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レモンサワーに新機軸! おいしさの秘訣は果皮を漬け込み蒸溜した専用の「ジン」 レモンサワーに新機軸! おいしさの秘訣は果皮を漬け込み蒸溜した専用の「ジン」
目指したのは、大人が満足できる味。素材そのもののおいしさを追求しました。 アサヒビール 野坂 皓 氏 目指したのは、大人が満足できる味。素材そのもののおいしさを追求しました。 アサヒビール 野坂 皓 氏
まったく新しいレモンサワーが誕生しました。真摯にこのカテゴリーに向き合ったからこそ生まれたブランドですね。 日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄 まったく新しいレモンサワーが誕生しました。真摯にこのカテゴリーに向き合ったからこそ生まれたブランドですね。 日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄

ビール好きも”うなる“レモンサワー ジンでつくった「アサヒGINON」が絶好調 ビール好きも”うなる“レモンサワー ジンでつくった「アサヒGINON」が絶好調

2023年10月の酒税法改正以降、さらに注目の集まる
RTD(「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指す)市場にユニークな新商品が登場した。
ジンでつくったレモン/グレープフルーツサワー、「アサヒGINON(ジノン)」だ。
2024年4月の発売から早くも2500万本※1を売り上げたヒットの理由は、
ビール好きをも満足させる味わいと、独特の世界観にある。
目指したのは、「大人が飲みたくなるRTD」。それはどのような開発手法から生まれたのか。
ブランドマネージャーの野坂皓氏に、日経BP 総合研究所の品田英雄が聞く。

※1 缶250ml換算 2024年3月~2024年5月の出荷実績

市場のトレンドを先取りした無糖のレモンサワー

品田 ジンでつくったレモンサワー、「GINON」が好調です。私の周りでもファンが急増中。もちろん、私自身も気に入っていて、発売から早くも2500万本を売り上げたというのも納得です。

野坂 ありがとうございます。「GINON」のヒットは、RTD市場の流れをうまく捉え、次のトレンドをキャッチできた結果だと思っています。

品田 RTDは、2023年10月の酒税改正で税率が据え置きとなったカテゴリー。それだけに需要も増えているかと思いますが、現在の市場はどうなっているのでしょう?

野坂 RTD市場では今、無糖系がぐんと伸びていますね。その理由の1つは、ビール類からの流入が増えたからだと見ています。RTDは若者が飲むイメージがあるかもしれませんが、実は中高年のRTDユーザーも増えてきています。

RTD市場トレンド・
「無糖/甘味料不使用」構成比

RTD市場のトレンドは、「スッキリ・甘くない」味わい。
2021年以降、無糖/甘味料不使用商品の伸長が続いている

品田 糖質が気になる世代でもありますよね。それにコスパを考えたら、無糖系RTDが候補に入ってくるのも当然でしょう。

野坂 一方でそうした中高年のビール類飲用者の中にはRTDというカテゴリーにネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃいます。事前の調査でも、「RTDは、お酒というよりはジュースみたいなもの」「お酒の持つおしゃれさが感じられない」など “所詮缶チューハイ” といったご意見がありました。そこで、「こういった方々に受け入れられる商品をつくることができれば、市場的にもまだまだ伸び代があるのでは?」と仮説を立てて開発したのが、「GINON」です。

アサヒビール RTDマーケティング部
GINONブランドマネージャー

野坂 皓

品田 「GINON」の開発はいつ頃から、どんなふうに始まったのですか。

野坂 開発は、2021年8月にスタートしました。きっかけは、「イケオジってハイボール飲みがちだよね」という他愛もない雑談から。それを機に、「なんでチューハイを飲まないんだろう」「イメージの問題かも」「缶チューハイでハイボールみたいな世界観をつくれれば、チャンスはあるんじゃないか」とアイデアがふくらみ、企画が進んでいきました。

品田 データマーケティングの産物ではなく、自分たちの肌感から生まれた企画だったんですね。

野坂 肌感覚もそうですが、重視しているのは「N=1思考」ですね。「この人が絶対買い続けるものって何だろう」ということを考えながら、みんなでフランクに意見を出し合って構想を立てました。そうして見えてきたビジョンが、「こだわり志向の、お酒・ビール好きが本当においしいと思える、大人のチューハイをつくること」でした。

品田 大人のお酒といえば、今世界的にジンがブームです。缶チューハイにジンを使うという発想もそこから?

