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The Works "メランコリーだね大川君" is tagged "大川響鬼" and "夢ルーロック".
メランコリーだね大川君/Novel by 未遂

メランコリーだね大川君

12,001 character(s)24 mins

「今日は雲一つない晴天です。」

__

Happybirthday‼️
_

貴方と恋するだけのお話です。
大川君とガチでする恋とか愛とかはなくちゃ困る。

✧ブルロプラス垢
【_3edwl】
✧支部垢
【0pvfx】

※拙い文はご愛嬌

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『今日の降水確率、何%だったか知ってる?』
「15」
『せ~かい。さては大川君もおはイメ視聴者でしょ』


ぎゅ、ぎゅっ、と水でいっぱいになった髪を握って絞りながらチラリと伏せ目がちに、隣で雨が弱るのを待っている男を見るの女の名は蓬莱ほうらいはるか。今年で50周年を迎える大手ニュース番組「おはようインフォメーション」の視聴者でありソコに務める天気予報士の被害者である。
そして、そんな彼女の視線に気づいて「今日だけだ、いつもは1チャンネル」と丁寧にお返事を返した男の名は大川響鬼。今しがた答えたように普段は1チャンネルのNHKニュースを視聴している、今日に限っておはイメを視聴してしまったこれまたおはイメ専属天気予報士の被害者である。


『この雨いつ止んでくれるかな』
「雨雲レーダーはあと30分近くは続くって言ってる」
『やばぁ、遅刻確定じゃん』


30分はここで立ち往生か~、右肩から聞こえてくる分かりやすく溜め息の混じった遥の声。大川はソレをBGMに13分程前の出来事を思い出していた。


✧✧✧


降水確率15%って言う割にはやけに雲行きが怪しいなとは思ってた、灰色が覆った空に、鼻をくすぐる何かが欠けたぺトリコール。
こりゃ大なり小なり一雨降るな、なんて眉を顰めながら考えてながら歩いていると、この天気には到底似つかない『お~かわ君おはよ』という晴々とした声が聞こえてきた。
声のした方に振り向くと、そこには白い肌によく映えるルビーグレープフルーツで弧を描き、右頬を窪ませたいかにもご機嫌そうな少女が立っていた。同じクラスの蓬莱遥である。

「オウ、はよ」
『一緒の電車乗ってたの気づいた?』
「同じやつ乗ってたのかよ、気づかなかった」
『話しかけようとしたんだけど、今日に限って人混みが凄くてね』
「やっぱアレ混んでる方か」
『そそ、混んでる方。
アそういえば、大川君が電車登校って珍しいね。いつもは自転車通学じゃなかった?』

少女は上目で少年を見遣りながらそう聞き、歩調を速めて隣に並んで歩いた。
そして少年はそんな少女の校則の範囲内で彩られた目元を見てキラキラしてんな、と思いながら歩幅を狭めて歩いた。それと、自転車のチェーンが外れて部活メンバーと試行錯誤したところ状態が悪化して修理に出すのを止むを得なくなった事も話した。大ウケした。JKはDKの馬鹿な日常に弱いらしい。


『ここの道初めて歩いたかも』
「住宅街だからな。表通りよりかは車通りが少なくて楽なんだよ、あと多分近道」
「ふぅ~んそうなんだ、じゃあ私も今度からこの道使おっかな」

少女が隣に並んだから、というかそもそも態々近づいて挨拶したあたりからなんとなく一緒に行く雰囲気が出てたし、なんならあの時既に決まっていたのだろう。2人はこれと言って何かを示し合わせることも無く、ただただ無意識に仲良く並んで他愛のない話をしながら学校への道を進むのだ。on the 大川チョイスの住宅街道。
ちなみに、この道は大川の2年と少しの高校生活をかけて見つけたベスト登下校道の集大成だったりもする。元々駅名と路線を覚えるのが趣味だったので、その延長線で退屈や暇な時に自分なりに色々な道を試して見つけた近道ルートなのだ。このルートを辿れば徒歩の場合でも15分で学校につくし、先程言っていたように車通りが少ないのでチャリの場合なら気にすることなく車道を走れるしと、大川はこのルートにかなり満足していた。


『わ゛、トンボだ』
「トンボくらいで何ビビってんだ」
『ビビったんじゃなくてびっくりしたの。
こいつら人馴れしてるからこっちに向かって飛んでくるし、顔不細工だし嫌い。あと今日は心做しか目線が近い気がするのも不快』
「そーかよ」


さて、今しがた〝このルートを選べば徒歩の場合でも15分で学校につく〟と述べたわけだが今は歩いて7分、詰まり15分の約半分の時間が経っている。そして進行度合いは3分の1程度。いつもの一人で歩くペースと比べてかなり遅い。激おそ。信じられない。それもこれも5歩あるく毎に何かしらのアクションを起こす少女のせいだ。お察しの通り。

