桐生市の生活保護不適切運用 民間の金銭管理など問題視 第三者委第3回会合

2024年7月6日 08時25分

桐生市役所の庁舎

 群馬県桐生市による生活保護制度の不適切な運用の実態解明と再発防止策を検討する第三者委員会(委員長・吉野晶元群馬弁護士会長)の第3回会合が5日、美喜仁(びきに)桐生文化会館で開かれた。民間団体による生活保護利用者の金銭管理や、親族から提出された扶養届をもとに申請が却下された例が相次いでいることに対し、疑問が相次いだ。
 委員会側は、民間団体の金銭管理について、市がどのように関与したかをただした。市は「(生活保護利用者で)お金のやりくりが大変だったり、入院中で家族がいないといった場合に紹介したことはある」とした上で「あくまで民と民の契約で、契約しないことも解約しないことも自由だ。誤解を与えたのは反省している」との見解を示した。
 また、介護保険サービス利用者が、本来の負担額より低い基準を適用すれば生活保護が不要となる場合、特別に低い基準を適用して生活保護申請を却下する「境界層該当措置」の扱いも、委員会は問題視。県の特別監査では、生活保護を却下した際、親族から提出された扶養届の金額が訂正されていたり、仕送り額が1円単位など不自然な部分があることが判明している。
 委員会はこれらを受け、民間団体や福祉施設の関係者、あるいは扶養届を提出した家族らにヒアリングを実施し、事情を聴くことを検討するとした。
 市の内部調査チームによる調査状況の現状報告もあり、2010年度以降に生活保護行政に携わった職員44人中40人のヒアリングを終え、分割支給を実施した経緯や、保護世帯数の急減と大量の印鑑を保管していた理由などを確認したという。14~23年度に関係部署に在籍し、既に退職した部課長級の元職員にも同様のヒアリングを行ったとしている。(小松田健一)

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