支援、紛争や災害における人道上の危機発生時の緊急支援など、事業を活かした経済的・人的支援を継続的に行ってきたという。この理念一新のタイミングでは、子どもたちや住まいに関する社会課題解決に取り組む4つの団体に対する継続的支援活動も開始した。

歴史的に培われてきた揺るがない強みと社会課題に向き合うDNAがあり、共創(Co-Creation)を通じた進化にふさわしい環境がソフト、ハードの両面で整いつつあるサンゲツ。最後に近藤は力強くこう話した。

「創業精神を尊重しつつ、その時代その時代の事業環境に対してしっかりと向き合い、正しい経営をしていくことが大事。過去175年がそうであったように、これからも模索しながら邁進するのみです」


こんどう・やすまさ◎愛知県出身。1986年、東京大学卒業。三菱商事株式会社入社。2017年に中央化学常務執行役員、2018年に同社代表取締役社長に就任。2022年、サンゲツ入社。執行役員、取締役 常務執行役員を経て、2024年4月、現職に就任。

promoted by サンゲツ/text by Rie Suzuki/ photographs by Tomohiko Ogiwara

「パクリゲー」と非難殺到も大ヒット 『パルワールド』と『原神』の共通点

ポケットペアの新作ゲーム『Palworld / パルワールド』(c)Pocketpair

ポケットペアの新作ゲーム『Palworld / パルワールド』に関する話題は今や、誰もが耳にするようになった。PCゲームプラットフォームのSteam(スチーム)での同時接続プレイヤー数は24日夜、200万人を突破。しかもこれはSteamだけの数字であり、サブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」でのプレイヤーは含まれない。同作は予算の限られた小規模な会社によって開発され、爆発的なヒットを飛ばしたと同時に、批判の集中砲火を浴びた。これは、4年前にリリースされた別のゲーム『原神』を彷彿とさせる。

『パルワールド』をめぐっては、人工知能(AI)を使いキャラクターを生成したとの疑惑が生じたが、その確かな証拠はなかった。だがAIが使われていなかったとしても、独自性のまったくないゲームだとの指摘が相次いでいる。『ポケットモンスター』や『フォートナイト』のキャラクター、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、BotW)の世界観をまねただけだという批判だ。これと似た論争は、『原神』のリリース時にも起きていた。

『原神』は当初、BotWの真似だという非難を浴びたものの、こうした批判に押しつぶされることなく、世界トップレベルの人気と収益を誇るゲームとなった。開発元の中国企業miHoYo(ミホヨ)の共同創業者・劉偉によると、開発チームは当時、批判に大きな精神的ダメージを受けたのだという。

若い社員が泣きながら「なんでこうなったのか」「私たちは何か悪いことをしたのか」と嘆いたが、開発チームは「自分たちを証明しよう。みんなが見えていない部分をきちんと作ろう!」と奮起。2020年2月に新エリアの「璃月(リーユエ)」をつくったことで、miHoYoが『原神』で目指しているものがプレイヤーから理解されるようになり、同作に対するイメージが向上したのだという。

『原神』は当時、インターネット上でさんざんこき下ろされ、BotWのコピーと揶揄された。以下に、両ゲームの類似点をいくつか挙げる。

・広大で、色鮮やかかつカートゥーン調の世界のアートスタイル
・3人称視点
・スタミナシステム
・滑空システム
・BotWの「ボコブリン」に酷似した敵タイプ

類似点はこの他にもたくさんある。だが最終的には、ゲームのコア部分がBotWとは大きく異なっていたことが明らかになった。『パルワールド』でも、それと同じようなことが起きているようだ。
次ページ > コア部分ではまったく異なっていた『原神』

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

Xbox新モデルの画像がリーク 「冷蔵庫」にさらに近づく不格好なデザインに

Natanael Ginting / Shutterstock.com

マイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」の新モデルとみられる画像が、ネット上に流出した。私はこのリークに関する記事の見出しを見たとき、Xbox Series Xの刷新版であるコードネーム「Xbox Brooklin」を初めて目にできるかもしれないと興奮した。

だが、リークしたのはBrooklinの画像ではなかった。ネットメディア「eXputer」が入手した低解像度の画像3枚には、ディスクドライブのない白いSeries Xとみられるものが写っている。このモデルは正式には発表されていないが、価格はおそらく黒のSeries Xよりも安いだろう。


ゲーム市場で物理メディア離れが進んでいることを考えると、完全デジタル版のXbox Series Xを出すことは理にかなっている。しかし、「ミニ冷蔵庫」とも揶揄されるSeries Xのオールホワイト版は正直に言って、非常に不格好だ。白のSeries Sは見栄えが良く、設置面積も小さくてすむ優れたデザインとなっている。一方のオールホワイト版Series Xは、色がオフホワイトにも見え、見た目は冷蔵庫にさらに近づいている。

もちろん、白だけでなく複数のカラーが用意される可能性はある。光沢のある赤やティール、ミントグリーンであれば、もっと良いデザインになるかもしれない。色をカスタマイズできるのなら、魅力はさらに増す。

一方、しばらく前に流出したXbox Brooklinのコンセプトデザインは、光沢のある黒い円柱形で、オリジナル版Series Xや今回リークした新モデルよりもずっと美しい。また、Xbox One XがXbox Oneの強化版だったように、Brooklinはシステム面でもオリジナル版を強化したものになるとされていた。

Brooklinが物理メディアに対応するかは今のところ不明だが、これまでに流出した画像や情報からは、その可能性は低そうだ。おそらくマイクロソフトは、ソニーが小型軽量化したPlayStation 5の新モデルでしたように、オプションのディスクドライブを発売するだろう。

マイクロソフトは、完全デジタル化を進める一方で、物理メディアへのコミットメントも維持する方針を示している。同社ゲーミング部門を率いるフィル・スペンサーは2月、ゲームジャーナリストのスティーブン・トティロが行ったインタビューで、「われわれは物理メディアを支持しているが、顧客の需要と不釣り合いな形で推進する必要はない」と語り、次のように続けていた。

「われわれはゲームを物理的にもデジタルでも出荷していて、顧客の動向に従っているだけだ。Xboxを運営するわれわれの仕事は、大多数の顧客が望むものを提供することだと思う。今、私たちの顧客の大部分は、デジタルでゲームを購入している」

一方でスペンサーは「われわれの戦略は、人々がオールデジタルに移行することにかかっているわけではない。物理メディアの排除は、われわれにとって戦略的なものではない」とも述べた。
次ページ > 流出した画像3枚

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事