生成AIに関して起きた訴訟や裁判、法的対応をまとめたページ。
- 生成系AIに関する総合的な問題点は⇒「生成系AIが抱える問題まとめ【社会やクリエイティブへの悪影響】」
- 画像生成AIに関する総合的な問題点は⇒画像生成AIは何が問題なのか?
- 画像生成AIに関して発生した事件等は⇒画像生成AI 炎上・論争・被害事例まとめ
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【目次】
- 【 1.生成AIと著作物等の利用に関する訴訟の一覧 】
- トムソン・ロイターによるAI開発企業への著作権訴訟(米国)
- プログラマーによるGithub Copilot開発元への訴訟(米国)
- アーティストら3名+7名による画像生成AI開発企業への訴訟(米国)
- Getty ImagesによるStabilityAIへの訴訟(英国・米国)
- AIデータセットから自作品の削除を求めた写真家に対する逆訴訟(ドイツ)
- 作家2名によるOpenAI訴訟(米国)
- コメディアン等作家3名によるOpenAI・Metaへの訴訟(米国)
- 8名の個人によるGoogle訴訟(米国)
- ピューリッツアー賞受賞者など作家5名によるOpenAI・Meta訴訟(米国)
- 全米作家協会と作家17名によるOpenAI訴訟(米国)
- 元州知事など作家5名によるMeta等複数企業への訴訟(米国)
- ユニバーサルミュージック等によるAnthropic社への訴訟(米国)
- ノンフィクション作家1名+11名によるOpenAI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
- アーティスト4名による訴訟(中国)
- ニューヨークタイムズによるOpen AI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
- ノンフィクション作家2名によるOpenAI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
- ウルトラマンとみられるAI生成物の著作権侵害疑惑に対する裁判(中国)
- 映画へのAI音声利用疑惑に対する訴訟(米国)
- ネットメディアによる対OpenAI訴訟(米国)
- 作家3名による対NVIDIA訴訟(米国)
- 声優による無断AI音声販売アプリへの訴訟(中国)
- 写真家・アーティストら4名による対Google訴訟(米国)
- 米地方紙8社によるOpenAI・マイクロソフト訴訟(米国)
- 作家2名による対NVIDIA訴訟(米国)
- 作家2名によるAI企業Databricks、Mosaic MLに対する訴訟(米国)
- 声優2名によるAI企業LOVOに対する訴訟(米国)
- 複数の音楽会社による音楽生成AI開発企業への訴訟(米国)
- 非営利報道機関CIRによるOpenAIへの訴訟(米国)
- 子育てサイトmumsnetによるOpenAIへの訴訟(英国)
- YouTuberによるOpenAI・NVIDIA訴訟(米国)
- 作家3名によるAnthropic社への訴訟(米国)
- 作家1名によるMetaへの訴訟(米国)
- 【 2.AI生成コンテンツの権利に関する訴訟 】
- 【 3.個人データに関する訴訟 】
- 【 4.その他の訴訟・法的対応 】
- 【 5.裁判に関連する記事・資料など 】
【 1.生成AIと著作物等の利用に関する訴訟の一覧 】
トムソン・ロイターによるAI開発企業への著作権訴訟(米国)
訴訟名 | Thomson Reuters Enterprise Centre GmbH v. Ross Intelligence Inc. |
原告 | 情報サービス企業|トムソン・ロイター |
被告 | AI開発企業|ロス・インテリジェンス |
裁判所 | デラウェア州連邦地方裁判所 |
2020年5月6日、ニュースメディア「ロイター」などを運営する多国籍情報サービス企業トムソン・ロイターが、同社の運営する法律関連サイト「Westlaw」内の文章をAI製品開発の際無断で使用したことを巡り、これを著作権侵害と主張。AI開発企業であるロス・インテリジェンスを相手取り米国デラウェア州の裁判所で訴訟を提起した。
ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIが話題になり出した2022年よりも前に発生した裁判だが、生成AIに関する主要な論点である「AI開発の際、他者の著作物をどこまでの範囲なら使っても良いのか」という点について、何らかの司法判断が下されるのではないかとして注目されている。
プログラマーによるGithub Copilot開発元への訴訟(米国)
訴訟名 | Doe v. GitHub |
原告 | プログラマー|マシュー・バテリック等 |
被告 | ソフトウェア開発プラットフォーム運営|Github社 |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2022年11月3日、コードの続きを自動で生成するプログラマー向けのAIツール「Github Copilot」に対し弁護士でプログラマーでもあるマシュー・バテリック(Matthew Butterick)氏等が、個々のGithubリポジトリ上でオープンソースライセンスに関する契約違反が起きているといった旨を主張し、github社へ訴訟を提起した。生成AIに関連する最初の訴訟である。
■関連リンク
- 原告訴訟団が制作した訴訟の概要を説明するページ
- 訴状(PDF)
- コード補完AI「GitHub Copilot」の集団訴訟をソフトウェアの知的財産権に詳しい弁護士はどう見ているのか?(2022年11月14日-GIGAZINE)
- GitHub Copilotに集団訴訟 AI訓練データで初(2022年11月14日-クラウドwatch)
- コンテンツを自動生成するAIに「著作権」の課題、その命運を握るかもしれない集団訴訟の中身(2022年12月10日-産経新聞)
アーティストら3名+7名による画像生成AI開発企業への訴訟(米国)
訴訟名 | Andersen v. Stability AI |
原告 | アーティスト・写真家|サラ・アンダーセン等3名+23年11月より7名参加、計10名 |
被告 | 画像生成AI開発・運営企業|Midjourney、StabilityAI、deviantART+23年11月よりRunwayが追加 |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年1月13日、米国人のアーティストであるカーラ・オルティス(Karla Ortiz)氏、ケリー・マッカーナン(Kelly McKernan)氏、サラ・アンダーセン(Sarah Andersen)氏が、画像生成開発企業であるMidjourney、Stability AI(※画像生成AI「Stable Diffusion」の開発元)とイラスト投稿サイトであり独自の画像生成AI「DreamUp」をリリースしたdeviantARTを提訴した。原告側を担当する弁護士事務所はコード生成AI「Github Copilot」に対する集団訴訟も担当しているジョセフ・サヴェリ法律事務所(Joseph Saveri Law Firm)。
原告側は被告企業が開発した画像生成AIが、著作権で保護されている数十億の画像をアーティストの同意や補償なしにダウンロードした上でトレーニングに用いているとして、直接的な著作権侵害、偽造に関連する間接的な著作権侵害、デジタルミレニアム著作権法違反、パブリシティー権の侵害を主張し損害賠償と差し止めを求めた。
画像生成AIの開発企業であるMidjourney社やStability AI社だけではなくイラスト投稿サイトであるdeviantARTも訴訟の対象となっていることについて、原告側はdeviantARTより作品データが無許可で収集されている事態を放置しながら、なおかつdeviantART社自身の規約等に違反した状態で独自の画像生成AI「Dream Up」をリリースし結果的にアーティストコミュニティを裏切った事を問題視しているからだと説明した。
2023年4月18日、被告側企業3社はAIで作成された画像は原告側アーティストの作品と類似しておらず、悪用されたとする特定の画像が示されていないとして、訴訟の取り下げを原告側へ求めた。Stability AI社の提出した書類では「原告側は著作権で保護された作品に類似している出力画像や侵害しているとされる画像を一つも特定できていない」と主張し、同様にMidjourney社も「原告側の作品であると見分けられた画像」や「トレーニングデータに使われたと思われる画像」が特定されていないとした。deviantARTも2社の主張に同調。