野坂 いえ、ジンはあくまでおいしさを実現するための手段として選びました。一般的にRTDのベースとしてよく使われるウオッカや焼酎の場合は、香料や甘味料、糖類などで風味を足していくのがこれまでの主流でした。一方でジンというお酒は製造の過程で柑橘の果皮などを加えて蒸溜するので、果実の風味が感じられるのが特長。つまり、風味をつけるためにあとから余計な素材を足す必要がなく、素材そのもののおいしさを追求できるのです。そのために、今回は柑橘の果皮を漬け込んで蒸溜した、「GINON」専用のジンをつくりました。

品田 飲んでみると、本当に柑橘の素材本来のおいしさが感じられます。レモンとジンの風味がしっかりと感じられて、無糖でここまでの味わいというのに驚きました。

日経BP 総合研究所
客員研究員

品田 英雄

野坂 ジンそのものに柑橘の風味が染みこんでいるので、余計な甘さを加えなくても果実の味わいがしっかりと感じられます。お客様調査でも「これ、本当に無糖なの?」というお声は多かったですね。この「無糖」というスペックも開発当初から狙っていたわけではなく、ジンを使うことによって余計なものを入れない、削いでいった結果としてたどり着いたものです。

品田 なるほど。その後、無糖トレンドやジンブームが起こったのだから、先見の明がありましたね。

野坂 ただ、ジンはブームといっても、お酒に対して興味・関心の高い方々の世界での話。スーパーやコンビニで気軽に買える缶チューハイに使うには少し敷居が高く、チャレンジングな試みではありました。

品田 ジンを使うことに、社内からの抵抗などもあったのでしょうか。

野坂 それはなかったですね。「お客様からの評価が得られるなら、どんどん挑戦せよ」というのがアサヒビールの方針です。失敗を恐れず、むしろ早く賢く失敗して、次につなげようというのが今の社風。「GINON」の開発も、それに乗ったところが大きいですが、成功させたいという気持ちは人一倍ありましたね。

ビールづくりの知見と脱「一口試飲」で追求した飲み飽きない味わい

品田 約3年の開発期間を経て、「GINON」が発売されたのは、2024年4月2日。「アサヒGINONレモン」と「アサヒGINONグレープフルーツ」がラインアップされていますが、この2つのおいしさにたどり着くまでにはどのような苦労があったのでしょう?

野坂 アイデアを形にするための中味開発には相当苦労しました。まず研究所のメンバーにコンセプトを伝えるために、「GINON」の目指す世界観を表す動画をつくりました。

品田 最初に動画をつくるのですか。

野坂 はい。動画があったほうがイメージを共有しやすいからです。マーケターの仕事は、目指すべきゴールを、より分かりやすく、解像度高く開発メンバーに伝えて共有すること。私の場合は、そのための手段が動画でした。これをつくるにあたって、実地調査も行いました。実はそこで出会ったおいしいレモンサワーの1つに、ジンを使ったものがあったんです。これも開発のヒントになりましたね。

品田 「GINON」で狙ったおいしさとは?

野坂 一言でいうと、飲み飽きない味。食事中でもパーティーでも、一日の終わりの一杯としても、気軽においしく飲めて、飲み飽きない果実サワーを目指しました。

品田 飲み飽きないようにする秘訣は、どこにあるのでしょうか。

野坂 少し専門的になりますが、飲み始めのトップにボリュームをつくることで、ラストをすとんと落とす曲線を意識しました。ビールでいう「飲みごたえ」と「キレ」にあたる部分ですね。「GINON」の場合は、柑橘の果皮を漬け込んで蒸溜したジンを使うことで飲みごたえを、液糖を使わないことで後味のスッキリ感を実現しています。

香味イメージ

ビール好きの嗜好に合わせた香味カーブも「GINON」の特長。
アルコール高めのジンでトップのボリューム感を高く形成し、
そこから落差のあるカーブを描くことで、キレのよい後味につなげている

品田 ビールづくりで培った知見が、RTDにもしっかり生かされているんですね。試飲はどのように行われたのですか。

野坂 通常の開発では、カップを並べて飲み比べする「一口試飲」が一般的な手法でした。でも、「GINON」に関しては、1サンプルあたり350ml缶2本程度を各自の自宅で試飲する方法をとりました。一口で感じるおいしさと、次の日も飲みたいと思えるおいしさは違うと考えたためです。

品田 徹底して「飲み飽きない味わい」にフォーカスしたわけですね。その分、時間もかなりかかりそうですが。

野坂 そうですね。仮に5種類のサンプルがあれば、10本試飲することになり、時間も手間もかかるプロセスでした。しかし、そのかいあってテストマーケティングでは、高い奥行きやリピート率の獲得につながりました。