道中、カーブミラーを見つければ彼女は前髪を整えたあとに「朝活写真撮ろ」とミクロンも存在しない朝活要素をその場で見出して半ば強制的にカーブミラー越しに2人の写真を撮ったり、目の前を横切った三毛猫を触ろうとしたり、威嚇されたり。あぁそれと、登校中の小学校低学年のグループに「ハルカがヤンキーといる!!」と絡まれてもいた。なんでも少し前に放課後一緒に遊んで懐かれたとかなんとか。
兎にも角にもだ、この少女と歩くと恐ろしい程に時間が食われてしまう、気持ち的には動く歩道__オートウォークを逆走している気分。ホラ、小学校低学年の頃によく暇つぶしにやったヤツ。正直そこまで面白くないし、警備員に見つかったら元々知っている正しい使い方を丁寧に説かれて注意されるヤツ。高校生にもなってやろうとは思わないヤツ。
けれど、まぁ別に遅刻しそうな程時間に余裕がないワケでも、この時間が不愉快だと言うワケでもないので大川はもうしばらくこのペースに付き合うか、と思った。その矢先だった。


『え゛、急になに泣』


なんの前触れもなくバケツをひっくり返したような量の雨が降り始めた。雲行きの怪しかった空が本性を見せ始めたのだ。
ある日そこまで仲良くなかった小学校の時代の知人からランチをしようと誘われ、出向いてみればスピリチュアルな話をされたり案の定宗教勧誘の為のランチだったみたいな。そういうあちゃ~~って感じの展開。さっきカーブミラーで整えた前髪も一気にべちゃ、とおでこにくっついて本当にあちゃ~~。

「おい、アソコ。アソコの駐車場入んぞ」
『うん』

この数秒でぐっしょり濡れた大川は近くにあったアパートを指をさし、少女が返事をしたのを確認して小走りで目標に向かった。勿論、そのスピードは部活の外周時と比べてうんとおそかった。


『あはは、待って大川君笑、いつものカッコいい髪の毛がぺしゃんこになってるよ』
「うるせーよ、笑うな」
『私今クシと前髪まとめるやつ持ってるから借りる?』

駐車場につくなり、アンドハニーのマトメイクスティックをポーチから取り出し要らない申し出をしてくる少女はかなりうざったかった。要らねーし余計なお世話だ馬鹿。
その要らないお世話にやや不機嫌になりつつ少女に言い返す大川だったが、楽しそうに笑う彼女を見ていたら、もうなんでもいいかと投げやりになってしまった。自分のぺしゃんこになった髪を小馬鹿にする笑い方ではなくこの状況をめいいっぱい楽しんでる子供っぽい無垢な笑い方なのだから仕方がない。ふにゃふにゃの赤子が諭吉君を破ったところで怒りがあんまし込み上げてこないのと一緒の原理。憎めなかった。


『この雨が止むまでは雨宿りだね』
「そうだな」

『幼くて可愛い~!!』とひとしきりぺしゃんこになった髪といつもと違うあどけない雰囲気を笑った少女は水の滴るスカートを絞りながらそう言った。大川はソレに仏頂面で目を逸らしながら適当に相槌を打った。


嗚呼、なんだか今日は全部が蓬莱主体の気がしてきた。
いつもならこのくらいの雨、いやこのくらいは滅多にねぇけど、それでもこの距離なら濡れるのを我慢して走ってんのに、一人なら雨宿りなんてしねェのに。


大川はそこまで考えて、頭を軽く横に振って考えるのを止めた。なんだかむず痒くなったから。
こんなのまるで女子ウケを狙いに狙ったのが丸わかりのイケメンキャラのすることっぽくて、俺らしくないと思ったから。

要約:こうゆーのは轟焦凍とか花沢類とか須王環とか雨宮湊に任せておけばいいじゃんね。


__失礼を承知で言わせてもらうと、大川響鬼は意外なことにそのやんちゃな見た目に反して紳士的な部分をもちあわせていた。本人はそれがむず痒いものだと感じているのだけれど、それでも素で持ち合わせているのだからそのむず痒さはどうしようもない。きっと、生理中の女の子がして欲しいコト検定とか云うかなり難易度の高い、それでいて就職の役に立たない検定があったとしたら彼は段には届かずとも1.2級は取れるタイプ。2度も言うがこのやんちゃな見た目に反してだ。これはかなりのギャップ。JKがこの事実に気づけば「なにそれかわe~❣️」と卒倒するに違いない。そしてソレにまた大川は言い表しようのないむず痒さに苛まれるのだ。


『今日の降水確率、何%だったから知ってる?』
「15」


こうして、冒頭に至るのでした。


✧✧✧


『へっっ、ぅしっ、』


溜めた割にはちっちゃなくしゃみ。
くしゃみの原因は言うまでもなくびしょ濡れになったシャツやスカートをずっと着ているせいだろう。ビジュ的にも衛生的にもあまり宜しくない格好だ。そして、コレを紳士的な彼が気にしないわけがなかった。否、この場合は紳士的と言うよりかは思い遣りのあると言った方が正しいかもしれない

「冷えてんだろ、コレ着ろ」

透けた彼女の制服からやや目を逸らしながら、エナメルバッグから今日の部活で使う予定だった真っ赤な部着を取りだし、ぶっきらぼうに差し出す。あ、それとこのスポーツタオルも。