同年7月20日、最初の公聴会が開かれた。この訴訟を担当しているウィリアム・オリック判事は原告側の主張の大半を却下する方針だが、新たな告訴を認めるとの意向を示した。同判事は原告に対し「被告側3社に対する主張をより明確にし区別すべきである」「著作権侵害の申し立てについて、原告側はStabilityAI関連のソースコードにアクセスできるためより多くの事実を提供できるはずだ」と述べた。ただしサラ・アンダーセン氏の作品についてはいくつか著作権登録が行われており、それらについては訴訟の取り下げを求める被告側の取り組みを乗り切ることが出来るのではないかとした。オリック判事はさらに、StabilityAI社のStable Diffusion技術を組み込んだとされるMidjourney社とdeviantART社に対する原告アーティストらの主張は、StabilityAIモデルの使用を通じ著作権を侵害しているとしたいのか、あるいは侵害的な方法によって自社システムをトレーニングしていると主張したいのか不明瞭であると指摘。また、「プロンプトにアーティスト名を入力した上で生成された画像は著作権を侵害している」との主張では勝訴出来る可能性は低いとし、AIシステムとアーティストが作成した画像の間には大きな類似点がないため現時点では出力画像に関する主張は妥当とは考えていないとした。
翌21日、原告側を担当するマシュー・バテリック弁護士は、メディアの取材に対し訴状を修正すると表明。バテリック氏によると「オリック判事はMidjourneyとdeviantARTに対する著作権侵害の申し立ての修正許可を与えると示唆した」とのことである。
2023年10月30日、同事件を担当する裁判所は7月の公聴会の内容に沿い、MidjourneyとdeviantARTに対する訴訟は棄却、Stability AIに対する訴訟の一部については訴状を修正し問題を追及する事を認めた。
1ヶ月後の11月29日、原告団は修正した訴状を提出。ここで新たにアーティスト、イラストレーター、漫画家、写真家で構成される7人の原告が加わった。
この段階で原告として訴訟に加わったのは、ホーク・サウスワース(Hawke Southworth)氏、グジェゴジ・ルトコウスキ(Grzegorz Rutkowski)氏、グレゴリー・マンチェス(Gregory Manchess)氏、ジェラルド・ブロム(Gerald Brom)氏、チャン・ジンナ(Jingna Zhang/張晶娜)氏、ジュリア・ケイ(Julia Kaye)氏、アダム・エリス(Adam Ellis)氏。
被告となった企業は以前の訴状と同じくStability AI、Midjourney、deviantARTだが、新たにStable Diffusion 1.5のトレーニングを行ったとされる米国のAI開発企業「Runway」が追加された。
なお、原告側は修正訴状において、Midjourney社が作成し同社のDiscord上に2022年初めごろ共有したとされる、作品がAIのトレーニング対象になったと見られているアーティストのリストを証拠物として提出した。2023年末から翌2024年1月上旬にかけX上にこのリストに関連するポストが投稿され話題となった。このリストは4700人ほどのアーティスト名が記載されており、さらにはそのリストへの追加案として16000人ほどのアーティストの名前が記載された別のリストについても注目された。
2024年1月21日付の英紙ガーディアンの記事によると、画像生成AIが引き起こす問題についてイギリスのアーティスト・写真家らの間でも話題になっており、この集団訴訟へ参加するか新たに別の訴訟を起こすことも検討されているという。
5月8日、オリック判事は原告側の「被告側が画像生成AI製品のトレーニングに原告アーティストらの作品を悪用した」との主張を認める方針を示した。原告らの「被告側企業のすべてが使用しているStabilityAIの画像生成AIモデルの中には、原告側作品の『圧縮コピー』が含まれている」との主張に対し、判事は「この主張は訴訟を続ける十分な根拠があると考えられ、訴訟の次の段階で『著作権法の様々な直接または誘発的な侵害に関する理論や判例』に基づき検証されるべきだ」と述べた。また、アーティストらに関連する主張の一部は却下する可能性があるが、アーティストらの商標権侵害や「アーティストらがシステムを推奨した」と虚偽の示唆をしたといった主張は認めるとした。
■出典・関連リンク
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Getty ImagesによるStabilityAIへの訴訟(英国・米国)
▼英国での訴訟 | ▼米国での訴訟 | |
訴訟名 | Getty Images v. Stability AI | |
原告 | フォトストックサービス|Getty Images | 同左 |
被告 | 生成AI開発企業|StabilityAI | 同左 |
裁判所 | ロンドン高等裁判所 | デラウェア州地方裁判所 |
2023年1月と2月に、大手フォトストックサービスであるGetty Imagesが、画像生成AI「Stable Diffusion」を開発・運営している企業Stability AIを米国・英国の2か国で提訴した。
英国での訴訟
2023年1月17日、Getty Imagesは、同社が権利を有するコンテンツの知的財産権をStability AIが侵害したとしてイギリス・ロンドンの高等裁判所へ法的手続きを開始したと発表。
同年6月1日には、イギリス国内でStability AI社がリリースしている画像生成AIの販売差し止め命令をロンドン高等裁判所へ求めたことが報道された。
10月31日には同訴訟の公聴会が開かれ、Stablity AI側は「原告側が告発した行為は英国で行われていたという事実が示されておらず、この主張は絶望的である」「Stable Diffusionには原告側が主張する画像は含まれていない」などと主張した。
12月1日、裁判所はGetty Imagesの主張に正当性があるとして次の段階の審理に進むことを認めた。
米国での訴訟
2023年2月3日にはアメリカ・デラウェア州の裁判所に同様の理由で訴訟を提起した。
同年5月2日、Stablity AI側は「デラウェア州裁判所はStablity AI英国法人への管轄権がない」等と主張し訴訟の取り下げを求めた。
■関連リンク(英国訴訟関連)
- Getty Imagesによる英国での訴訟開始を伝えるプレスリリース(2023年1月17日)
- 画像生成AI「Stable Diffusion」開発元のStability AIがかつてGoogleを和解に持ち込ませたこともあるストックフォトサイトのGetty Imagesに訴えられる(2023年1月18日-GIGAZINE)
- Getty Images is suing the creators of AI art tool Stable Diffusion for scraping its content(2023年1月17日-The Verge)
- Getty Asks London Court to Stop UK Sales of Stability AI System(2023年6月1日-USnews)
- Stability AI Says Getty Images’s UK Copyright Suit Is Hopeless(2023年10月31日-ブルームバーグ)
- 公聴会に参加した弁護士による同訴訟の争点のまとめ「Getty v Stable Diffusion AI case reaches court」(2023年10月31日)
- Judge questions credibility of AI chief’s evidence in court battle with Getty Images(2023年12月3日-The Telegraph)
- Getty lawsuit against Stability AI to go to trial in the UK(2023年12月5日-The Verge)
■関連リンク(米国訴訟関連)
- 訴状(米国)(PDF)
- 画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き(2023年2月7日ーGIGAZINE)
- 訴訟取り下げを求めたStability AIによる主張(PDF)(2023年5月2日)
- Stability AI swerves copyright infringement allegations in response to Getty lawsuit(2023年5月3日-sifted)
- 第11回 AI関連訴訟・判例紹介シリーズ① Getty Images (US), Inc. v. Stability AI, Inc. (1:23-cv-00135)(2023年7月14日-渡邉国際法律事務所)
AIデータセットから自作品の削除を求めた写真家に対する逆訴訟(ドイツ)
原告 | 生成AI関連団体|LAION |
被告 | ドイツ人写真家|ロバート・クネシュケ |
ドイツ人写真家ロバート・クネシュケ(Robert Kneschke)氏は2023年初め、画像生成AI「Stable Diffusion」で使用されているデータセット「LAION-5B(※非営利団体LAIONによって作成)」内にある画像を見つけられるサイト「Have I been trained?」にて自分の作品が多数見つかったため、LAION側に削除を求めた。