先行販売でおいしさ満足度99%を獲得! ユーザーの声をもとにパッケージも刷新

品田 全国発売に先駆けて、2023年3月に東北でテストマーケティングを実施されたそうですね。当時の意気込みや手応えをお聞かせください。

野坂 「GINON」は私たちが絶対においしいと信じ、それをよりどころに開発した商品です。そこは自信があったものの、正直、お客様にどう感じていただけるかは市場に出すまで分かりません。特にRTDは参入も多く、どんなにおいしくても定着する商品はごくわずか。そうしたなか、テストマーケティングでは、満足度99%※2という評価をいただけたのは嬉しかったですね。1人あたりの購入金額や累積リピート率においても、今世の中に定着している商品の発売時と比べて高いスコアを獲得できました。※2 2023年3月、GINON飲用者414名に飲用した感想を聴取(アサヒビール調べ)。「とても美味しい・美味しい・どちらでもない・美味しくない」の中から「とても美味しい・美味しい」を選んだ回答者。

品田 お客様からはどんなお声が上がっていますか。

野坂 「ビール派だったけどこのチューハイならおいしく飲める」「おいしすぎて箱買いしました」「無糖なのに味気ないわけじゃなく、果実の味わいがしっかり感じられる」などのコメントを頂戴しています。東北での大成功により、全国発売への弾みがつきました。

ブランドイメージ

お客様調査では、「スタイリッシュ」「大人っぽい」といった情緒イメージを多く獲得。
既存の缶チューハイとは大きく異なる結果となった

品田 テストマーケティングから約1年を経ての全国発売ですが、その間に変わったことは?

野坂 お客様の評価が高かった中味については、変えていません。一方で、パッケージはお客様の意見をもとにブラッシュアップさせていただきました。テスト販売品では、派手な果実イラストの代わりに、ジンのボトルシルエットを前面に出した大人っぽいパッケージデザインでしたが、全国発売にあたってはジンボトルはそのままに、氷のシズルと果実の組み合わせで爽快な味わいを表現。さらに、商品の特長である「無糖」を分かりやすく訴求しました。

パッケージにはジンのボトルをイメージしたシルエットを描き、
落ち着いた大人の世界観を演出している

品田 「GINON」はどんな方に、どのように楽しんでもらいたいとお考えですか。

野坂 ターゲットとしているのは、お酒やビール好きの40~50代男性。実際、その層に奥行き深く刺さったことが、テスト販売や全国発売の好調につながったと思っています。おすすめの飲用シーンに関してはもう、いつでもどこでもご自由に。時間や場所を選ばず、好きなときに気軽に楽しめるのも「GINON」の魅力です。だからこそ、飲み飽きないおいしさにはとことんこだわりました。

品田 中高年男性がターゲットとのことですが、おいしくておしゃれな「GINON」は、私のサルサ仲間である女性たちにもすこぶる評判がいいんですよ。華やかな空気感もあって、みんなで集まるホームパーティーなんかにはもってこいのお酒。これからの季節は、キャンプやバーベキュー、スポーツ観戦などでも活躍してくれそうです。

野坂 そういう楽しい場を盛り上げてくれるのが、お酒のよさですよね。個人的には「GINON」は氷でキンキンに冷やして飲むとよりおいしくなると感じているので、夏場は特におすすめです。

品田 最後に、「GINON」のこれからにかける思いをお聞かせください。

野坂 「GINON」はもともと、「ビール好きの大人も”うなる”ようなおいしさのRTDをつくりたい」という思いから、新しい価値創造に向けて開発に取り組んだブランドです。結果としてそういった方々にもご満足いただける、まったく新しいRTDを誕生させることができました。今後は、そのおいしさをどれだけ広めていけるかが課題。プロモーションにも力を入れ、より多くの方々に「GINON」の魅力をお届けしていきたいです。

「GINON」を試飲する品田。
「一口飲むと、レモンとジンのさわやかな香りが広がります。甘くないのに、満足感のある味わいですね」

取材を終えて

「ジンでつくったレモンサワー」というお酒の新しい価値を開拓し、ビール好きの男性はもとより、女性たちにも愛されている「GINON」。既存RTDへのアンチテーゼから始まった商品かと思いきや、むしろ真摯にこのカテゴリーと向き合ったからこそ生まれたブランドだということが、野坂さんのお話からひしひしと伝わってきました。開発から現在までのあらゆるステージで、さまざまなアイデアやインサイトを取り入れながら情報を収集・整理し、施策を最適化していく仕事ぶりに、アサヒビールさんのマーケティングの最前線を垣間見た思いです。次はどんな手を打ってくるのか、ますます期待が高まります。

日経BP 総合研究所 客員研究員品田 英雄

ジンでつくったレモンサワー「アサヒGINON(ジノン)」 ジンでつくったレモンサワー「アサヒGINON(ジノン)」