『大丈夫だよ、大川君だってびしょびしょでしょ』
「土砂降りん中走り回るのはザラだから今更なんだよ俺は」
『え~けど私日本人だからこう言うの申し訳なくなっちゃうんだよね』
「日本人なら空気読んで着ろ」

ずい〜って。今度はもっとぶっきらぼうに、強引に渡してきた大川君。
ここで尚も食い下がるのは女の子としてレベルが低い気がするし、大川君としても善意の行為をこうも渋られるといい気がしないだろうしなと考えて、遥は大人しく赤く染ったポリエステルの部着とフェイスタオルよりも若干長い青色のスポーツタオルを受け取った。彼女は野暮なことはしない主義なのだ。

じゃ、お言葉に甘えて。ありがとうね。そうお礼を言って、パンパンと濡れた髪を借りたタオルでサンドして拭いて水が滴らなくなった頃に首、腕、足、の順に拭く。本当は襟元から腕を突っ込んで胸元とか、シャツの第4ボタンを開けてお腹を拭きたかったけれどそれはさすがに自重した。だってそんなガサツっぽいとこ見せたくないもの。粋な女子高生サマはいつでも男子高校生には自分自身に夢を見てもらいたいと行動を意識する生き物だった。

一方、女子高生にではなくワールドカップに夢を見ている男子高校生は何も考えずに渡した部着に今更ちょびっとだけ後悔していた。後悔の理由は簡単、部着を渡してソレを着ろと言ったのだ、己は。それ即ち(身動きが取れないので)この駐車場で着替えろと言っているようなものなのだ。あ~やっちまった。終わった。蓬莱がそこまで深読みするタイプでないのは知ってるけどそれでもやっちまったという気持ちが込み上げてくる。どうせ数分前に戻っても部着とかタオルを渡すのは変わんねーだろうけどそれでもやり直して~。

…結論から言うとそんな彼の心配は要らなかった。無用の心配。心配しすぎ。杞憂。
だって、社会的地位で言えば天皇様の次に強いあの女子高生サマが公共の場、しかも男の子の前であけすけに着替えることなんて到底ありえないので。女子高生サマが隠れて着替える術一つ覚えずにここまで育ったわけが無いので。
遥は濡れたシャツの上から部着を着て、ものの5秒で中の濡れたシャツを取り除いた。ブラの紐もキャミも肌も一切見せずに。これぞ匠の技。日本の伝統舞踊。早着替えなら現役JKの十八番なので任せて欲しい。

『改めまして、ありがとうございます』
「オウ」

なんで運動部の男の子の服はこんなに柔軟剤の甘い匂いがするんだろ。へんなの。なんて思いながら遥は肩を顔に寄せてもう一度くんくんと匂いを嗅いでみた。クセになる甘い匂い。コレを見た大川は「洗濯はしてるからな」ととりあえず弁明しておいた。天下の女子高生サマにこんな素振りされたら不安にもなるので仕方がない。ちょっとこわい。かなりこわい。めちゃこわい。ほんとにやめてほしい。

マ、女子高生サマはこちらの抱く圧倒的弱者側の気持ちも察しないで『うん。いい匂い』と他意なく文字通り甘ったれたコトを言うので、生きてる上でのストレスの差が垣間見えるというもの。じょしこうせ~が焦る時と言えば好きぴからのDMが届いた時くらい。あとセーラームーンとコラボしたコスメが出た時とか、そういう時だけである。大抵の事は「ま、ぎりいけるでしょ」と適当に流す生きるのがとても楽な生き物。ヤな事はぜ~んぶ可愛いものを見れば忘れちゃうユニコーンよろしくのメルヘンチックな生き物。時々ギャグテイストの生き物になることもある生き物。


「どうせ今だけだしサイズについてはなんも言うなよ」
『い、言わないよ。私人に借りたものに口出すほど厚かましくないし』


余談だが、じょしこうせ~は確かに焦ることはあんまりない。けれど、ときめくことに関しては無限の可能性をウチに秘めていたりもする。手の大きさが違うとか、腕のいかつい血管が見えたとか、普段の雰囲気とは別の新しい一面を見れたとか、明らかに落としにかかった口説き文句にも、それからわかりやすい体格差を実感したときにも、簡単にときめいてしまう生き物でもある。焦りもときめきも同じ心臓の負荷のはずなのにこうも極端に違う。全く、つくづく未知な生き物だ。




『ちょっと気まずくなること言っていい?』
「気まずくなるってわかってんなら言おうとすんな」
『気づいたんだけどお、シンプルに男の子の服着るの照れるっていうかあ~、、』
「……なんでソレを共有してくんだよ」


この生き物は多分、飼うのには適してないのかもしれない。
そりゃそうである。このように平気で鱗粉をばらまいて炎症を起こさせるのだから、手に負えない。こうゆーのが日本の生態系だとかを崩していくのだ。恋愛至上主義王国から訪れた外来種サマサマである。

Comments

  • 雫飴。

    あまりにも””良””すぎる...天才の所業...

    Mar 6th
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