しかしLAIONを担当する弁護士事務所は削除を拒否し、あくまで画像ファイルへのリンクを含むデータベースのみを保存しており画像データそのものは保存していないため著作権侵害に当たらず、同氏は作品を削除する権利は持たないとの回答を示した。さらに同事務所はドイツの著作権法に基づきLAIONは不当な請求があった際損害賠償請求を行う権利があるとして、クネシュケ氏に対し合計887.03ユーロ(約13万円)の損害賠償を求めた。
弁護士事務所は、LAIONが行った学習に伴う複製行為は一時的なものであり、ドイツの著作権法による制限が適用される。LAIONはクローラを用いて自己学習アルゴリズムの学習のためネット上で画像を見つけてその情報を得るため記録・評価を行っているのであり、これらの行為は著作権法には抵触しないとした。対してクネシュケ氏は、弁護士事務所が画像データ収集の際クローラの使用に言及した事について、ほとんどの写真投稿サイトがクローラの使用を禁止している事実を踏まえるとこの話は興味深いとし、LAION設立前に画像共有サイトから削除していたはずの写真をどこから入手したのか気になるとも指摘。
弁護士事務所は、LAIONが写真家の写真を一時的にとはいえ、複製しAI学習に利用される事を拒否している事は理解しているとしながらも、この行為は法で明確に許可された行為であるとしてクネシュケ氏に対し「作品をデータセットから削除して欲しい」との要求を取り下げなければいけないとした。一方クネシュケ氏は、LAIONのようなAI関連企業は大量の著作物を使用して学習を行い利益を得ようとする。故に「写真を削除して欲しい」との要求に対し損害賠償請求を警告する事は妥当であるが、作品データ削除請求の正当性立証のため裁判で争うつもりであると述べた。
■関連リンク
- 画像生成AIによる作品の無許可使用を主張した写真家が逆に損害賠償を請求される(2023年4月27日-GIGAZINE)
- AI USED PHOTOGRAPHER’S PHOTOS FOR TRAINING, THEN SLAPPED HIM WITH AN INVOICE(2023年4月27日-Photography)
作家2名によるOpenAI訴訟(米国)
訴訟名 | Tremblay v. OpenAI |
原告 | 小説家|ポール・トレンブレイ、モナ・アワド |
被告 | 生成AI等開発企業|OpenAI |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年6月28日、小説家であるポール・トレンブレイ氏とモナ・アワド氏が著作権で保護されている自らの作品を、海賊版を利用した上で許可なくChatGPTへの学習に用いているとして同サービスを運営するOpenAIに対し訴訟を提起した。原告側を担当する弁護士事務所は、米国人アーティスト集団訴訟やGithub copilot訴訟も担当しているジョセフ・サヴェリ法律事務所。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- 「ChatGPTの学習に海賊版の本が使われた」として作家がOpenAIを告訴(2023年7月4日-GIGAZINE)
コメディアン等作家3名によるOpenAI・Metaへの訴訟(米国)
訴訟名 | Kadrey v. Meta(対Meta)、Silverman v. OpenAI(対OpenAI) |
原告 | 作家|サラ・シルバーマン、クリストファー・ゴールデン、リチャード・カドレー |
被告 | 生成AI等開発企業|OpenAI、Meta |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年7月7日、アメリカの有名コメディアンで作家活動も行っているサラ・シルバーマン(sarah silverman)氏と作家のクリストファー・ゴールデン氏、リチャード・カドレー氏が、OpenAI社が開発した「ChatGPT」とFacebook等で知られるMeta社が開発した「LLaMA」に対し、これらはインターネット上に流通している海賊版の書籍をデータセットとしてトレーニングしたものであり、著作権侵害であるとして両社を提訴した。
OpenAIに対する訴訟
2023年8月29日、OpenAIは裁判所に対し訴訟の一部を却下するよう求めた。
2024年2月14日、裁判所は原告側の主張の多くを棄却する判決を下した。原告側は一か月後の3月13日までに訴状の再提出が可能。
Metaに対する訴訟
2023年9月18日、Metaは裁判所に対し訴訟の多くを棄却するよう求めた。
■出典・関連リンク(OpenAIに対する訴訟)
- 原告側による訴訟内容紹介ページ
- 訴状/対OpenAI(PDF)
- 訴状-証拠物(PDF)
- OpenAIとMetaが著作権侵害で3人の作家から訴えられる(2023年7月10日-GIGAZINE)
- OpenAI asks court to trim authors' copyright lawsuits(2023年8月30日-ロイター)
- Sarah Silverman’s lawsuit against OpenAI partially dismissed(2024年2月14日-The Verge)
- ChatGPTに対する著作権侵害訴訟の前半戦でOpenAIがほぼ全面勝利、作家3人の訴えの大半が却下される
■出典・関連リンク(Metaに対する訴訟)
8名の個人によるGoogle訴訟(米国)
訴訟名 | JL v. Alphabet Inc. |
原告 | 個人|J.L.、C.B.、K.S.など8名(※全員イニシャル表記) |
被告 | 生成AI等開発企業|Alphabet、Google、Google DeepMind |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
■出典・関連リンク
- Google hit with class-action lawsuit over AI data scraping(2023年7月12日-ロイター)
ピューリッツアー賞受賞者など作家5名によるOpenAI・Meta訴訟(米国)
訴訟名 | Chabon v. OpenAI(対OpenAI)、Chabon v. Meta(対Meta) |
原告 | 作家|マイケル・シェイボン、デヴィット・ヘンリー・ウォンなど作家5名 |
被告 | AI開発企業|Open AI・Meta |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年9月8日、ピューリッツアー賞受賞者であるマイケル・シェイボン氏など5名の作家は、AI開発企業であるOpenAI、マイクロソフトそれぞれに対し、無断でAIのトレーニングに自作品を利用したと主張し米国カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
■関連リンク
- 訴状・対OpenAI(PDF)
- 訴状・対Meta(PDF)
- More writers sue OpenAI for copyright infringement over AI training(2023年9月12日-ロイター)
全米作家協会と作家17名によるOpenAI訴訟(米国)
訴訟名 | Authors Guild v. OpenAI Inc. |
原告 | 作家団体&作家|全米作家協会と作家17名 |
被告 | AI開発企業|Open AI |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2023年9月19日、アメリカの作家団体である全米作家協会(The Authors Guild)と17名の作家がChatGPT等の開発を行うOpenAIを提訴した。原告は、被告側はインターネット上の海賊版書籍を開発に利用しているなどと主張している。
全米作家協会と共に提訴する作家は以下の通り。(以下敬称略)
デイヴィッド・バルダッチ(David Baldacci)、 メアリー・ブライ(Mary Bly)、 マイクル・コナリー(Michael Connelly)、 シルビア・デイ(Sylvia Day)、 ジョナサン・フランゼン(Jonathan Franzen)、ジョン・グレシャム(John Grisham)、エリン・ヒルダーブランド(Elin Hilderbrand)、クリスティーナ・ベイカー・クライン(Christina Baker Kline)、マヤ・ラング(Maya Shanbhag Lang)、ビクター・ラヴァル(Victor LaValle)、ジョージ・R・R・マーティン(George R.R. Martin)、ジョディ・ピコー(Jodi Picoult)、ダグラス・プレストン(Douglas Preston)、ロクサナ・ロビンソン(Roxana Robinson)、ジョージ・ソーンダーズ(George Saunders)、スコット・トゥロー(Scott Turow)、レイチェル・ヴェイル(Rachel Vail)
