石巻市官製談合事件 職員2人に執行猶予つきの有罪判決
石巻市が発注した下水道工事の入札をめぐり、市内の土木工事会社に不正に落札させたとして官製談合防止法違反などの罪に問われた市の職員2人に、仙台地方裁判所は「入札行政への市民の信頼を損なうものだ」として執行猶予のついた有罪判決をそれぞれ言い渡しました。
石巻市下水道建設課の技術課長補佐、星洋一被告(51)と建設係長、寺内友和被告(47)は、去年、市が発注した下水道工事の入札をめぐり、最低制限価格を算出する情報が記載された書類を市内の土木工事会社側に渡し、不正に落札させたとして官製談合防止法違反などの罪に問われました。
10日の判決で、仙台地方裁判所の須田雄一裁判官は「入札の公正を害し、入札行政への市民の信頼を損なうものだ」と述べました。
その上で、「工事を円滑に進めることが目的で、私的な利益を得る意図はなかった」などと述べ、星被告に懲役1年6か月、執行猶予3年、寺内被告に懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
【市長「厳正処分 早急に検討」】
石巻市職員2人の有罪判決を受けて齋藤正美市長は「市民の皆様はじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、改めておわび申し上げます。判決結果を踏まえて職員に対する厳正な処分を早急に検討するとともに、全庁を挙げて再発防止に取り組んでいく」とコメントを出しました。
【これまでの経緯は】
石巻市で起きた官製談合事件では、ことし4月10日、市の下水道建設課の技術課長補佐ら2人と会社側のあわせて3人が官製談合防止法違反の疑いで逮捕されました。
工事は雨水を流すための地下水路をつくるもので、去年、一般競争入札で行われ、8つの会社が参加し、4345万5004円の最低制限価格に対して、1回目の入札で4370万円で落札されています。
市の技術課長補佐らは設計書の内容などをチェックする立場で、写しを会社側に渡したとみて捜査が進められました。
また、市は、事件を受けて、ことし7月、職員1200人あまりを対象に入札や契約に関する事務の実態などを把握するため無記名のアンケート調査を実施。
その結果、過去に業者に入札情報などを伝えたことがあるという回答があったことがわかりました。
市は、今後、入札の公平性や透明性の確保に向けて第三者機関によるチェック体制の整備も含めて、具体的な再発防止策の検討を進めていくとしています。