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ワシントン・ポスト(米国)ほか

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Text by COURRiER Japon

「その壮大な野心と予算の間にミスマッチ」


「NASAは岐路に立たされている」と題された新しい報告書が、話題を集めている。

世界最高の宇宙機関として知られるNASAだが、誕生から66年が経ち、「その老いを隠しきれなくなっている」と、米紙「ワシントン・ポスト」は報じている。

インフラは老朽化しており、設計寿命を大幅に超えている。

また、優秀なエンジニアは退職し、他の社員も民間の宇宙産業の高給職へと移っているという。

アポロ時代の巨額の税金投入は遠い過去のものとなり、NASAはいま、複雑なミッションを不十分な予算で追求している状態だ。

NASAは、アルテミス計画(月面着陸・有人宇宙飛行計画)や火星に人類を送る計画など、複数の壮大なミッションを追求しているが、「その野心と予算の間にミスマッチが起きている」。

同報告書によれば、NASAがミッションを完了するために必要な資金が毎年約30億ドル不足している。

NASAの予算は近年増加しているものの、ミッションがより複雑で野心的になるにつれてコストも増加しており、また、インフレなどを考慮すると、NASAの予算は実質的にはほぼ横ばいであるという。

「短期的なミッションを優先し、長期の戦略的な思考が不足している。このままでは持続不可能であり、世界最高の宇宙機関の地位を長期的に維持できなくなる可能性がある」と、同報告書は指摘している。

まずは「人材育成、そしてインフラ修繕」


この報告書は、航空宇宙の専門家による委員会がまとめたもので、米国科学・工学・医学アカデミーから発表された。

報告書の主執筆者で、米国の航空機・宇宙船の開発製造会社「ロッキード・マーティン」の元CEOであるノーマン・オーガスティンは、NASAの問題を解決するひとつの方法として、
予算のかかる大掛かりなミッションを延期するなどして、その代わりに、人的資源の育成や技術開発、インフラの修繕といった基本的な分野にいますぐ投資をすべきだと述べている。

また、「新技術に対してNASAが民間企業に過度に依存すると、内部の専門知識を失う可能性がある」と彼は懸念を示している。

「革新的かつクリエイティブなエンジニアが、他人の仕事を監督するだけの業務に魅力を感じるはずがない」と述べており、いまのままではそういったエンジニアを「雇うのが難しくなる」からだ。

オバマ政権下でNASA副長官を務めたロリ・ガーバーは、この報告書を「将来のNASAのリーダーが意味のある変革を遂げるための優れたロードマップ」と称賛している。

NASAの長官のビル・ネルソン長官もまた、同報告書の指摘に感謝の意を表している。



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