デイヴィッド・バルダッチ(David Baldacci)、 メアリー・ブライ(Mary Bly)、 マイクル・コナリー(Michael Connelly)、 シルビア・デイ(Sylvia Day)、 ジョナサン・フランゼン(Jonathan Franzen)、ジョン・グレシャム(John Grisham)、エリン・ヒルダーブランド(Elin Hilderbrand)、クリスティーナ・ベイカー・クライン(Christina Baker Kline)、マヤ・ラング(Maya Shanbhag Lang)、ビクター・ラヴァル(Victor LaValle)、ジョージ・R・R・マーティン(George R.R. Martin)、ジョディ・ピコー(Jodi Picoult)、ダグラス・プレストン(Douglas Preston)、ロクサナ・ロビンソン(Roxana Robinson)、ジョージ・ソーンダーズ(George Saunders)、スコット・トゥロー(Scott Turow)、レイチェル・ヴェイル(Rachel Vail)
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- 全米作家協会によるプレスリリース:The Authors Guild, John Grisham, Jodi Picoult, David Baldacci, George R.R. Martin, and 13 Other Authors File Class-Action Suit Against OpenAI(2023年9月20日)
- John Grisham, other top US authors sue OpenAI over copyrights(2023年9月21日-ロイター)
- 全米作家協会も著作権侵害で提訴、「チャットGPT」訓練巡り(2023年9月21日-ロイター)
- Authors’ copyright lawsuit against OpenAI over ChatGPT begins(2023年11月29日-FOX business)
元州知事など作家5名によるMeta等複数企業への訴訟(米国)
訴訟名 | Huckabee v. Meta |
原告 | 作家|マイク・ハッカビー、リサ・テルクールストなど5名 |
被告 | AI開発企業・団体|Meta、マイクロソフト、ブルームバーグ、EleutherAI |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2023年10月17日、元アーカンソー州知事であるマイク・ハッカビー氏など作家グループ5名が大規模言語モデル「Llama2」を構築したMetaなどに4つのAI開発企業・関連団体に対し、海賊版なども含まれる書籍データセットBooks3等を通じ自身の作品を無断でAIのトレーニングに利用したのは著作権侵害であるとして、ニューヨークの裁判所に提訴した。
原告は以下の5名。(敬称略)いずれも作家活動を行っている。
マイク・ハッカビー(Mike Huckabee)、デイビッド・キナマン(David kinnaman)、ツッチ・オクサンレイダー(Tsh Oxenreider)、リサ・テルクールスト(Lysa Terkeurst)、ジョン・ブレイズ(John Blase)。
マイク・ハッカビー(Mike Huckabee)、デイビッド・キナマン(David kinnaman)、ツッチ・オクサンレイダー(Tsh Oxenreider)、リサ・テルクールスト(Lysa Terkeurst)、ジョン・ブレイズ(John Blase)。
被告側は、Facebook等で知られるMeta、Windows等で知られるマイクロソフト、そしてその2社と共同でLlama2の構築を行ったとされるブルームバーグ、そしてそれにデータを提供したとされるAI関連団体EleutherAIの4団体・企業。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- Authors sue Meta, Microsoft, Bloomberg in latest AI copyright clash(2023年10月19日-ロイター)
ユニバーサルミュージック等によるAnthropic社への訴訟(米国)
訴訟名 | Concord Music Group, Inc. v. Anthropic PBC |
原告 | 音楽会社|ユニバーサル・ミュージック、ABKCO、コンコード・パブリッシング |
被告 | AI開発企業|Anthropic |
裁判所 | テネシー中部地区連邦地方裁判所 |
2023年10月18日、音楽パブリッシャーであるユニバーサル・ミュージック、コンコード・パブリッシング、ABKCOの3社は、AI企業であるAnthropic(アンソロピック) 社を著作権違反であるとして提訴した。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- Music publishers sue AI company Anthropic over song lyrics(2023年10月19日-ロイター)
- 音楽出版社大手、歌詞をめぐる著作権侵害でAnthropicを提訴——生き残りを賭け、生成AI各社は戦々恐々(2023年10月20日-BRIDGE)
- Anthropic fires back at music publishers' AI copyright lawsuit(2024年1月18日-ロイター)
ノンフィクション作家1名+11名によるOpenAI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
訴訟名 | Sancton v. OpenAI |
原告 | 作家|ジュリアン・サンクトン+23年12月に11名追加 |
被告 | AI開発企業|OpenAI・マイクロソフト |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2023年11月21日、アメリカのノンフィクション作家であるジュリアン・サンクトン(Julian Sancton)氏が、AI開発企業のOpenAIとマイクロソフトを相手取り訴訟を起こした。
同年12月19日、原告側は修正した訴状を提出、新たに11名の作家が原告として参加した。追加で参加した作家は以下。(敬称略)
ジョナサン・アルター(Jonathan Alter)、カイ・バード(Kai Bird)、テイラー・ブランチ(Taylor Branch)、リッチ・コーエン(Rich Cohen)、ユージン・リンデン(Eugene Linden)、ダニエル・オクレント(Daniel Okrent)、ハンプトン・サイズ(Hampton Sides)、ステーシー・シフ(Stacy Schiff)、 ジェームズ・シャピロ(James Shapiro)、 ジア・トレンティーノ(Jia Tolentino)、シモン・ウィンチェスター(Simon Winchester)
ジョナサン・アルター(Jonathan Alter)、カイ・バード(Kai Bird)、テイラー・ブランチ(Taylor Branch)、リッチ・コーエン(Rich Cohen)、ユージン・リンデン(Eugene Linden)、ダニエル・オクレント(Daniel Okrent)、ハンプトン・サイズ(Hampton Sides)、ステーシー・シフ(Stacy Schiff)、 ジェームズ・シャピロ(James Shapiro)、 ジア・トレンティーノ(Jia Tolentino)、シモン・ウィンチェスター(Simon Winchester)
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- OpenAI, Microsoft hit with new author copyright lawsuit over AI training(2023年11月21日-ロイター)
- New Lawsuit Ropes Microsoft Into OpenAI’s Legal Battle With Authors Over Training Data(2023年11月21日-The Hollywood Reporter)
- 修正訴状(PDF)(2023年12月19日)
アーティスト4名による訴訟(中国)
中国人アーティスト4名が中国のSNS「小紅書」に対し、自分達の作品を無断でAIに学習させたのは著作権の侵害だとして中国の裁判所に提訴した。本件は、中国初の生成AIの学習データの著作権に関する訴訟だとされる。
▼裁判について解説するポスト。
loading tweet...— 人工知能生成物監視 (@ai_watcher24) November 30, 2023
■関連リンク
- 被AI夺走工作的人,决定反抗AI|深氪lite(2024年2月2日)
