学生の学修時間の公表は6割以下 文科省が全大学に調査

学生の学修時間の公表は6割以下 文科省が全大学に調査
iStock.com/Drazen_
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 学生の学修時間を公表している大学は6割以下だったことが10月11日、文部科学省が公表した2022年度の大学の教育内容の改革状況に関する調査で明らかとなった。高校での履修状況を配慮した取り組みを実施している大学がここ数年、減少傾向にあることも分かった。

 同調査は昨年9~12月に、全国の国公私立大学に回答を依頼。対象となる793大学中781大学が回答した。今回から、大学・学部名などが特定・推定されないようにした上で、各大学の個別の回答内容を文科省ホームページで公表している。

 その結果、17年度から一体的な策定・公表が各大学に義務付けられている卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受け入れの方針の達成状況を点検・評価している大学は年々増加し、91.7%に達した。

 学部段階で学生の学修時間や学修行動の把握を行っているのは90.8%に上った一方、教育研究活動の情報公表の状況をみると、学生の学修時間を公表しているのは55.6%に過ぎないなど、社会に向けて大学の状況を公表することについては、全体的に課題がみられた。

 隔年で調査しているハラスメントの防止に着目すると、大学全体でハラスメントなどの防止に向けた取り組みを実施しているのは99.9%と、ほとんどの大学が実施していると回答。学生や教職員が相談できる窓口を設置しているのも99.4%に上った。しかし、学生や教職員が相談できる学外機関を活用した窓口を設置しているのは25.9%、学内の調査・対象期間に第三者を含めるなどの取り組みを実施しているのは51.0%にとどまるなど、今後さらに充実が求められる項目もみられた。

学部段階で高校での履修状況に配慮した取り組みを行っている大学
学部段階で高校での履修状況に配慮した取り組みを行っている大学

 学力別のクラス分けや入学前の補習授業の実施など、高校での履修状況を配慮した取り組みを実施しているのは65.0%で、16年度と比べると11.1ポイント減少していた(=グラフ)。文科省の担当者は「26~28年度ごろは高大連携が叫ばれ、大学入試の在り方などの議論が盛んだったが、近年の中教審答申では学修者本位の教育などが強調されており、そうした中で各大学で取り組みのバランスが変わってきたのかもしれない」と話している。

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