NHK大阪放送局は17日、2023年度後期の連続テレビ小説「ブギウギ」の主演に女優・趣里(32)が決まったと発表した。同局で会見に臨んだ趣里は、「まさか自分にこんな日が来るとは思ってもみなかった」と感激した様子で話した。
来秋に始まる109作目の朝ドラは「東京ブギウギ」「買物ブギー」のヒット曲で知られる笠置シヅ子さん(1914~85年)がモデル。大阪育ちの主人公・花田鈴子が、歌と踊りを武器に、「ブギの女王」と称される戦後の大スター歌手に上り詰める物語だ。
主演は2471人の応募からオーディションで選ばれた。趣里はクラシックバレエの留学経験があり、ダンスはお手のもの。歌手を演じるにあたってハスキーボイスも評価された。制作統括の福岡利武氏は「生活感のあるお芝居と歌・踊りのバランスがいい。芯が強くて明るく、笑顔もステキ」と選考理由を説明した。
朝ドラには、出演した「とと姉ちゃん」(16年度)を含め主演オーディションは過去3度受け、今回が4度目。オーディションは従来は10~20代が対象だが、“大阪のコテコテおばちゃん”の厚み、バイタリティーが必須とあって「幅広い年齢から見たい」(福岡氏)と応募条件が32歳まで引き上げられた。32歳の趣里は上限ギリギリだった。「これが最後のチャンス」と意を決して挑んだが、いざ合格してみると、「ドッキリかな」と驚いたという。
これまでの朝ドラヒロインの年齢は、発表時で深津絵里(21年度「カムカムエヴリバディ」)の47歳が最年長。藤山直美(06年度「芋たこなんきん」)の46歳、安藤サクラ(18年度「まんぷく」)の31歳と続くが、3人ともオファーされての主演で、オーディション組では尾野真千子(11年度「カーネーション」)の29歳を超えて趣里が最年長となった。「まだまだ自分なんて…と思っていたら、結構年齢がいってしまいましたが、頑張りたい」と笑顔を見せた。
俳優・水谷豊(70)と女優・伊藤蘭(67)の一人娘。今月7日に決定の連絡を受けたが「誰にも話さないように言われ、しっかり守って」11日間、両親にも内緒にしていた。「これから電話しようかな。本当にいつも見守ってくれていたので、感謝と、頑張りますの気持ちを真摯(しんし)に伝えたい」と話した。(筒井 政也)
◆趣里(しゅり)1990年9月21日、東京都生まれ。32歳。2011年、TBS系ドラマ「3年B組金八先生ファイナル」で女優デビュー。13年、映画「おとぎ話みたい」で初主演。18年の主演映画「生きてるだけで、愛。」で日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。BS―TBSで主演ドラマ「サワコ~それは、果てなき復讐」(日曜・後11時)が放送中。