ニューヨークタイムズによるOpen AI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
訴訟名 | The New York Times Company v. Microsoft |
原告 | ニュースメディア|ニューヨークタイムズ |
被告 | AI開発企業|Open AI・マイクロソフト |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2023年8月3日、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times、以下NYタイムズと表記)はAI開発のために自社の記事や写真などを無断利用する事について禁じた新しい規約を発表。その際、ChatGPT等の開発元であるOpen AIに対し何らかの法的措置を取るのではないかと報じられていた。
12月27日、NYタイムズは米国のAI開発企業Open AIとマイクロソフトに対し、「自社の記事がAI開発のために無断利用されており、そのうえで市場の競合が起きている」「ChatGPTは自社の記事から『逐語的』な抜粋を生成する事があり、読者が購読料を支払わずにNYタイムズのコンテンツを読むことが出来る。そのため購読による収入とウェブサイト訪問者が広告をクリックする機会を失っている」などと主張し、ニューヨークの連邦地方裁判所に提訴した。
この訴訟に対し、約2000の北米メディアが加入する団体ニュース・メディア・アライアンスはNYタイムズを支持する声明を発表した。
年が明けた2024年1月8日、OpenAIはこの訴訟におけるNYタイムズ側の主張に反論。「記事の学習はフェアユースに当たる」「NYタイムズの記事はAIの学習に関して有意義な貢献をしていない」「本来、AIがオウム返しを行わないように技術的対処を行っているが、NYタイムズ側は意図的に記事の複製を出力させるように指示したか、数多の試行からチェリーピッキングを行った」などと主張した。
2月26日、OpenAIは裁判所に提出した文書の中で「NYタイムズ側は利用規約に違反する不正なプロンプトによってChatGPTにコンテンツを複製させた。」「NYタイムズが何者かに金銭を支払ってOpenAI製品をハッキングさせた。」と主張しNYタイムズによる訴えの一部を退けるよう求めた。これに対しNYタイムズの弁護士は「OpenAIの言う『ハッキング』とは、実際には同社がNYTの著作物を盗んで複製した証拠を得るためにOpenAI製品を使用した事でしかない。」と反論した。
■関連リンク
- ニューヨーク・タイムズがAI学習のための記事利用を原則禁止に、OpenAIに対しては法的措置を検討(2023年8月17日-GIGAZINE)
- ニューヨーク・タイムズの訴訟でChatGPTが立往生の可能性(2023年10月1日-現代ビジネス)
- 訴状(PDF)
- 米紙ニューヨーク・タイムズがオープンAIとマイクロソフトを提訴 著作権侵害で(2023年12月28日-BBC)
- The Times Sues OpenAI and Microsoft Over A.I. Use of Copyrighted Work(2023年12月27日-ニューヨークタイムズ)
- News/Media Alliance Applauds NYT Complaint Filed Against Microsoft and OpenAI(2023年12月27日-ニュース・メディア・アライアンス)
- NYタイムズのオープンAI提訴、メディア団体が支持声明「許可や支払いない利用は違法」(2023年12月28日-読売新聞)
- オープンAI、NYタイムズに反論 ネット情報の学習は公正(2024年1月9日-時事通信)
- OpenAIが「The New York TimesはChatGPTをだまして記事をコピーさせた」と反論しトレーニングはフェアユースだと主張(2024年1月9日-GIGAZINE)
- OpenAI and journalism(2024年1月8日-OpenAI)
- ニューヨーク・タイムズ vs OpenAIは単なる法廷闘争ではない(2024年2月21日-AINOW)
- 米紙NYT、チャットGPTを「ハッキング」 オープンAIが主張(2024年2月28日-ロイター)
ノンフィクション作家2名によるOpenAI・マイクロソフトへの訴訟(米国)
原告 | 作家|ニコラス・A・バズベインズ、ニコラス・ゲージ |
被告 | AI開発企業|Open AI・マイクロソフト |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2024年1月5日、ノンフィクション作家であるニコラス・A. バスベインズ氏(Nicholas Andrew Basbanes)とニコラス・ゲージ氏(Nicholas Gage、訴状ではNichoras Ngagoyeanesの名で表記)が、AI開発企業であるOpenAIとマイクロソフトに対し自作品を無断でAIのトレーニングに使用したとしてニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提訴した。
■関連リンク
ウルトラマンとみられるAI生成物の著作権侵害疑惑に対する裁判(中国)
原告 | 中国国内でウルトラマンの著作使用権を得た企業 |
被告 | 中国国内のAIサービス提供企業 |
裁判所 | 広州インターネット裁判所 |
特撮作品の「ウルトラマン」シリーズの中国国内での独占著作使用権を円谷プロダクションから得ている中国企業が、生成AIサービスを運営している中国企業に対し起こした訴訟。
原告側は、「被告の運営する生成AIサービスにおいて「ウルトラマンの画像」をリクエストすると、本物のウルトラマンの画像と実質的に同じ画像が出来る。」「被告がAIの学習に本物のウルトラマンの画像を無断使用し利用者などからの収益で埠頭に利益を得た」と主張し、30万人民元(約635万円)の損害賠償を求めた。
原告側は、「被告の運営する生成AIサービスにおいて「ウルトラマンの画像」をリクエストすると、本物のウルトラマンの画像と実質的に同じ画像が出来る。」「被告がAIの学習に本物のウルトラマンの画像を無断使用し利用者などからの収益で埠頭に利益を得た」と主張し、30万人民元(約635万円)の損害賠償を求めた。
2024年2月26日、中国の裁判所は原告側の権利侵害に関する主張を認める判決を下した。なお、損害賠償の額については提訴後にAIサービス側がシステムを調節したことにより損害の大きさは限定的であったとして1万人民元となった。
なお、この判決に対し円谷プロは「先端技術に関わる事案であり、著作権とのバランスが非常にセンシティブだと考えていたが、公平・公正な判断をして頂いた」とコメントした。
■出典・関連リンク
- 独家丨AI画出奥特曼:中国法院作出全球首例生成式AI服务侵犯著作权的生效判决(2024年2月26日-SFC)
- 生成AIウルトラマンで著作権侵害、広州裁判所が世界初の有罪判決(2024年2月28日-亜洲ビジネス)
- CHINA’S FIRST CASE ON AIGC OUTPUT INFRINGEMENT--ULTRAMAN(2024年2月28日-King & Wood Mallesons)
- 【中国】【著作権】AI が生成するウルトラマン画像の著作権侵害について生成AIサービス提供事業者の責任を認めた中国の裁判例(2024年3月4日-TMI総合法律事務所)
- 偽ウルトラマンに賠償命令 中国で生成AI著作権侵害 円谷プロ「公正な判断」(2024年4月15日-産経新聞)
- 「ウルトラマン」に似た画像提供の生成AI事業者、中国の裁判所が著作権侵害で賠償命令(2024年4月15日-読売新聞)
映画へのAI音声利用疑惑に対する訴訟(米国)
原告 | 脚本家|R・ランス・ヒル |
被告 | 映画スタジオ|MGMスタジオ、アマゾンスタジオ |
裁判所 | カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所 |
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- Amazon Studios Hit With ‘Road House’ Copyright Infringement Lawsuit Involving AI Abuse Claims(2024年2月27日-The Hollywood Reporter)
- ‘Road House’ brawl: Amazon used AI to replicate actors’ voices during strike, lawsuit alleges(2024年2月27日-ロサンゼルスタイムズ)
ネットメディアによる対OpenAI訴訟(米国)
原告 | ニュースメディア|インターセプト、ロー・ストーリー、オルターネット |
被告 | AI開発企業|Open AI・マイクロソフト(※) |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
