<不登校支援業者の闇>「平均3週間で不登校を解決」「再登校率は90%以上」をうたう業者を利用した母親の懺悔。息子は泣きながら「僕をいじめるお母さんなんて大嫌い」と反発し…
ルポ 不登校支援事業 #1
間中あゆみさん(仮名・40代)は、2年前から息子が不登校であることに頭を抱えていた。なんとか息子を再登校させたい──。その一心で辿り着いたのが、インスタグラムで見つけた民間の“不登校支援業者”だった。「平均3週間で不登校を解決」「再登校率は90%以上」。こうしたうたい文句に希望を抱き、利用料の45万円を払った。しかし、いざプログラムを遂行し始めたところ、間中さんが直面したのは思い描いていた理想とはまったく違う惨状だった。(前後編の前編) 【画像】「平均17日で再登校」「再登校率90%以上」をうたう不登校支援業者のサイト
夏休み明け、突然の登校拒否
文部科学省のデータによると、2022年度の小中学生の不登校児童・生徒は約30万人にのぼり、過去最多を記録している。 とりわけ夏休みなどの長期休暇明けは、これまで学校でしんどい思いをしてきた児童・生徒が、登校するプレッシャーを強く感じるタイミングで、自殺や不登校の割合が多くなることも周知の事実だ。 2022年の夏休み明け、当時小学2年生の息子が、ランドセルを背負いながらも「学校に行きたくない」と泣きじゃくり、間中さんは玄関前に突っ伏すしかなかった。 「息子からのSOSは突然だったので、頭が真っ白になったのを覚えています。もともと息子は繊細で感受性が強く、教室で誰かが怒られていると自分のことのように錯覚したり、体育の時間になると緊張して体が強張ってしまうと明かしていました。 いま思えば、息子は学校生活を窮屈に感じて、ストレスが蓄積していたのだと思います」(間中さん、以下同) 少し休んだらまた学校に戻ってくれるはず……。当初はそう考えていた間中さんだが、1ヶ月が経過しても息子は登校するそぶりを見せなかった。 むしろ学校に行けないことを負い目に感じたからか、自分の髪の毛をむしったり、自分の指を強く噛んだりと、自傷行為めいた行動を取るようになった。 「息子は『なんで自分は学校に行けないんだ』と悩んでいました。本人も学校に行きたい気持ちはあるのに、いざ通おうとすると足が動かない。そのジレンマに苦しんでいたのだと思います」