【特集】廃校となる小学校最後の米作り授業②
10月は九戸村の江刺家小学校の子どもたちが米作りをした5か月間の記録をシリーズでお伝えしています。2回目は、稲が育った様子や雑草取り、それに今年度いっぱいで閉校する江刺家小学校の歩みを紹介します。遠藤記者の取材です。 九戸村立江刺家小学校の子どもたちが5月30日に田植えをしたもちコメ「ヒメノモチ」は順調に育っていました。 稲作指導をしている小井田重雄さん(69) 「田んぼの中に稲と稲との間に草が生えたりしているところもあるし、除草機を動かすことによって根に空気を入れます。空気を入れると根がまた活性化をされてコメがぐんぐんと伸びていきます。その手助けの作業をするのがきょうの仕事です」 この日作業をしたのは3年生と4年生合わせて10人でした。 除草機を使いながら指導する小井田さん 「簡単に言うと、こうしてコロコロと進んでいく感じ。今どき誰も除草機を押している人はいないけど」 用水路で足を洗う子ども 「本当にテレビに映るの」 子ども 「これまだオタマジャクシの感じ」 小井田さん 「オタマジャクシの尻尾が残っている。良く見つけたな」 子ども 「初めて草取りをやったけれど、押すのに慣れなくて。小井田さんと一緒にやったけれど、最後の方になってから小井田さんがいなくても一人でできるようになって良かったです」 小井田さん 「やる前はこういうふうな感じで稲の穂先が伸びていました。ところがちょっと空気を入れることによって、ピンとこういうふうに真っ直ぐになった感じに私には見えます。根にも酸素を補給できたし、周りの草も片づけて非常に良いお仕事でした。ご苦労様でした。ありがとうございます」 子ども 「ありがとうございました」 九戸村立江刺家小学校の歴史は明治8年、1875年に始まりました。今年で創立149年です。戦後の団塊の世代から小井田さんが卒業した昭和42年度までは、1学年2クラスあって、多いときには全校児童が400人を超えることもありました。 小井田さん 「とても(子どもの)数が多かったです。冬場の暖房用のまきを乾かすぐらい校舎の脇に積んでおく。みんな一列につながって手渡しで全校生徒でまきを積んだという記憶があります」 記者 「校庭も子どもたちでいっぱいだったんですね」 小井田さん 「校庭も広かったわけだけども、そこでいっぱいの子どもたちが遊んでいたような記憶があります」 今、江刺家小学校の全校児童は29人になってしまいましたが元気いっぱいです。先月3日には田んぼに生えているヒエという雑穀を取り除く作業をしました。 小井田さん 「ギューッと引っ張る。上の方だけ。ほら抜けた。これヒエと言います」 子ども 「これ(稲)と同じじゃないの?」 小井田さん 「違う。比べてごらん。違いはどこでしょう。形が違う」 子ども 「今おならした?してない」 小井田さん 「これはオモダカ。7月に抜いたこれは実がついて来年の種になる。オモダカという雑草です。みんなが引っこ抜いたこれがヒエといいます。後ろに長く見えている。高く伸びます。田んぼの中にある雑草でこれが一番大変」 子ども 「友達と協力してヒエをたくさん取れたので良かったです」 子ども 「田んぼの周りに虫がいっぱいいたのでびっくりしました」 子ども 「草をとるのを間違えてコメを取ったので謝りたいです。すみません」 農作業の合間におやつを食べる習慣これを「こびる」と言いますが、毎年小井田さんの奥さんが作ったアンパンをこびるの代わりに配っています。江刺家小学校のこびるもこの日が最後です 子ども 「残りはどうするの?」 小井田さん 「残りはおうちに持って帰るの。ごめんよ」 子ども 「ありがとうございました」 今年は豊作の予感。次の作業はいよいよ稲刈りです。