※インターセプトの訴訟のみOpenAIとマイクロソフトの両方が被告。
2024年2月28日、米国のネットメディアであるインターセプト(The Intercept)、ロー・ストーリー(Raw Story)、オルターネット(AlterNet)は、AI開発企業OpenAIに対し著作権侵害訴訟を提起した。
原告側はChatGPTのトレーニングに記事を無断利用し、ChatGPTの返答の際記事と一言一句同じあるいはほぼ同じ内容が再現されていると主張。OpenAI側が記事の著者や見出しなどの著作物の識別情報を削除、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に違反しているとし、違反一件に付き2500ドルの損害賠償と不正利用の中止を求めた。
なおインターセプトの訴訟のみOpenAIの技術を利用した対話型AI・BingAIを運営するマイクロソフトも被告に加えられた。
■関連リンク
- 訴状/インターセプト(PDF)
- 訴状/ロー・ストーリー、オルターネット(PDF)
- 米ネットメディア、オープンAIを提訴 記事不正利用巡り(2024年2月29日-ロイター)
- OpenAIがさまざまなニュースサイトから著作権侵害で訴えられまくっている(2024年2月29日-GIGAZINE)
- Digital Media Outlets Sue OpenAI for Copyright Infringement(2024年2月28日-ニューヨーク・タイムズ)
- The Intercept, Raw Story, and AlterNet sue OpenAI and Microsoft(2024年2月29日-The Verge)
作家3名による対NVIDIA訴訟(米国)
原告 | 作家|ブライアン・キーン、アブディ・ナゼミアン、スチュワート・オナン |
被告 | AI開発企業|NVIDIA |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2024年3月8日、半導体メーカーとして知られるNVIDIA社が展開する生成AIモデル開発フレームワーク「NVIDIA Nemo」を対象に、作家であるブライアン・キーン(Brian Keene)氏、アブディ・ナゼミアン(Abdi Nazemian)氏、スチュワート・オナン(Stewart O'Nan)氏の3人が、NVIDIA Nemoのトレーニングに自身のコンテンツが無断利用されたとして、同社を提訴した。
■出典・関連リンク
- 訴状(PDF)
- Nvidia is sued by authors over AI use of copyrighted works(2024年3月12日-ロイター)
- NVIDIAもAI関連の著作権侵害で3人の作家から訴えられる(2024年3月11日-GIGAZINE)
声優による無断AI音声販売アプリへの訴訟(中国)
原告 | 中国人の声優 |
被告 | アプリ「魔音工房」運営する企業 |
裁判所 | 北京インターネット裁判所 |
2023年5月、中国で声優として活動する殷氏が、自らの声を無断でAI処理され「魔音工房」と呼ばれるアプリ内で販売された事を問題として、アプリの運営企業を中国の裁判所に提訴。
2024年4月23日、1審である北京インターネット裁判所は原告側の主張を認め、被告側へ書面での謝罪と賠償金254万元の支払いを命じた。
■出典・関連リンク
- 中国初の「AI音声権利侵害」訴訟 被告に25万元の賠償命じる判決(2024年4月24日-CRJ日本語)
写真家・アーティストら4名による対Google訴訟(米国)
原告 | 写真家・アーティスト等|ジンナ・チャン、サラ・アンダーセン、ホープ・ラーソン、ジェシカ・フィンク |
被告 | AI開発企業|Google、Alphabet |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2024年4月26日、写真家やアーティストら4名のグループはGoogleが開発した画像生成AI「imagen」を対象として、米国カリフォルニアの裁判所へGoogleとその親会社Alphabetを提訴した。原告はジンナ・チャン(Jingna Zhang)氏、サラ・アンダーセン(Sarah Andersen)氏、ホープ・ラーソン(Hope Larson)氏、ジェス・フィンク(Jess Fink、※訴状ではJessica Finkと表記)氏。
■出典・関連リンク
- Image generator litigation(原告側が作成した訴訟の概要を説明するサイト)
- 訴状(PDF)
- 米グーグルの生成AI巡り集団提訴、写真家や漫画家 「作品を無断使用」(2024年4月30日-ロイター)
米地方紙8社によるOpenAI・マイクロソフト訴訟(米国)
原告 | ニュースメディア|ニューヨーク・デイリー・ニューズ、シカゴ・トリビューン、サンノゼ・マーキュリー・ニュースなど8社 |
被告 | AI開発企業|OpenAI、マイクロソフト |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2024年4月30日、米国の地方紙8紙は共同でAI開発企業OpenAIとマイクロソフトを相手取り、記事をAI開発に無断利用したとしてニューヨークの裁判所に提訴した。
原告は、デイリー・ニュース(Daily News)、シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)、オーランド・センチネル(Orlando Sentinel)、サン・センチネル(Sun-Sentinel)、サンノゼ・マーキュリー・ニュース(San Jose Mercury-news)、DPメディアニュース(DP Media news)、ORBパブリッシング(ORB Publishing)、ノースウエスト・パブリケーションズ(Northwest Publications)。なおこの8紙はいずれも米投資ファンド、アルデン・グローバル・キャピタルの傘下にあるメディア。
原告は、デイリー・ニュース(Daily News)、シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)、オーランド・センチネル(Orlando Sentinel)、サン・センチネル(Sun-Sentinel)、サンノゼ・マーキュリー・ニュース(San Jose Mercury-news)、DPメディアニュース(DP Media news)、ORBパブリッシング(ORB Publishing)、ノースウエスト・パブリケーションズ(Northwest Publications)。なおこの8紙はいずれも米投資ファンド、アルデン・グローバル・キャピタルの傘下にあるメディア。
■出典・関連リンク
- 米の地方紙グループが提訴 AI学習に記事、著作権侵害(2024年5月1日-共同通信)
- 米8紙、著作権侵害でOpenAI提訴 地方紙でも反発広がる(2024年5月1日-日本経済新聞)
・New York Daily News, Chicago Tribune, and others sue OpenAI and Microsoft(2024年5月1日-The Verge)
作家2名による対NVIDIA訴訟(米国)
訴訟名 | Dubus et al v. NVIDIA Corporation |
原告 | 作家|スーザン・オーリアン、アンドレ・デビュース三世 |
被告 | AI開発企業|NVIDIA |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2024年5月2日、作家のスーザン・オーリアン(Susan Orlean)氏とアンドレ・デビュース三世(Andre Dubus III)氏が自作品をAIのトレーニングに無断利用されたとしてNVIDIAを相手取り米国カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
■出典・関連リンク
- Nvidia, Databricks Sued in Latest AI Copyright Class Actions(2024年5月2日-Bloomberg law)
作家2名によるAI企業Databricks、Mosaic MLに対する訴訟(米国)
訴訟名 | Makkai et al v. Databricks, Inc. et al |
原告 | 作家|レベッカ・マカーイ、ジェイソン・レノルズ |
被告 | AI開発企業|Databricks、Mosaic ML |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2024年5月2日、作家のレベッカ・マカーイ(Rebecca Makkai)氏とジェイソン・レノルズ(Jason Reynolds)氏が自作品をAIのトレーニングに無断利用されたとしてDatabricksとMosaic MLというAI企業を相手取り、米国カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
