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ジェンダー(社会的に作られた性差)にとらわれない、平等な社会とは?格差解消のための課題を考えます。

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15歳の母、刺さる世間の目 「隠れず、堂々といる」続ける発信

若年出産の経験を発信している横井桃花さん。苦境に立つ女性に「一人じゃないよと伝えたい」=愛知県内で2024年3月1日午後2時58分、町田結子撮影

 スマホの画面に表れる文字に目を凝らした。「ガキがガキ産んでんじゃねえ」「自業自得」「無責任」――。中学3年の時、付き合っていた同級生との子を妊娠した横井桃花さん(22)=愛知県=は、出産以降、母子の日常をSNSで発信してきた。同級生とは連絡を断ったまま。心ない書き込みはやまないが、それでも発信を続けている。

避妊求めたが「大丈夫、大丈夫」

 妊娠に気付いたのは中3の秋だった。生理が止まり、吐き気がする。ネットで調べ、妊娠を確信した。彼に告げたが「調子悪いだけでしょ」と返された。

 中学1年の時、いじめなどが原因で学校にほとんど行けなくなった。孤独感を感じていた時、支えてくれたのが彼だった。中3になって交際を始めると、体の関係を求められた。嫌だった。せめて避妊してほしいと伝えたが「大丈夫」と聞き入れてもらえなかった。妊娠がわかったのは、それから間もなくだ。

 母子家庭で育ったが、母の再婚で家庭環境が変わった時期。「お母さんを悲しませたくない」という気持ちも重なり、家族に打ち明けることはできなかった。そもそも、妊娠が分かったら周りの大人は自分をどんな目で見るだろう。「中学生なのに」と眉をひそめ、非難するに決まっている。誰にも相談できないまま、時間だけが過ぎた。一方で、おなかに伝わる動きに愛おしさを感じるようにもなっていた。

 体の外からも胎動が分かるようになってようやく、彼も現実を受け入れた。中学卒業後、互いの親に話し、初めて病院を受診した時には妊娠8カ月。中絶できる時期をとうに過ぎていた。

相手男性は「じゃあ、逃げます」

 「自分の手で育てるという責任の取り方をしたい」と双方の親に伝えた。すると、「一緒に育てよう」と言っていたはずの彼は「里子に出してほしい」と態度を一変させた。悔しくて、涙が止まらなかった。

 話し合いはまとまらないまま、男児を出産し「幸希(こうき)」と名付けた。15歳だった。中卒で、働きながら実家で子育てしていくと決めた。

母子隠そうとした中学の教員

 ベビーカーを押して外を歩くと、周りからのなめるような視線が突き刺さる。話しか…

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