■出典・関連リンク
- Nvidia, Databricks Sued in Latest AI Copyright Class Actions(2024年5月2日-Bloomberg law)
声優2名によるAI企業LOVOに対する訴訟(米国)
訴訟名 | Lehrman v. Lovo Inc, |
原告 | 声優|ポール・スカイ・レアマン、リネア・セージ |
被告 | AI開発企業|LOVO |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2024年5月16日、声優のポール・スカイ・レアマン(Paul Skye Lehrman)氏とリネア・セージ(Linnea Sage)氏がAI開発企業であるLOVOを相手取り、AIの文章読み上げ機能に自身の声を無断で利用されたとしてニューヨークの裁判所に提訴した。
■出典・関連リンク
- 訴状(PDF)
- 米声優、AI企業を提訴 声を無断使用か(2024年5月17日-ロイター)
- AI voiceover company stole voices of actors, New York lawsuit claims(2024年5月17日-ロイター)
複数の音楽会社による音楽生成AI開発企業への訴訟(米国)
▼対Suno訴訟 | ▼対Uncharted Labs訴訟 | |
原告 | 音楽会社|ユニバーサル・ミュージックなど | 同左 |
被告 | AI開発企業|Suno | AI開発企業|Uncharted Labs |
裁判所 | マサチューセッツ州連邦地方裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2024年6月24日、米国のユニバーサル・ミュージック、ワーナー・ミュージック、ソニー・ミュージックなどの音楽会社は、音楽生成AI「Suno AI」・「Udio」を開発・運営するSuno社とUncharted Labs社に対し、両社の音楽生成AIシステムの訓練に音源を許可なく使用され著作権を侵害されたとして、Suno社をマサチューセッツ州の、Uncharted Labs社をニューヨーク州の裁判所へそれぞれ提訴した。
■出典・関連リンク
- Record Companies Bring Landmark Cases for Responsible AI AgainstSuno and Udio in Boston and New York Federal Courts, Respectively⇒全米レコード協会(RIAA)のリリース(2024年6月24日)
- 訴状-対Suno(PDF)
- 訴状-対Uncharted Labs(PDF)
- 音楽生成AI相手に初訴訟、ソニーなど大手3社 著作権侵害訴え(2024年6月25日-ロイター)
- US Record Labels Sue AI Music Generators Suno and Udio for Copyright Infringement(2024年6月24日-WIRED)
- 米国の主要レコード会社がAI作曲サービスSunoとUdioを提訴。訴訟の根拠となったヒット曲再現プロンプトを検証してみる(CloseBox)(2024年6月26日-TECHNO EDGE)
- 「生成」ではなく「模倣」、大手レコード会社提訴で音楽AIの未来に暗雲(2024年7月2日-MIT Technology Review)
- 「訓練データはタダではない」音楽業界が問う生成AIの根本的問題(2024年7月15日-MIT Technology Review)
- A.I. Music Startup Suno Fires Back at Record Labels, Admits Training on Copyrighted Music(2024年8月1日-RollingStone)
- AIをトレーニングするための音楽の使用は「フェアユース」に当たるとAIスタートアップのSunoとUdioが主張(2024年8月2日)
非営利報道機関CIRによるOpenAIへの訴訟(米国)
原告 | ニュースメディア|調査報道センター |
被告 | AI開発企業|OpenAI、マイクロソフト |
裁判所 | ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所 |
2024年6月27日、アメリカの非営利報道機関である「調査報道センター(Center for Investigative Reporting, CIR)」は、AI開発企業OpenAIとその提携先のマイクロソフトを提訴した。CIR側は「記事を無断利用して著作権を侵害した」と主張。
■出典・関連リンク
- 訴状(PDF)(2024年6月27日)
- The Center for Investigative Reporting Sues OpenAI, Microsoft for Copyright Violations(2024年6月27日)
- OpenAI, Microsoft sued by Center for Investigative Reporting as news industry bolsters attack on AI(2024年6月27日-)
- オープンAIと米誌タイムが提携 非営利報道機関CIRは著作権侵害で提訴(2024年6月28日-産経新聞)
子育てサイトmumsnetによるOpenAIへの訴訟(英国)
原告 | ウェブサイト|mumsnet |
被告 | AI開発企業|OpenAI、マイクロソフト |
2024年7月18日、イギリスの子育てサイトmumsnetはアメリカのAI開発企業OpenAIに対し、サイトの規約に反し無断でスクレイピングしたとして法的措置を取ると発表。
■出典・関連リンク
- Mumsnet launches first British legal action against OpenAI(2024年7月18日-TIME)
- Why we're taking legal action against Open AI and other scrapers(2024年7月19日-mumsnet)
- Mumsnet is launching a legal complaint against OpenAI for scraping its content(2024年7月22日-techradar)
YouTuberによるOpenAI・NVIDIA訴訟(米国)
▼対OpenAI訴訟 | ▼対NVIDIA訴訟 | |
原告 | YouTuber|デイビット・ミレット | 同左 |
被告 | AI開発企業|OpenAI | AI開発企業|NVIDIA |
裁判所 | カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所 | 同左 |
2024年8月2日、YouTubeクリエイターであるデイビッド・ミレット(David Millette)氏が、米国のAI開発企業OpenAIを相手取り無断でYouTube動画の書きおこしをAIトレーニングに利用したとしてカリフォルニア州の裁判所へ提訴した。
8月14日、ミレット氏はAI開発企業であるNVIDIAに対しても訴訟を提起した。AIへのトレーニングにデータを無断で利用したとするのは他の訴訟と同様だが、著作権侵害ではなく不当利得を主張している。
■出典・関連リンク
- YouTuber files class action suit over OpenAI’s scrape of creators’ transcripts(2024年8月5日-techcrunch)
- [PDF]訴状(対NVIDIA)(2024年8月14日)
- Nvidia, OpenAI face YouTube creator lawsuits for using online videos(2024年8月16日-LEGALDIVE)
- YouTuberが生成AIのモデル学習に用いたとしてNVIDIAとOpenAIを提訴、著作権侵害ではなく「不当利得」を主張(2024年8月19日-GIGAZINE)
作家3名によるAnthropic社への訴訟(米国)
原告 | 作家|アンドレア・バーツ、チャールズ・グレーバー、カーク・ジョンソン |
被告 | AI開発企業|Anthropic |
裁判所 | カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所 |
2024年8月19日、作家のアンドレア・バーツ(Andrea Bartz)氏、チャールズ・グレーバー(Charles Graeber)氏、カーク・ジョンソン(Kirk Wallace Johnson)氏が、米国のAI開発企業であるAnthropicを提訴。原告側は著作権で保護された書籍数十万冊の海賊版が入った「Books3」を含む「The pile」というデータセットを用い同社のチャットボット「Claude」のトレーニングに利用したと主張。
■出典・関連リンク
- Authors sue Anthropic for copyright infringement over AI training(2024年8月21日-ロイター)
- Anthropicが著作権侵害で3人の作家に訴えられる、Claudeのトレーニングに著作権で保護された何十万冊もの本を使用したとの主張(2024年8月21日-GIGAZINE)
作家1名によるMetaへの訴訟(米国)
原告 | 作家|クリストファー・ファーンズワース |
被告 | AI開発企業|Meta |
裁判所 | カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所 |
2024年10月1日、作家のクリストファー・ファーンズワース氏がアメリカのAI開発企業Metaを相手取り、同社の大規模言語モデル「LLaMA」に対して海賊版書籍を利用したと主張し、カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
■出典・関連リンク
- [PDF]訴状
- Meta hit with new author copyright lawsuit over AI training(2024年10月3日-ロイター)
【 2.AI生成コンテンツの権利に関する訴訟 】
AI画像の無断使用によって発生したAIコンテンツの著作権付与に関する訴訟(中国)
- Beijing court’s ruling that AI-generated content can be covered by copyright eschews US stand, with far-reaching implications on tech’s use(2023年12月1日-South China Morning Post)
【 3.個人データに関する訴訟 】
イリノイ州住民によるLensa AI開発元への訴訟(米国)
原告 | イリノイ州の住民グループ |
被告 | LensaAIの開発元|Prisma Labs |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年2月15日、Prisma Labs社が提供する画像生成AIを用いた画像編集アプリ「Lensa AI」がアメリカ・イリノイ州の住民グループより訴訟を受けた。訴状によるとLensa AIアプリ内の機能「Magic Avatars(マジックアバターズ)」において、許可なしにユーザーの顔の形状を収集した上でそれらのデータをPrismaのAIニューラルネットワークの学習に使用してデータを違法に保存しており、これはイリノイ州の「イリノイ州生体情報プライバシー法(BIPA)」に違反しているとの事。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- AI-generated art “Magic Avatars” company sued for biometric theft(2023年2月15日-Loevy&Loevy法律事務所)
- Lawsuit Alleges Lensa.ai App Illegally Took Users’ Biometric Data(2023年3月16日-PetaPixel)
個人情報に関連したOpenAIへの訴訟(米国)
原告 | クラークソン法律事務所が主導する原告団 |
被告 | 生成AI等開発企業|OpenAI |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
2023年6月28日、クラークソン法律事務所は、OpenAI社が開発したチャットボット「ChatGPT」を訓練するために用いたデータセットが無数の人々の著作権とプライバシーを侵害しているとして集団訴訟を提起した。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- ChatGPT開発のOpenAIがAI学習用データをめぐって集団訴訟を起こされる(2023年6月30日-GIGAZINE)
- OpenAI社、また訴えられる(2023年7月6日-GIZMODO)
【 4.その他の訴訟・法的対応 】
ラジオ司会者によるOpen AI訴訟(米国)
原告 | ラジオ司会者|マーク・ウォルターズ |
被告 | AI開発企業|Open AI |
裁判所 | ジョージア州グウィネット郡上級裁判所 |
2023年6月5日、米国ジョージア州のラジオ番組司会者マーク・ウォルターズ(Mark Walters)氏が、AI開発企業であるOpenAIに対し名誉棄損の疑いで訴訟を提起した。ジャーナリストであるフレッド・リール(Fred Riehl)氏がOpenAIが開発・運営するAIサービスChatGPTに対し裁判に関するPDF資料の要約を生成するよう指示した所、「マーク・ウォルターズ氏が非営利団体から500万ドルを超える資金を横領した」との内容が含まれていたという。ウォルターズ氏に関してそのような事実はなく、詳細は不明であるもののこの誤った要約内容がウォルターズ氏に伝わり今回の訴訟に至ったとされる。
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- OpenAI sued for defamation after ChatGPT fabricates legal accusations against radio host(2023年6月9日-The verge)
コミッションサイトSkebによる開示請求訴訟(日本)
2023年5月18日、生成AI製作品の納品を禁止している日本のコミッションサイト「Skeb」が、AI製作品を検出するために行っている諸対策を突破するための方法をブログに公開し、営業権の侵害等をしているとされる人物に対し発信者情報開示請求訴訟を提起した。
「コミッション」とは、イラストレーターなどの個人クリエイターが、個人クライアントから有償で依頼を受け希望に沿ったイラストやボイス等を納品する海外発の文化である。Skebはクリエイターとクライアントの仲立ちをする「コミッションサイト」であり、何かとトラブルがありクリエイター不利になりやすいコミッションにおいて、クリエイター=クライアント間のやり取りを最低限にしクリエイター有利の環境を構築した事でヒットした。
Skeb社は以前よりクレジットカードの不正利用等のために同サービスを悪用されることに対し対策を行ってきた。しかしながら2022年後半より本格的な画像生成AIが次々と登場したことにより、実際に人間が描いたものなのか悪用を意図してAI製画像を使っているのか識別がより難しくなったとされる。この状況に対してSkeb社は人間の目による識別作業を行ってきたが、加えて米国企業が開発したAI製画像識別AI「HIVE」を導入したと2023年3月1日に発表。
約2か月半の5月18日、HIVEの検出を逃れる方法をブログの記事として公開していた人物に対し発信者情報開示請求訴訟を行った(発表は6月30日)。該当する記事はその人物が自主的に削除したものの、発信者情報を保有しているプロバイダから情報の提供を受け次第、当該人物に対する営業権侵害等を理由として損害賠償請求等の法的対応を実施することを検討しているとSkebは明らかにした。
同年9月22日、Skeb社による申し立てが裁判所に認められ、サイト管理者に対し情報開示を命じる仮処分が決定した。
本事件は生成AIの存立にかかわる法的な動きではないものの、日本で行われた画像生成AI・生成系AI関連の法的対応の事例として記述した。
本wikiのページ「画像生成AI・生成系AIに対する各種プラットフォーム等の反応・対応まとめ」にも記述有り。
■関連リンク
- イラスト生成AIを用いたSkebの不正利用への対応につきまして(2023年6月30日・9月22日追記-Skeb)
フロリダ州の女性による対OpenAI訴訟(米国)
原告 | フロリダ州の女性 |
被告 | AI開発企業|Open AI |
裁判所 | カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所 |
■関連リンク
- 訴状(PDF)
- OpenAI sued for kickstarting the robot apocalypse(2024年2月28日-daily dot)
【 5.裁判に関連する記事・資料など 】
⇒米国の団体Copyright Allianceが作成したAIと著作権に関する記事の一覧。裁判に関する記事もある。
- AI and Copyright in 2023: In the Courts(Copyright Alliance-2024年1月4日)
⇒2022年から2023年にかけて米国で発生した生成AIに関する裁判を一覧としてまとめた記事。
- Mid-Year Review: AI Lawsuit Developments in 2024(Copyright Alliance-2024年7月25日)
⇒2024年中旬までに起きた米国での生成AIに関する裁判の状況をまとめた記事。